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スマホの中も防災対策を! 被災時に役立つアプリやツール、事前に決めておくことは?

スマホの中も防災対策を! 被災時に役立つアプリやツール、事前に決めておくことは?

ゆきどっぐ
ライター: ゆきどっぐ
フリーランスの編集者・ライター。新しいもの好き。外出自粛中の楽しみはゲーム。

大雨による浸水や地震など、自然災害はいつ起こるかわかりません。いざというときに備えて、どのような対策をすべきでしょうか。今回は、スマホでできる防災対策について、子育ての当事者が直面する社会問題の解決に取り組む、NPO法人ママプラグのアクティブ防災事業®副代表・宮丸みゆきさんに聞きました。

災害後6時間は電話やネットがつながりにくくなる

——実際のところ、大規模災害が起こったときにスマホはちゃんと使えるのでしょうか。

大きな災害が発生すると、インターネットや電話回線へのアクセスが集中します。そのため、災害直後から約6時間はインターネットや電話、メールなどが繋がりにくくなるんです。

災害が起きているのに長い時間、誰とも連絡が取れないと不安になりますよね。しかし、そんなときでも使える可能性のある連絡方法をご紹介します。


—1. 被災地以外の地域を通して連絡する
例えば、関東で大きな地震が発生した場合でも、関東から北海道など他の地域への電話は通じる可能性があります。そのため、遠方に親戚がいる場合、安否確認のための連絡中継地点として協力してもらう方法があります。

—2.SNS
インターネットにアクセスは集中しますが、SNSはパケット利用が小さくてすむため、通話に比べて比較的繋がりやすい傾向にあります。状況によってはアクセスが集中し、一時的にサービスが利用できなくなる場合もありますが、復旧にそこまで時間がかからないでしょう。

—3.公衆電話
スマホや固定電話は緊急時に通信規制がかかります。でも公衆電話はその対象外ですから、繋がる可能性があるのです。もしもの時を想定して、どこに公衆電話が設置してあるか把握しておきましょう。

公衆電話を使う際は、テレホンカードや小銭の準備を忘れずに

公衆電話は、スマホを持っていない子どもや高齢者も利用できるのがメリット。ただし、子どもは使い方を知らないことが多いので注意してください。受話器の使い方に不慣れだったり、度数が表示されるパネルをタッチパネルだと勘違いしたりする子もいます。必ず、一度は練習しておきましょう。

—4.災害用伝言ダイヤル「171」
災害時にこの番号にかけると、相手の電話番号を入力でき、その番号宛に伝言を録音できる番号です。

基本的には、災害時のみ利用できるサービスなのですが、毎月1日と15日、正月三が日(1月1日~3日)、防災週間(8月30~9月5日)、防災とボランティア週間(1月15日~21日)には体験利用ができます。使い方が少し複雑なので、こちらも練習しておくといいですね。

情報収集には自治体の防災アプリがおすすめ

——災害時に役立つスマホアプリはありますか?

情報収集で最も大切なのは、地元の情報をすぐに確認できる状態にしておくことです。お住まいの自治体が作っている災害対策用アプリはダウンロードしておきましょう。例えば、冠水して通れない道路、火事や倒壊などの理由で近づけない場所、ペット同行が可能な避難所などの細かな情報を入手できます。

住んでいる地域によっては、アプリではなくサイトやSNSでの発信かもしれません。アプリストアやネットで、「住んでいる地域名」と「防災」で検索すると出てきます。

東京・品川区ではアプリ「ココシル品川」やTwitterを使って情報発信をしている

東京都民ならば、「東京都防災アプリ」を入れておいてもいいでしょう。防災マップだけではなく、普段からしておくべき災害準備のチェックなどができます。

「東京都防災アプリ」は必要な機能を自分でカスタマイズできる

●東京都防災
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

これ以外にも、情報収集に役立つアプリを複数インストールしておくとより安心です。おすすめは「NHK ニュース・防災アプリ」と「Yahoo!防災速報」。緊急地震速報だけでなく、住んでいる地域を登録すると防犯情報も得られます。また、「特務機関NERV(ネルフ)防災」も緊急地震速報がかなり早く届きますよ。

左から「NHK ニュース・防災アプリ」と「Yahoo!防災速報」

●NHKニュース・防災アプリ
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

●Yahoo!防災速報
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

●特務機関NERV防災
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

避難する時に役立つのは、ラジオが聞ける「radiko(ラジコ)」、地図上で給水ポイントがわかる「mymizu(マイミズ)」です。「mymizu」は、公園などの公共の場だけでなく、お水をもらえる店舗も確認できます。

●radiko
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

●mymizu
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

これ以外に、「気象庁天気・防災情報」や「MySOS(マイエスオーエス)」もいいでしょう。「MySOS」は自分の健康状態や予防接種記録、薬の処方が載せられるほか、応急処置の方法を調べたり、救援依頼ができたりします。

