ある意味極めすぎた端末
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通信キャリア
Y!mobile
総合評価
現物を見ると分るのですが、異常に薄く小さいです。おサイフケータイとタッチパネル液晶と最低限のバッテリをケースに入れると丁度この位。
そしてこの機能以外は本当に何にも使えない、そんな端末。
因みに、この端末はスペック以外のところで妙な制限が非常に多く、ドコモ系MVNOではテザリングは基本的に動作せず、SImロックを解除して他社網で使用すると(少なくとも往年のEmobile 3Gでは)テザリングは普通に動作するのに位置情報を全く使用できなくなります(Razikoはのちに無理やり対応する方法が出来ましたがRadiko本家アプリの方は全くダメ、地図アプリもまともに位置を掴めない)。また、3G網使用中はOS標準のSIPスタックが動作しないのはともかくとして、何故か外部メモリ接続機能を使うのにドコモの3Gエリア内で有効なSIMが刺さっている必要がある点など、制限の根拠がイマイチわかりません。
しかしながら、自分で通信できるマルチFelica端末にメールビューアとスケジューラが付いていて緊急時は通話ができる機器として考えるなら取り敢えず待受けだけならほぼ一日の行動時間をカバーでき、とにかく嵩張らない形状が威力を発揮するのも事実で、おサイフケータイが無いXperiaRayやarcをメインに持ち歩いていた時期は決済用兼防水が必要な場所用にそれなりに役立っていました。
余談ですが、SIMロックを解除してEmobile 3G網で使用していた時期には、外部電源が確保できる場所では(給電能力と消費電力がいい具合に拮抗していたこともあり)モバイルルータ役にそれなりに便利だったことを付け加えておきます、3Gのband9は既にアレなので今更な情報ですが…
機械としての性能は、現在では完全に旧式ですがOSはとんでもなく予定を先送りし続けパナのスマホ部門の評価を順調に悪化させつつも一応4.0までは上がり、CPUはOMAPなので他社同一クロック品より2割ほど見劣りするものの一応デュアルコア、RAMは1GBあります。但しパナのスマホは伝統的にVRAM等の消費が非常に多いため使用可能領域は600MBくらいしかないので一般的なSIMフリー機の感覚で行くと512MB RAM機よりも実際のメモリのやりくりは厳しいと思います。ストレージは内蔵16GBのみでSDスロットは無し、OS領域に固定で4GB程度、アプリ領域に固定で1.2GB程度(埋めると極端にレスポンスが悪くなるので実質800MB以下と思った方が良いです)、データ領域に約11GBで完全分割されています、正直アプリ領域とデータ領域は共用にするかストレージは32GB以上にしていただきたかったところ。USBマスストレージは対応しますが、何故かdocomo系のSIMが入っていて圏外で内必要がある謎仕様です、そして接続中は当然防水できません。
LTEは対応なし、3Gはバンド1/6/9というdocomoではこの時期だけにみられた変態仕様(SIMロック解除でEmobileの3Gを使用可能)、WiFiは2.4GHzのみの対応でBluetoothは3.0(とても感度が鈍いです)と最低限、オサイフ機能は一通り使えます。因みにセルスタ問題があり、発生すると光の速さで電池が切れる為SMS機能が無いSImはまず使い物になりません。
センサについては、GPSはありますが、放棄センサや加速度センサ、明度センサはOS4ではあまりうまく動作しているように思えません。GPSもdocomoの呪いがかかっていますので掴みはかなり苦労すると思います。
バッテリはまさかの1150mAhで操作するとマッハで消費しますがバッテリは内蔵型で外れません、交換は何処も持ち込みですが、流石に費用は比較的安価(2015年当時\3500程度)です、充電はmicroUSBのみかつD+/D-をショートしているか稼働中のPCに繋がないと充電しないという(苦笑)
