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東京で圏外になろう! スマホのサービスエリアの「穴」を首都の果てまで探し回った

東京で圏外になろう! スマホのサービスエリアの「穴」を首都の果てまで探し回った

辰井裕紀
ライター: 辰井裕紀
ローカルネタ・ガジェット・卓球が好きなライター。過去に番組リサーチャーとして秘密のケンミンSHOWなどを担当。

東京で「圏外」ってなれるんでしょうか?

筆者は東京で長らく生活していますが、屋外では一度もスマホが圏外になったことがありません。

それほどまでに完璧な電波網。ありがたいことですが、24時間365日仕事の連絡などのメッセージに追われる身としては「一度はこの東京で圏外になってみたい」と、たまに思ってしまうのです。

そんな複雑な気持ちを、かなえてみました。

東京の「屋外」で圏外になれ!

この旅のルールは以下のとおり。

●東京都の中で圏外になる場所を探す
●建物の中などではなく、屋外で探す
●立入禁止の場所には行かない
●なるべく市街地から攻め、ダメなら山のほうへ行く


これらを守った上でスマホのサービスエリアの穴を見つけ、実際に圏外になるか現地へ行って試します。

今回は地方でも電波が途切れないと評判のドコモ回線と、都市での通信速度に定評のあるソフトバンク回線、2つのスマホを持っていきました。

なかでも「電波最強」と噂されるドコモ回線が圏外になるところを一度見てみたいので、この記事では「ドコモの苦手そうな場所」をあえて攻めます【※1】
※1 機種によって少し電波の感度が違うという意見もあるため、ドコモもソフトバンクも同じ機種を使ったほうがより正確な検証が行えるかもしれません。今回は都合上、別の機種を使うことになりました。

なかなか弱まらないスマホの電波

まず最初にやってきたのは、大田区にある多摩川小学校近く。ここはドコモのサービスエリアマップ 上で穴になっている場所です。

▲ドコモのサービスエリアマップを見ると、
小さく穴がある(白くなっている箇所)


外ではだいたいバリ4【※2】になっているドコモ回線ですが、ここでは3本になりました。おお、サービスエリアの範囲表示ってホントなんだな。
※2 携帯電話の電波受信状況を示すアンテナがバリバリに4本すべて立っている状態。昔は3本までしかなかったので「バリ3」が最高の状態だった。

しかし、まだまだ圏外には遠く及びません。

ちなみにソフトバンクはバリ4です。まあドコモの苦手な場所を選んで行っているので、当然と言えば当然ですが。これ以降もドコモの苦手なエリアばかりを行脚する道中が続きますが、ドコモ関係者の方はどうか石を投げないでください。

しかし、サービスエリアの穴に入っても圏外にはならず、3本までしか下がらないのは意外でした。これが後々まで筆者を苦しめることになります。

続いては、京王線・仙川駅そばにある、サービスエリアの穴へ出かけました。そこは調布市の桐朋学園大学仙川キャンパス沿いの場所にあります。

▲丸で示したところへ向かう

ちょうど角のあたりが、サービスエリアの表示上は穴になっている部分です。ここでスマホを見てみましょう。

ちょうど角のあたりが、サービスエリアの表示上は穴になっている部分です。ここでスマホを見てみましょう。

しかしアンテナは4本のまま、びくともしません。

少し穴があるだけでは、なかなか圏外にはならないようです。さらにソフトバンクも同様にバリ4でした。

お台場に大きな電波空白エリアが!?

いきなり苦戦が続くなかで、サービスエリアマップをよーく見てみると、お台場に大きな穴がありました。都心近くにこんな場所があったのか!

ゆりかもめでお台場方面へ行き、テレコムセンター駅からタクシーに乗り換えて、南を目指しました。

なんでタクシーを使ったかというと、徒歩では入れなかったのです。

東京港内最後の廃棄物処分場として、埋め立て地を広げています。ここでさっそく、電波の穴まで近づきましょう。

しかし、立入禁止になっていて中に入れません。

▲ここに行けない

タクシーに乗る際、運転手さんに「この中入れますか?」って聞いたとき、何やら自信満々だったのになぁ……。

このあと、工事車両が通る砂利道からも電波の穴に迫りましたが、入れませんでした。残念。

東京の北西の外れへ

サービスエリアにちょっと穴が空いているぐらいではダメなら、大きく穴が空いている場所を探さねば。

▲これぐらいサービスエリアのすき間があれば……

そこで、ちょっと遠出してやってきたのは西多摩郡瑞穂町。ここには今までより大きな電波のエアポケット地点があります。

そこは瑞穂第五小学校の裏山のほうにありました。

▲「山火事防止」看板は田舎の証拠(?)