「MySOS」では症状に応じた応急処置が確認できる

とくに持病のある人は、処方された薬を記録しておきましょう。避難所にいると、医師が回診しにきますが、普段飲んでいる薬の名称がわからないと処方できません。お薬手帳アプリを使って情報をまとめたり、薬剤名を写真で撮影したりしておくといいですね。母子手帳の予防接種記録なども写真で管理しておくと、いざという時に役立ちます。

●気象庁天気・防災情報
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

●MySOS
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

——災害に備えるアプリっていろいろあるんですね。

これらのアプリをすべてインストールする必要はありませんが、気になったものは機能を確かめて使いやすいものを登録しておきましょう。

最後にアプリではありませんが、国土交通省のウェブサイト「重ねるハザードマップ 」もぜひチェックを。ハザードマップは通常、洪水や土砂災害などの種類ごとに別々で作られているのですが、国土交通省のサイトでは一つの地図上で複数の災害情報を確認できるんです。

「重ねるハザードマップ」では津波などのリスク情報を一度に調べられる

——自分の住んでいる地域を見ればいいですか?

住んでいる地域だけでなく、職場や学校、避難所も確認してほしいです。なかには、洪水や土砂災害などのリスクがある地域に建っている避難所もあります。その場合は災害にあわせて避難する場所を見極めないといけません。

さらに忘れがちなのが避難経路の確認です。避難所は安全でも、避難経路が浸水地域などに指定されていることもあります。災害時は混乱して、どこを通って避難すればいいのか判断できなくなってしまうので、どのルートを使うのかも事前に決めておきましょう。家族内であらかじめ避難経路を決めていれば、連絡が取れなくても、探す場所が限られてくるので出会える確率が上がります。

——家族と連絡が取れない状況が一番不安ですね。どのような工夫をすればいいですか?

SNSやメール、電話、公衆電話など、緊急時の連絡先は1つのツールに頼らず、予備として他の方法も準備しておくと安心です。SNSで連絡を取る場合は優先順位をつけて。

電話番号などのメモ書きは避難用のリュックや財布に入れるだけでなく、クラウド上にもアップしておくといいでしょう。ただし、個人情報なので不特定多数がアクセスできるSNSなどに投稿するのは危険です。注意しましょう。

スマホはバッテリーが生命線

——スマホに関わるおすすめの防災グッズはありますか?

まず、スマホで重要なのは充電です。外出時は、必ずモバイルバッテリーを持ち歩きましょう。そこまで容量が大きなものじゃなくても構いません。

被災したとき、スマホの電池残量は命綱になります。充電を減らしにくくするために、画面を暗くしたり、Wi-Fiが使える環境にいる間はフライトモードにしたりするといいですね。あとは、連絡する時間を決めておくのもおすすめです。例えば、連絡は14〜17時の間にすると決めておいて、それ以外は電源を切る。そうすれば、充電が長持ちしますよ。

——おすすめのモバイルバッテリーはありますか?

持ち歩くなら充電式はもちろんですが、乾電池式もおすすめです。乾電池ならコンビニなどで入手できるので、継続して充電できます。電池がいらないという理由で手回し充電式のバッテリーを選ばれる方もいますが、意外と壊れやすいので注意してください。ソーラーパネル式は、小さいと充電に時間がかかるので外出には不向きです。

自宅では、複数の充電方法を用意しておくと安心です。例えば、普段はデスクライトとして利用し、災害時は電源が取れる商品などもあります。ソーラーパネル式の充電器も、自宅用に大きなものを準備するのはありですね。自宅には、外出用よりも大きめの容量のバッテリーを置いて長時間の充電に備えてください。

それから、充電する可能性があるところに必要なケーブルを準備しておくといいですね。たとえば、車に専用のケーブルを常備しておけばいざというときに充電できるので心強いですよね。ただし、ケーブルは古くなると充電の差込口がスマホの機種に合わなくなるので、定期的に見直しを。

——モバイルバッテリー以外に役立つ防災グッズはありますか?

ライトとホイッスルです。いざという時にはスマホでもライトを点けられますが、充電が消費されるのはもったいない。なので、別に所持しておくと安心です。

著者が携帯するホイッスルとライト

ホイッスルは、救助が必要なときに発見してもらいやすくするために使うものです。レスキュー隊は災害現場に到着したら、助けを求める声や物音を集中して聞く「サイレントタイム」を設けます。その際にホイッスルは雑踏の中でも耳に非常によく届くんです。声を出すよりも体力の消耗が少ないこともおすすめする理由です。

アプリでも防犯ブザーなどを使えば代用が可能ですが、やはり充電が切れると使えなくなるので注意しましょう。

「東京都防災アプリ」にもブザーが搭載されている

——子どもやシニア向けスマホでできる防災対策はありますか?

