投資と自由のあいだ
ある政党党首がNISAで集めたお金を公共インフラに回せばいいとおっしゃっている動画を見て、とても驚きました。NISAは、私たち一人ひとりが自分の判断で資産を育てるための制度です。国がそのお金を自由に使える財布のように考えてしまうのは、危うい考え方のように思えます。
確かに今、NISAで運用されているお金の多くはアメリカの株や投資信託に向かっています。でもそれは、投資する人がこれが良いと判断した結果です。
金融機関は、お客様の希望に沿って市場で取引をするのがお仕事です。国がこのお金はこっちに使えと指示するのは、自由な経済のルールから外れてしまいます。
戦前の日本では、国が経済を強くコントロールしようとした時代がありました。その結果、私たちの生活は窮屈になり、豊かさを失ってしまった苦い経験があります。資本主義の基本は、個人が自由に選択できること。法律を守る限り、自分のお金をどう使うかは自分で決めるべきです。
国民のためという言葉は、時に便利に使われがちです。公共インフラは確かに大切ですが、その財源を個人の投資用口座から無理やり集めるのは、約束事を破ることになります。NISAはあくまで自分の将来のために資産を増やす道具です。国がそのお金を別の目的に使う権利はありません。
ポピュリズム(大衆迎合主義)は、耳当たりの良い提案で人々の心をつかもうとします。でも、自由と責任のバランスを忘れた政策は、長い目で見れば私たちの首を絞めることになりかねません。投資の自由を守ることは、将来の豊かさを守ること。温かい言葉に包まれた提案でも、その中身をよく見極める冷静さが必要だと感じます。
経済の仕組みは難しいかもしれませんが、大切なのは誰のための、何のための制度かをいつも考えることです。NISAは私たち一人ひとりの夢を支える制度なのです。
そもそも、その党首は資本主義や自由経済体制、法治主義についてどのように考えているのでしょうか。

