金利上昇の足音:参院選と国債増発が迫る日本の未来
日本銀行が実質的な量的引き締め(QT)を強め始めました。日銀は7月から市場に貸し出しておりました国債の買い取りを促し、最大1兆5000億円もの資金を市中から吸収するとの発表がありました。
これは、日銀総資産の縮小を加速させる動きで、過去13年間、日銀の総資産と日経平均株価が密接に連動したことを考えますと、この流動性引き締めが株式市場にも及ぼす影響は避けられないでしょう。
5月の時点では日銀が長期金利の上昇を抑制すれば株価にはプラスという見方もありました。しかし、現実は逆方向へと進んでおり、6月には前年比36兆円もの資産縮小が加速しています。
インフレ率が4%台(除く帰属家賃)にある状況を鑑みると、中央銀行としてインフレ抑制に動くのは当然でして、金融引き締めへと舵を切る背景は理解できます。
そして、この金利上昇圧力は、来る参議院選挙の結果がどうなろうとも、さらに強まるでしょう。
選挙戦では、どの政党も国民の支持を得るため、様々な政策を掲げます。減税、給付金の拡充、特定の産業への支援強化、防衛費の増額、社会保障の充実など、その多くは財政支出の拡大を伴うものです。
もちろん、国民の生活や経済活性化のために必要な支出もあるでしょう。しかし、日本の財政状況はすでに、政府債務残高がGDPの2倍を超えるという、主要先進国の中で群を抜いて最悪の水準です。
現在の巨額な累積債務は、単年度の財政赤字を補うための新規国債発行によって日々積み上がっています。どの政党が政権を担うことになりましても、既存の歳出構造を劇的に変えることは容易ではないでしょう。少子高齢化の進展に伴う社会保障費の自然増、国民の期待に応えるための各種政策実施、そして防衛力強化の必要性などを考えますと、国債増発の圧力は今後も避けられないと拝察すべきです。
国債の発行が増えれば、市場での供給量が増大し、その価格は下落する傾向にあります。これは、日銀が金利を抑制しようと努めても、市場原理による金利上昇圧力がより強く働くことを意味します。
この背景から投資家はどう備えるか
金利の上昇は、単に住宅ローンの金利が上がるという個人的な問題にとどまりません。企業にとっては資金調達コストの増加に繋がり、設備投資や新規事業への意欲を削ぐ可能性があります。
一般的に金利上昇は株式市場にとって逆風となります。企業の利益が圧迫されるだけでなく、債券の利回りが魅力的に映れば、株式から債券へと資金がシフトする可能性もあります。
市場はすでにこの流れを織り込み始めているのかもしれません。日銀の隠れQTがその引き金を引く可能性がある中で、参院選後の国債増発が確定的なものとなりますと、金利上昇の足音はさらに大きくなるでしょう。
具体的には、金利に連動するインバース型ETF、日経225インバース型ETFをポートフォリオに組み込み、ウエイトを高めるべき段階にきているでしょう。
これらの説明は、あくまで私の視点と現在の市場状況に基づいたものであり、将来の株価や金利の動きを保証するものではありません。
また、日銀の隠れQTの規模や市場への影響は、現時点ではあくまで可能性であり、他の経済指標や海外の金融政策、地政学的リスクなど、様々な要因によって市場の動きは変わりえます。
さらに、日銀がインフレ抑制に動くのは当然の姿勢ですが、その具体的な手法や市場への波及効果は常に注意深く見守る必要があります。


ローンも無いし金利が上がっても良いんだけど。預貯金なら少しあるし、このママだと実質マイナス金利だし
>> crypter さん
>企業にとっては資金調達コストの増加に繋がり、設備投資や新規事業への意欲を削ぐ可能性があります。お勤め、自営でなければ影響は弱いかもしれません。GPIFの運用には何らかの影響は出そう。