画面は小さいですがELなのでQHD解像度ながら非常にきれい、カメラは背面のみで最低限の性能、LED照明はありません。
ストラップホールも外部充電端子もなく、筐体は完全にガチガチに固められているため歪みは無くキッチリした印象です。
こうして見ると何が良いのか本当に不明な機種ですが、実機を見るとそのサイズの小ささとカッチリした筐体の作りと防水でオサイフ機能内蔵な本当に最低限に絞り込みすぎたコンセプトが"これはこれでアリなのか"と思わせてしまう辺りが不思議です。
余談ですがパナのAndroid機はセキュリティの仕組みがちょっと特殊(大体TOMOYO Linuxのせい)で、rootを取っても通常の操作権限以上はこれと言って制御を乗っ取れないという特徴があり、ひたすら独自の道を突撃していた辺りが興味深いところです。
今になって考えると、もしこの機種がバッテリをもう少し多く積んでくれたら(或いはもっと遅くていいから超省電力にチューンしておいてくれたら)とかせめて充電端子とストラップホールはサイズ的につけられただろうとかストレージ割振りをデータとアプリ共用にとかカメラにLEDつけておいてよとか色々言いたいことはありますが、防水で電池内蔵故に筐体歪みが生じにくく極限まで薄いが故に嵩張らない形状はオサイフ機能とスケジュールやメール機能だけに特化するなら意外と使えないほどではなかったように思います。
散々に書いておいてなんですが、同じコンセプトで現代風の機種が出たら多分またも買ってしまう事でしょう。
どこかこの筐体サイズのままA7コアデュアル1GB+RAM1.5GB+ROM32GB(SDなし)で今更3Gのバンド1/6専用(この際GSMもなしで、でもセルスタ対策はぜひ欲しい)、リアカメラにLEDつけてストラップホールと充電端子(qiでも可)追加して今更と言われても軽さは正義のOS4.4搭載で作ってくれないかな…
価格
OSが4.0に更新されて暫くしたころに機種変更でも一括五千円程度の破格値で販売されました。姉妹機のディズニーモデル含め、この値段でこの質感であればお買い得と言えたでしょう、但し実用性は前記の通りですからスポーツカーや戦車を投げ売りしていたから買ってみたというのと似たような買い物になってしまいますが。
デザイン・大きさ
フットプリントはそれなりですが、とにかく薄い、そしてバッテリ内蔵固定型ゆえか歪みを生じにくい筐体です。筐体の剛性感と防水能力を維持する可動箇所が少なくて外れにくい事、イヤホンは止水構造端子を使用していること含め、見た目や持った感じの質感サイズ感は非常に優れています、一方でストラップホールが無い事やSD非対応/充電専用端子無しなど、使い勝手についてはかなり犠牲になっているのも確かです
操作性・使いやすさ
CPUがOMAPなので、一応デュアルコアですがレスポンスはお世辞にもよくありません。また、フロントカメラも撮影補助ライトもなく、前述のストラップホールや充電端子が無い点、microUSBからの給電はPCかD+/D-結線状態の給電機器が必要な点、内蔵ストレージのパーティション分け、外部メモリ接続やGPSの動作制限など、使い勝手については到底考えられているとは言えない構成です。また、ドコモ製のアプリで無効化できないものが多く、これらが大量にメモリを喰っている点もかなりのマイナスポイント。さらに、本機種は液晶面のホームキー部分(タッチセンサ)を長押しするとスタンバイから復帰する機能があるのでsが宇、これが誤動作することも頻繁にある等、余計な事をして何もしないよりも悪化している箇所が散見されるのは非常に残念です。
バッテリー
前述の通り、容量は明らかに実用下限を下回る1150mAhで、しかもバッテリ内蔵で取り外せないため電池は光の速さで消耗します。しかも充電はD+/D-がショートした状態のmicroUSBからしか行えません。
せめて外部充電端子やQi対応があれば少しはマシだったのですが…
なお、SMSなしのデータSIMはセルスタが発生し、待機状態でも半日持ちませんので通話又はSMS付SIMが必須です。