進むにつれ、どんどん人の気配がなくなってきます。まわりがあまり見えないほどの暗さになり、突然現れるお墓も相まって実に怖いです。

いよいよ大きな電波の穴の中に入ります。ここから先は街灯のない山道がずっと続いていました。

スマホのライトを点けて、おそるおそる進みます。

狭山湖までもう少し。

暗闇の中、「グギャーーッ!」というサルのような、大きめの鳥のような鳴き声が聞こえます。何やらタヌキのような動物もそばを通りました。

辺りは真っ暗でもう逃げ出したいのですが、仕事なのでもう少し歩を進めましょう。

▲ここからもう少し行ったところで引き返した

結局、埼玉県に入る直前まで延々と歩きましたが、ドコモは3本までにしかなりませんでした。ドコモさんすごいよ。

逆にソフトバンクは1本になることもしばしば。しかし圏外までには至らずに粘っていました。

都市部のすぐそばにある魔境へ

これでもダメなのか……と失意の中、気を取り直して向かったのは羽村市です。

▲めざすはこの大きな穴

こちらもかなりの大きさの電波の穴があります。いざリベンジ。

大荷田川にかかる橋を渡り、

青梅市へ入ります。道中には「まむし注意」の看板もあり、「東京にも、こんなところがあったんだ」という光景が広がっていました。

ここまで来て、ふとスマホを見ると……ドコモの電波が2本になっていました。都市部から少し離れると、場所によってはこうなるのか……!

ここでもソフトバンクは1本まで落ちました。

それからしばらく歩きましたが、結局圏外にはなりません。その姿からは、ドコモに負けてたまるものかとの意地のようなものを感じました。

いよいよ奥多摩へ

東京のさまざまな場所を駆けめぐった筆者ですが、ここである強大な敵に迫られていることに気づきました。「この原稿の締め切り」です。早く圏外になれるところを探さなければ。

そこで、一気に東京の奥地へ行ってみることにしました。

というわけで来ました、奥多摩駅!

JR青梅線の終点。これより西には鉄道へは行けない、東京の最果てへやってきました。

ここからバスで、さらに山側の奥深い場所をめざし、スマホのアンテナが圏外になるスポットを探していきます。

▲サービスエリアから遠く離れた、この場所をめざす

そして、地元の方からもオススメされた川苔山(かわのりやま)登山口にやってきました。門が閉まっていますが、歩行者通行止めではないので、みんなどんどん入っていきます。

▲熊に襲われ男性が負傷

いきなりギョッとする看板がありました。実は駅前の観光案内所で話を聞いたところ、実際に熊が出没しているそうなのです。

この企画で死んだら成仏できないぞとばかりに、バスの出発前にあわてて熊よけの鈴を買っておきました。

いざ林道へ。鈴をチリンチリンと鳴らしながら、狭い道をひたすら登っていきます。ただただ急勾配の上り坂が続いているので、徐々に両足に乳酸がたまってきました。きつい。

しかし、そんな筆者を勇気づける出来事が起きました。

ぬ?

あのドコモがついに4G(LTE)ではなく、いわゆる3.5G(FOMAハイスピード)となり、しかも2本になっています。

高速の4Gではなく、より遅めの回線でカバーしなくてはならない状況です。最強の電波を誇ると定評のあるドコモが明らかに弱ってきました。ゴールはもうすぐだ。

そしてさらに、奥へ奥へ歩を進めていきます。

ついに、圏外に!

45分ほど歩いたとき、その瞬間は突然訪れました。

おおお!!!

ついにドコモが圏外になりました。サービスエリアから少し外れていても、堂々バリ4をつけていたあのドコモのアンテナが立たなくなったのです。

ちなみにソフトバンクは3G回線となり、1本立っています。ドコモが苦手な場所に行っているので当然かもしれませんが、「複数のSIMを持つことで、へき地へ行っても電波がつながる可能性を高められるかも」と思いました。

これで一応、企画の目的は果たしましたが、まだまだソフトバンクの電波は生きています。どうせならこのソフトバンクが圏外になるまで奥を目指しましょう。

 

意外とがんばるソフトバンク

しかしソフトバンク、なかなか粘ります。3G回線にはなっているものの、3本ぐらいまで復活するときもありました。

一度圏外になったドコモも、2本まで復活。場所によって電波の入りは変わるようで、まわりに障害物のない開けた場所へ行くと比較的良好になりました。

それでも奥へ進むにつれ、やはり電波の入りは弱くなっていきます。

ついにそのときは来た

さらに林道を奥へ奥へと歩く筆者。

……そして、そのときは訪れました。

どおおお!!!