まずは家族のプライベート用や仕事用のスマホ、自宅の電話番号などを含め、できるだけたくさんの連絡先をスマホの中に登録しておきましょう。災害が起こるとどういう状況になるかわからないので、なるべく多くの連絡手段を用意しておきたいですね。

子どもやシニア向けスマホは、SNSや特定のアプリがインストールできませんが、GPSが搭載されています。災害時に居場所を特定するのに役立ちます。

また、子どもは災害時に電話がつながりにくい状況を理解できず、パニックに陥る可能性もあります。災害が起こったらどうなるのか、何をすればいいのかを事前に説明しておくといいですね。

——ありがとうございます。防災対策ってスマホでできることがたくさんあるんですね。

そうなんです。でも、完璧な対策はなかなか難しい。必ずどこかに穴があったり予想外のことが起きたりする。だから実際に試して使っていく中でやりかたを工夫していく必要があるんです。そうすることで少しずつ対策が強化されていきます。

いざという時のために日常から備えを

— 事前に準備しておきたいスマホ周りの防災対策
□ 住んでいる地域の防災アプリ・サイトを確認
□ 使うかもしれない防災アプリをダウンロード
 (定期的にサービス終了していないかを確認)
□ 住居・職場などのリスクをハザードマップでチェックする
□ 避難経路を決め、家族と共有

— 普段から持ち歩きたいスマホ周りの防災グッズ
□ モバイルバッテリー(充電式や乾電池式がおすすめ)
□ ホイッスル(難しいならアプリのブザーを活用)
□ 家族の連絡先情報(スマホの電話帳に登録を)

防災対策というと、つい防寒具や食料品の用意に偏りがち。これを機会にスマホの中身にも意識を向けてみてはいかがでしょうか。

ただし、アプリはサービスが終了してしまうこともあるので、防災グッズの定期点検ではアプリの見直しもお忘れなく。

(編集:ノオト




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251 件のコメント
102 - 151 / 251
備えが一番大切ですね ソーラーパネル用意検討してみようかな
キャンプにも使えそうです
情報ありがとうございます。
—1. 被災地以外の地域を通して連絡する
—3.公衆電話

この2つは阪神大震災の時に実感しました。
東京に住んでいた時、被災状況をテレビで見て真っ青になって身内に電話しましたが、家電話では応答せず、この2点を試して身内に問題ない事を確認できました。

普段から公衆電話の場所を探せる方法を確認しておくと慌てないですみます。

公衆電話設置場所 NTT東日本
https://publictelephone.ntt-east.co.jp/ptd/map/

公衆電話設置場所 NTT西日本
https://www.ntt-west.co.jp/ptd/map/
自分も防災対策しなきゃー!
ここに限らず、なんでかウェザーニュースが紹介されないんですよね…
ありがとうございます。とても参考になりました。
勉強になりました。
防災対策しなきゃ!と思わせてくれる記事、ありがたいです(^^)v
役立つ情報ありがとう~。
ためになりました。防災意識を持つことが大切ですね。
何気なく読んだら、とても役に立つ情報でした。
ありがとうございます。
自然災害は、いつくるかわからないので、備えたいと思います。アプリまでは、考えていなかったので参考になりました。
ドラマで日本沈没やっていましたね〜
最後に北海道と九州が残ってましたね
防災アプリもいろいろあって情報ありがとうございます。真剣に備えたいと思います!
素晴らしい記事ですね!👏😀
いつ何が起こるかわからないからこそ、普段からの備えが大切ですね。
防災に役立つアプリ、入れておこうと思います!
ご紹介ありがとうございます!
防災グッズをひとまとめにしてすぐに取れるとこに置いとこーっと
役立つ情報をありがとうございます。
いざと言う時に困らない様、防災グッズ・アプリの確認や、家族・知人との連絡方法の確認をするきっかけになりました!
事前に確認しました。
災害伝言ダイヤル家族で共有してます
備えあれば憂無し
備えあれば憂いなし、ですね
本当、備えては大事ですね!
色々参考なりました
今、地震があって、yahooのアプリで緊急速報が入り、NHKのアプリで情報詳細を確認しました。
防災グッズは用意しててもスマホの備えはしてなかったですね
参考になります
昨夜の地震、ほんとに怖くてあらためて、災害は突然起きると思い知らされました。とても重要な情報をありがとうございました。家族でシェアします。
昨日の地震でも色々考えさせられました。
便利な情報ありがとうございます!
とても役に立つ情報!知らなかった!
スマホが無くてはならない生活必需品である以上、
スマホの備えも必要だなぁと改めて思いました。
役立つ情報ありがとうございます。
よく分かりました!
緊急時に役立つ情報を教えていただきありがとうございました。
防災アプリ、公衆電話、モバイルバッテリー等について再認識をしました。
防災グッズ用意しています。
充電器も持っています。
今は災害が多いです。自分で出来ることを準備していたいです。
あらためて、気持ちが引き締まりました。
公衆電話の位置を知っておかないとなぁ。数が少なくなって来ているし...
この記事を読んで、何の防災グッズも
用意してないので、携帯ツールだけでも
意識しないと!と改めて思いました。
改めて準備が必要だな~と思いました。
その時、自分がどこにいるのか?にもよりますね。自宅の備えはいろいろと出来ても、外出時の備えが少ないかも。どうしても荷物になってしまうので。
防災のことが知れる
radiko、ハザードマップ、定点観測カメラ、ポータブル電源などは平時良く利用しています。
洪水、大地震のときの教訓は身に染みたが普段忘れがち。反省 (^_^;)
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