JavaScriptを有効にしてお使いください

JavaScriptの設定方法はこちらの検索結果を参考にしてください

携帯電話からレアメタルは取り出せる？スマホを破砕して価値を調べてみた【マイネ王調査団】

マイネ王調査団

2022.02.15 11:00

ライター: 淺野義弘
1992年生まれのライター。パソコンと物作りが好きです。

みなさん初めまして！ライターの淺野義弘（あさのよしひろ）と申します。

僕は、大学院で研究員として勤務していたころ、3Dプリンターを使った実験や製品の開発に関わっていました。最近フリーのライターになったのですが、自宅にも小型の3Dプリンターなどの工作マシンがあり、もちろんスマートフォンも手放せません。

「いわゆる理系なんですよ！」みたいなことを言っていたら、マイネ王調査団からこんな依頼が届きました。

なんと、金属を取り出したいというお願い！

まずい、金属のことはちょっと専門外だぞ、と焦りつつ、まずはレアメタルのことを調べてみます。

経済産業省が公表する定義によると、鉄や銅など生産量が多く、古くから使われてきた金属「ベースメタル」に比べて、埋蔵量が少なかったり、経済的・技術的に取り出すことが難しかったりする金属を「レアメタル」と呼ぶとのこと。

国や時代によってレアメタルとして分類される金属の種類も変わり、現在日本では経済産業省が34鉱種55元素をレアメタルとして定めているようです。

資料引用：SUREコンソーシアム事務局「回収が期待される金属」（https://unit.aist.go.jp/env-mri/sure/kinzokushigen.html）より

コバルトやニッケル、チタンなど、学生時代に周期表で名前だけ聞いたような金属もレアメタルに分類されていました。価格の高いイメージがある金・銀などの「貴金属」はまた別の分類であり、金属すべてがレアメタルというわけではないようです。

ここまで調べ、ふと思い立って金の値段を調べてみると、時代によって価格は変動しますが、2022年の2月時点で大体「1g＝7,000円」くらい。もし古いスマートフォンから金やレアメタルを取り出して換金できたら、結構なお小遣いになるかもしれません。駆け出しフリーランスで金欠気味な暮らしの足しにすべく、いざ金属の発掘に挑戦してみましょう！

ジャンクスマホを分解してみたかった

善は急げということで、早速秋葉原に古いガラケーやスマートフォンを漁りにきました。

数世代前のスマホはそのまま使える中古品として販売されているので、物理的に壊れて動作保証外になったジャンク品に的を絞って探したところ、カゴに積まれた画面バキバキのスマホたちを発見。早速購入させていただきます。

しかし、ここで問題が発生。持ち帰ってみたのは良いのですが、そもそもスマホってどのようにバラせば良いんでしょう？

ドライバーが刺さる穴なんて見つからないし……

液晶パネルの外し方もわかりません。そもそもスキマさえないような……？

刃物やニッパーを使えば無理やりこじ開けられそうですが、中身のパーツも壊してしまいそう。ちょっとこれは、素人の手に負えるものではないのかもしれません。

そうなれば、やはり餅は餅屋。スマートフォンの分解を専門とする業者さんにお願いしてみるほかありません！

スマホの物理破壊サービスを使ってみよう

やってきたのは、「iPhone修理アイサポ」新宿本店。スマートフォンが発売された当初から、リペアサービスを全国で展開している株式会社ギアが運営しています。

新宿本店ではスマートフォンの修理だけではなく、スマートフォンを物理的に破砕し、完全にデータを消去する「スマホシュレッダー ZAURUS」というサービスが提供されています。

さらに、破砕後のスマートフォンから金属を精錬・抽出して再資源化しているとのことで、いろいろ詳しいお話が聞けるはず！カウンター内で業務をされていたスタッフの方にお願いしてみました。

本日はよろしくお願いします！スマートフォンを破砕して、金属を取り出して換金したいんです！

なるほど、それでは早速やってみましょうか。スマホシュレッダーZAURUSではドイツ製の専用シュレッダーを使って端末を粉砕するのですが、まずは爆発の危険があるリチウムイオン電池を取り外していきます。

おぉ、牡蠣を剥くかのように液晶がテキパキとれていく..….！専用のヘラやピックみたいなアイテムがあるんですね。

タッチパネルが外せたら、中のリチウムイオン電池も取り外し、本体だけをシュレッダーにかけていきます。

カウンターの横に鎮座する巨大なシュレッダー。

いよいよスマホを粉砕してもらいます！

うおぉ〜〜〜〜！ドキドキ！

（バキッ.....バキッ....）

スマホが細切れになっていく...…！破壊音は奥の方で静かにバキバキ鳴っていて、思ったよりはうるさくない印象です。

お疲れ様でした。粉砕し終わったスマホがこちらです！

おぉ、見事にバラバラですね〜！たしかにこれだけ細切れになれば、データが流出する恐れもなさそうです。ところで、このジャンクiPhoneは1,200円で買ったのですが、ここから使える金属を換金するといくらになるんでしょうか？（ワクワク）