これでドコモに続き、ソフトバンクも圏外になりました。

同じ場所でドコモも圏外になったので、いざ記念撮影。

ちなみに当時は気づきませんでしたが、よく見るとドコモ側の時計表示が2時間遅れています。電波がつかめず、時刻合わせの同期ができなかったのでしょうか?

ともあれ……これで、長い長い戦いが終わりました。

ちなみにこの先も登りましたが、電波が復活することが少なくなりました。ときどき圏外になるのではなく、「圏外が当たり前な状態」に。

狭い登山道にも入りましたが、「この圏外の状態で熊に襲われたら……」と不安も襲ってきたので、おとなしく引き返しました。

よっぽどのところでない限り、電波は通じる

この「東京で圏外になろう」企画。結論としては「奥多摩の山奥まで来れば、やっと圏外になれる!」でした。

逆に言えば、多摩や八王子あたりの人里離れた場所でもバッチリつながり、その電波網の強さも知ることができました。

これほどサービスエリアの穴を突いても、つながるスマホのすごさ。改めてすばらしい文明の利器だと再確認です。

もし圏外になって仕事の連絡から逃れたい人は、ぜひ奥多摩へ来てみてはいかがでしょうか。しかし、猛獣に襲われようが遭難しようが電波がつながらないことがあるので、ご注意を!

(編集:ノオト


※本記事の検証結果はあくまで1つの検証結果なので、通信品質を保証するものではありません。


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65 件のコメント
1 - 15 / 65
面白い。最近地下やトンネル除けば圏外はだいぶ減りましたものね。
つい数年前までは台湾で南部の山間部で2G回線の表記が見られました。そして程なく圏外と。さすがに今は停波してますが‥
面白い事に挑戦しますねぇ😄
流石です👍
圏外になる事なんて考えた事もなかったです😅
個人的な印象として、端末が古めですね。
ソフトバンクは303SHのような印象。

なので、最新機種や公正を保つため、
iPhoneを使うともっと正確になりますね。
ただ、最悪もっと山の中に入らなければ行けなくなったら、危ない事になるかもしれないため、
程々で。
東京はほぼ網羅されてるんですね。
にしてもすごい! 
これと似たようなことを、先々月父島でやってきましたが、本土だとなかなかね……

小笠原の父島なう | くろぬえcv梶裕貴さんの掲示板 | マイネ王 https://king.mineo.jp/my/62bd315c176432e2/reports/59899
「屋外」がきびしいよねえー
地方だと割と圏外の所がありますが、東京だとそんな場所を探すのも
難しいのだという事がよく分かりました(^^ゞ
山での圏外はこわいです
みねお!
Aプランデバイスでチェックしていないので
3プランでやり直ししましょう。
お疲れさまでした\(^O^)/
臨場感溢れるレポート、ワクワク&ドキドキ楽しかったです♡

それにしても、ここまでしないと圏外にならないなんて・・スゴイ!!
北陸本線ですと、全長7kmほどある北陸トンネルが、通過する11分が圏外になります。

スタッフブログではドコモとソフトバンクでしたが、ぜひauも加えて 47都道府県でやってほしいです。

...と記していながら、未だに「ソフトバンクは繋がらない」と思い込んではる方が散見されますし、Q&Aでもソフトバンク回線を除外して候補にあげる方もそれなりにいらっしゃいます...σ(^_^;)
なかなか面白かったです!
写真を見て、東京でもこんなところがあるんだな〜、と少し驚きました。
東京は険しい山道を行かないと圏外にならないとは…大変なんですね。

面白い企画ですので、圏外シリーズや、逆に電波入るシリーズ等、色々と面白ネタを読みたいです。
記事を読んでいると電波って結構な場所まで届いているのに感心しました。又、途中からまむし注意や熊出没が気になりだした。
楽しませていただきました

仕事なんだから、落としてないスマホ用意しましょうよ
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