国の借金と年金資産 私たちの資産が国のものに?
近年、日本の財政状況に対する関心が高まる中で、「政府純債務」という指標が注目を集めています。これは、政府が抱える債務から保有する金融資産を差し引いたもので、表面的には財政の健全性を示す新たな物差しのように見えます。
高市次期?総理は、この純債務を重視する姿勢を示しており、「これが基本中の基本だ」と強調しています。実際、債務残高のGDP比が240%とされる中、純債務で見ると136%まで下がり、国際的な比較では見劣りしない水準になります。
しかし、この純債務の計算には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する株式や積立金などの資産も含まれていることが、専門家の間で疑問視されています。
これらの資産は、将来の年金給付のために積み立てられた
私たちのもの
であり、国の借金返済に使うことは本来想定されていません。
それにもかかわらず、こうした資産を
政府の持ち物として債務から差し引く考え方には、
強い懸念が生まれます。
もし政府がこれらの資産を財政の健全性を示す材料として扱うのであれば、
将来的に資産課税のような形で、
私たちの積み立てた資産が政府の債務返済に充てられる可能性
も、完全には否定できないと思えます。
もちろん、現時点でそのような政策が明言されているわけではありません。
しかし、財政規律が問われる局面で、年金積立金などの資産までを含めて「純債務は減っている」とする主張には、精査が必要です。通貨安によってドル建て資産の円換算額が増え、見かけ上の純債務が改善するという現象も、実態を見えにくくする要因となっています。
私たちのの大切な資産が、知らぬ間に「国の資産」として数えられ、財政の健全性を装う材料となっているとすれば、それは私たち一人ひとりが考えるべき問題です。
財政の健全化は重要ですが、その物差しが本当に正しいかどうか、そしてその先に何があるのかを、厳しく見つめる必要があるでしょう。
追記
コメントに書いたことを付記します。
さる政党党首が、
NISA、iDeCoの資産を国内インフラの投資にまわせばいい
と申しました。純債務の考えがこの発想と同じでなければいいのですが。


いわばこっちは資産。
国債の残高は1100兆円くらい。
アメリカの利率が高い上から受取利息が年額で9兆円相当くらい、
これは国債の利払の年額と大体同じくらい。
今の国債は、両建てしている限り、さほど問題にならないのでは?
たとえば、6兆円国債を発行して、調達した金のうち5兆円を使い、
1兆円分はアメリカ国債を買って持っていれば調達コスト0と
同じで、5兆円分しか国債を発行しないよりも得なんじゃないか?。
例えば建設国債を発行して道路を造る。借金はあるが資産(道路)はある。しかし道路を売って借金返済というわけには行かない。(厳密には売れなくはないけど)でもその資産が新しい富を生み出すのであれば負債以上の価値があるので借金して造った方が利得がでかい。新しい道路のおかげで物流がスムーズになってコストが下がったとかね。
同じ道路を作るのに増税で賄ったら国民の財布に金が無いので、せっかくの道路も使う需要がなくて結局税金の無駄遣いになる。
こういう事態が容易に想像できます。
財務省主導の財務省の為の増税は日本にとって何の利点も無い。それを説明する手法の一つが政府純債務と言う考え方ですね。
決して年金の積立金を国債償還に充てれば借金が減るだなんて誰も考えてないと思います。
>> じんで@ダンジョン真っ黒 さん
純債務=総債務ー資産 としています。そもそも、この資産に年金積立金を含めるのはおかしいのです。この「資産」は将来の債務支払いすなわち年金支払いの財源とすべきものです。
それゆえ、一般ではなく、特別会計に蓄積されているのです。
年金積立金を債務と相さいするのは不適切な財政会計です。
積立金を資産とするならば、本来は年金給付債務を計上すべきです。
もし、企業がこんな、年金債務を計上しない会計処理をすれば、問題となるのは自明です。
さる政党党首が、
NISA、iDeCoの資産を国内インフラの投資にまわせばいい
と申しているのと同じ発想でないことを願っています。
>> じんで@ダンジョン真っ黒 さん
いやいや、道路を売ってはならないと決めてかかっていることの方がおかしいよ。道路にしたままよりももっといい使い道が民間にあるなら、遠慮なく売っていいし、道路のまま収益化する事業に転用したり、そういう民間企業に売って固定資産税や法人税を徴収する方法もあるし。
>> sawa875 さん
年金は或る種の保険。長生というリスクに備えた保険だよ。
保健である以上、支払に備えてプールしている金は資産だよ。
>> じんで@ダンジョン真っ黒 さん
>でもその資産が新しい富を生み出すのであれば負債以上の価値があるので借金して造った方が利得がでかい。そうでないから国と地方を合わせて借金1500兆円してもGDPが500兆円しかないわけで、30年間が失われたわけです。
月曜日にGDPに反映してない。要するにROEだかROAが低すぎじゃないか、と書きましたが、
公共投資の事前評価をする時に担当の官僚は圧力を受けるわけです。
公共投資の許可がおりる結果がでるまで繰り返させられるんだとか。
それで霞が関は不夜城と呼ばれるぐらい、いつまでも明かりがついている。
野党が国会前に要請する案件だけが理由じゃない。
その象徴が本州四国連絡橋ですが、以前マイネ王に書き込んでもレスがつかないかったんですよね。
冒頭で書いた「じ」氏のようなのがほとんど。