う〜ん、ざっくり計算すると、大体120円くらいでしょうか。

エッ！！！普通に赤字になってしまった..….！

そうなんです。個人の方が取り出そうとしても、絶対に元はとれないと思いますよ！

あ、あなたは株式会社ギアの偉い人…...！？ちょっと詳しくお話を聞かせてください！

スマホからの金属回収は、途方もない「ちりつも」だった

改めて、こちらは株式会社ギアの伊藤一彦さんです。

一攫千金の夢はあえなく破れてしまいましたが、気を取り直して、スマホ金属回収の実情を伺いましょう！

「もう少し良い値段になるかな？」と思っていたのですが、押し入れで小銭を見つけたくらいの金額で、なんというか、リアルでした。そもそも、使用済みのスマートフォンから再生・換金できる金属には、どのような種類があるのでしょうか？

一般的に、スマホ本体には金・銀・プラチナ・パラジウム・銅などが使われていて、リチウムイオン電池にはコバルト・ニッケルなどが利用されています。この中でレアメタルに該当するのは、プラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケルの4種類ですね。

今回はスマホ本体を破砕してもらいましたが、こうした金属はどこに使われているのでしょう？

主に電子回路基板上で、合金として扱われています。

コバルト・ニッケル・パラジウムの写真提供：スマホシュレッダーZAURUS

なるほど、基板の合金！ほかの金属と組み合わせて使われているから、依頼にあった「取り出した実物」を直接お見せするのは難しそう...！

いわゆる「純粋な金」といった状態でスマホの中に入っているわけではないそうで……。

粉砕された本体は処理業者さんに送られ、そこで特定の金属を抽出する「精錬」という作業を経て、素材別に金属として取り出されるのですが、たとえば金であれば、スマホ1台あたりに含まれている量は0.02g程度でした。フッと吹いたらなくなってしまうほどの微量なんです。

れ、0.02g？そんなにささやかな量なんですか？？？粉砕や精錬の手間と比べると、あまりにもちょびっとすぎて、なんだか割に合わない気がする……！

1円硬貨は約1gなので、0.02gというとその2/100……。

それに、通常は300kg分集まらないと、精錬作業自体をお願いすることができません。

300kg分のスマホなんて個人じゃどうにもならない……！

ZAURUSさんから、リサイクルに回した金属の量と価格を見せてもらいながら、解説いただきました（写真にはボカシを入れています）。

うおぉ、貴重すぎる資料ですね……！なるほど……！

もし個人で使用済みスマホの精錬をお願いできたとしても、分析や焼却、運搬などにかかる費用が差し引かれるので、1台や数台という規模では確実に赤字になりますね。

たとえばこのスマホは118gですが、こちらの表から計算すると、たしかに1台で大体120円になりました。実際はここから電池が抜かれた重さで計算されるわけですが、もし基板だけを回収できたら、1kgあたりの価格も上がりますよね？

それはそうなのですが、今のペースで基板だけを300kg分集めようとすると、単純計算で60年くらいかかるという試算が出ていまして......

途方もない時間がかかってしまう、と。いろいろお話を聞いて、個人でスマホから金属を取り出して換金することの難しさはわかったのですが、ぶっちゃけた話、企業のサービスとしても割が合わなくないですか？

「外出が減ってスマホを落とさなくなった」コロナ禍で生まれた、データの完全消去サービス

そうですね、金属資源の回収と再利用だけでは、収益をあげる事業にはならないです。店舗だけでは回収量にも限界がありますし。

そもそも、物理破砕によるデータ消去サービスは、コロナ禍でスマートフォンを落とす人が減ったので、修理以外のサービスを提供できないか？というところから始まったんですよ。

なるほど！たしかに外を出歩かなければ、スマートフォンを落として壊すことはなくなりますね。コロナがこんなところにも影響を与えていたとは。

修理以外のニーズを考えると、家に眠っている使用済みスマホにも、クレジットカードやマイナンバーと結びつくような情報の漏洩リスクが潜んでいます。そこで、完全に復旧不可能なデータ消去方法として、シュレッダーによる物理破砕サービスの提供を始めました。目の前でシュレッダーにかけるのも、お客様に安心していただくための工夫です。

破砕後にもらえるデータ消去証明書には、総務省のガイドラインに則り、物理破砕（機密性レベル3）によるデータ消去作業を完了したと書かれています。利用者としては安心できますね。

