掲示板

日本製鉄の中国鉄鋼業への対抗戦略とその課題

日本製鉄の橋本英二会長兼CEOは、同社の粗鋼生産量を今後10年間で現在の6割増となる1億トン規模に拡大する計画を明らかにしました。

この増産計画は、買収を完了した米USスチールやインド、タイなどの拠点での拡張を軸としており、業界1位の中国・宝武鋼鉄集団に次ぐ規模を目指すものです。しかし、中国鉄鋼業を凌駕するにはいくつかの大きな課題が存在します。

増産計画の概要は以下のとおりです。日本製鉄は2024年時点で5782万トンの粗鋼生産量を、10年後には1億トン規模に引き上げることを目標としています。具体的な戦略として、

米国(USスチール):110億ドル(約1兆6000億円)を投資し、電磁鋼板などの高付加価値製品の生産拡大や新製鉄所の建設を進め、生産量を1418万トンから2000万トン以上増やす。

インド:欧州アルセロール・ミタルとの合弁企業を通じて、1500万トンの増産を計画。

タイ:200万トンの生産拡大を目指し、中国勢に先んじて市場シェアを獲得する。

欧州(スロバキア):現状450万トンの生産能力を将来的に1000万トンまで拡張可能と見込む。

ただ、中国鉄鋼業との競争における課題は4つもあります。

1. 中国の圧倒的な生産規模とコスト競争力
中国は世界の鉄鋼生産の半分以上を占めており、宝武鋼鉄集団を筆頭に複数の巨大企業が存在します。

さらに、中国政府の支援を受けた中国企業は、過剰生産分を安価で輸出し、世界各国でシェアを拡大しています。日本製鉄が1億トンの生産規模を達成しても、中国のトップ企業には及ばない可能性が高いです。

2. 新興市場での中国勢の先行
橋本会長はベトナムやインドネシアでは既に中国勢が優位に立っており、手遅れと認めています。インドやタイではまだ競争の余地があると見ていますが、中国企業も同様に新興市場への進出を加速させており、激しい価格競争が予想されます。

3. 巨額投資に伴う財務リスク
日本製鉄はUSスチールの買収に141億ドルを投じ、さらに同社への追加投資として110億ドルを計画しています。

このような大規模な投資は負債増加を招き、市場からの懸念も出ています。鉄鋼業は景気変動の影響を受けやすいため、需要減や原材料価格の高騰が経営を圧迫するリスクがあります。

4. 国内需要の減少と技術維持の難しさ
日本の鋼材需要は5000万トン前後で頭打ちとなっており、将来的には4000万トンを下回ると見込まれています。
国内市場が縮小する中で、技術を維持・発展させるためには海外展開が不可欠ですが、現地での生産拡大には時間とコストがかかります。

今後の見通し
日本製鉄は量を拡大しなければ技術の維持・発展はできないとして、さらなるM&A(合併・買収)にも意欲を示しています。

しかし、中国鉄鋼業の規模と価格競争力を考えると、単純な生産量の拡大だけでは追いつくのが難しい状況です。高付加価値製品による差別化や、現地パートナーとの連携強化など、多角的な戦略が求められるでしょう。

中国勢に対抗するためには、生産規模の拡大に加え、技術力と効率的な経営を両立させることがカギとなりそうです。

ここで述べた傾向や考え方は、特定の株式の購入を推奨するものではありません。株式投資は価格変動リスクを伴い、元本割れする可能性もあります。投資判断は、必ずご自身の責任において、十分な情報収集と分析を行った上で、慎重に行ってください。


3 件のコメント
1 - 3 / 3
お、お元気様です(^_-)-☆

なかなか、研究されてますね
小生も日本製鉄の株を持っているので、研究中だよ

価格競争で中華には、到底勝てない
仰る通り、高付加価値製品による差別化や、
現地パートナーとの連携強化などが全世界を狙っている
日本製鉄の戦略だね(^_-)-☆

発表されている、下記製品以外の新商品の構想を持っている
と見ています

高耐食性めっき鋼板
合金化亜鉛めっき鋼板
溶融アルミニウムめっき鋼板
方向性電磁鋼板
無方向性電磁鋼板
高合金シームレス鋼管
sawa875
初心者マークsawa875さん・投稿者
マスター

>> chonmage さん

神戸鋼と合併してくれたらと思っています。

>> sawa875 さん

お、お元気様です(^_-)-☆

はい、考えていると思いますよ
神戸製鋼にはハイテンがありますから、、、

2017年10月に発覚した品質検査データの不正行為により
同社の信頼は地に落ちています
但し、製鉄技術は日本一の様です
コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。