一般のお客様以外にも、たとえば警察が押収したり、捜査に利用したりするスマートフォンなど、データ漏洩のリスクが高いものに需要があると思っています。精錬作業に必要な量を集めるためにも、将来的には国や自治体との連携にも取り組んでいきたいと考えています。

あと30年で金属が枯渇！？割に合わないけど回収する理由

そうしたデータ消去のニーズとはまた別の観点として、2050年までに多くの金属が、現在の埋蔵量では使用量に追いつかなくなると見込まれています。スマホの修理事業者として、お客様の個人データ流出のリスクをなくしつつ、貴重な金属資源の再利用にも気軽に参加してほしいと考え、今のサービスのかたちになりました。

利用者としても、使わないスマホに情報漏洩のリスクがあるなら適切に処理してほしいし、それが資源の再利用につながるなら、なおさら嬉しいです。個人での処理や換金は難しそうですし……。

スマホシュレッダーZAURUSを利用すれば、個人では「廃棄物」としてお金を払って処理すべき使用済みスマホが、「有価物」として扱われるようになります。サービスの料金も、データ消去にかかる費用から、バッテリーと破砕後の部品を500円で買い取った金額を引いたものとして算出されているんですよ。

ちなみに、シュレッダーに入るサイズであれば、ガラケーの粉砕も受け付けています。ガラケーの基板にも貴金属やレアメタルが含まれていますが、最近の高機能化したスマホの方が使用量は多いはず。技術の進歩に合わせて金属の使用量が増えていけば、2050年よりも早い段階で、資源が使えなくなってしまうかもしれません。

スマホやガラケーに限らず、家電などにも金属資源が使われていますよね。このまま気にせずジャンジャン使っていくと、将来的に自分たちの首を絞めることになるかも….！

僕も使用済みスマホの行き先を改めて考えてみたいと思います。本日は、貴重なお話をありがとうございました！

スマホやガラケーに使われている貴金属やレアメタル。1台あたりの量は非常に少なく、取り出してみるのも困難でしたが、多くの人が再利用に回すようになれば、枯渇が予想される金属資源の未来が変わっていくかもしれません。

個人でのレアメタルの取り出しはどうにも難しく、コスト的にも割に合わなそうなので、お別れの際にはスマホシュレッダーZAURUSさんのような業者にお願いしてみるのが良さそうです。それでは、引き続き良きスマートフォンライフをお送りください！

マイネ王調査団に依頼したい方はコチラ！

この記事をご覧になって「マイネ王調査団に相談したい！」と思っていただけた方は、以下フォームより、奮ってご応募ください！

マイネ王調査団に依頼してくれた方全員にパケット100MBを、依頼が採用された方全員に電子マネーギフト3,000円分をプレゼントします！

応募はコチラ！

【応募期間】
2022年3月31日迄

【注意事項】
・入力していただいた個人情報は厳正な管理の下、保管いたします。（個人情報は、当選者へのご連絡以外には使用いたしません。）
・サイト内で個人が特定されたり、許可なく情報が公開されることはありません。
・採用・不採用の発表、および採用・不採用についてのお問い合わせに対するお答えはできません。予めご了承ください。
・投稿された情報（文章、画像、動画など）については予め許可をいただいた上でマイネ王、およびmineoのWebサイト内で使用することがあります。また、使用の際、制作上の都合によりいただいた情報に修正などを行うことがあります。
・本キャンペーン主旨と異なる投稿については、応募を無効とさせていただきます。
・1人で複数応募いただく事も可能です。ただし、パケットの付与は依頼件数に関わらず、1人1回までとなります。
・賞品の権利を他者へ譲渡、換金はできません。
・EJOICAセレクトギフトは、依頼採用以降随時付与いたします。その際に、マイネ王ご登録メールアドレス宛もしくは応募フォームにご登録のメールアドレス宛にて通知をいたします。
・「EJOICAセレクトギフト」は、株式会社NTTカードソリューションが発行する電子マネーギフトです。
・提携先の電子マネーギフトのご利用方法は、電子マネーギフト提供会社のホームページ等でご確認ください。
・提携先の電子マネーギフト、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
・法人名義の方は適用対象外です。
・応募フォームに入力いただいたメールアドレスと、マイネ王登録メールアドレスが一致しない場合、パケットを付与できませんのでご注意ください。
・パケットの付与は依頼翌月に付与いたします。
・mineoサービスに関して過去に当選したことがあり、今回の当選によって当選商品の合計額が10万円を超過することになる方は当選しませんので、予めご了承ください。

取材協力：スマホシュレッダーZAURUS　https://sumaho-zaurus.jp/
企画・編集：人間編集部