Beans is Howが指し示す未来、加工品ではない豆の再評価、そして古くて新しい智慧
25年4月、食産業にかかわる大手企業やスタートアップを集めたカンファレンス「Tokyo Food Meetup Global Vol.2 ~Globalization 3.0 in Action~」が開催されました。
カンファレンスの冒頭に登壇したアンロックスの田中宏隆CEOはその中で、新たな食文化に向けた取り組みとして、代替プロテインではなく豆そのものを食べようというBeans is How運動や、Kフード(韓国食品)の盛り上がりを挙げました。
その中の、Beans is Howについて説明します。
Beans is How――この言葉を検索エンジンに入力しても、恐らく豆に関する情報はほとんど出てこないでしょう。
むしろ、全く別の文脈、エクササイズや、ソフトウェア開発や特定のプロジェクト名などがヒットするかもしれません。
しかし、Beans is Howという言葉は、欧米で高まる代替プロテインへの関心と、その中で見過ごされがちな加工されていない豆そのものの価値を再評価しようという、静かな運動を象徴するものです。
欧米では、健康志向の高まりや環境負荷への意識から、代替プロテインへのニーズが急速に拡大しています。特に大豆ミートに代表される代替肉は、そのリアルな食感と汎用性の高さから、スーパーの陳列棚やレストランのメニューに当たり前のように並ぶようになりました。
しかし、この流れの中で、ある素朴な疑問が浮かび上がってきたのです。なぜ、わざわざ豆を加工して肉に似せる必要があるのだろう、最初から豆を食べればいいのではないか
まさに、この素朴な疑問こそがBeans is Howの核心です。
代替肉などの加工品は、その利便性や肉に代わる満足感を提供する点で画期的です。しかし、その製造過程には少なからずエネルギーが消費され、添加物が加えられることもあります。一方で、豆そのもの、例えばレンズ豆、ひよこ豆、黒豆、インゲン豆などはどうでしょうか。
豆は、栄養の宝庫です。植物性タンパク質はもちろんのこと、食物繊維、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、低脂質でありながら満腹感も得られます。栽培においても、動物性タンパク質の生産に比べて水や土地の消費量が格段に少なく、土壌を豊かにする効果まで期待できます。
これは、深刻化する気候変動や水資源の枯渇といった地球規模の課題に対し、私たちが食卓からできる最も直接的な貢献の一つと言えるでしょう。
もちろん、肉や魚が持つ風味や食感は唯一無二であり、それらを完全に否定するものではありません。しかし、日々の食生活において、もっと積極的に豆を取り入れることのメリットは計り知れません。
高度に加工された代替品に頼るのではなく、豆をそのまま料理に活用することで、私たちはより自然で、より栄養価の高い、そして環境に優しい食生活を実現できるはずです。
例えば、スープに、サラダに、あるいは煮込み料理に、豆をたっぷり加える。それだけで、料理の栄養価は格段に上がり、風味も豊かになります。缶詰やレトルトの豆を活用すれば、手間もかかりません。
ここで、日本の伝統的な食文化に目を向けてみましょう。味噌や醤油、納豆、豆腐といった豆を基盤とした食品は、私たちの食卓に深く根付いています。
これらは確かに加工品ではありますが、その多くは発酵や凝固といった、比較的シンプルな伝統的製法によって作られます。これらの加工は、豆本来の栄養価を損なうことなく、むしろ消化吸収を助けたり、新たな旨味や栄養素(例えばビタミンK2など)を生み出したりする、ポジティブな変身を伴います。
人工的な添加物に頼らず、自然の力を借りて豆の良さを引き出す、古くからの智慧がそこにはあります。
Beans is How――それは、単に加工しないことのみを意味するわけではありません。むしろ、豆の持つ本質的な栄養と環境負荷の低さという価値を最大限に活かし、それを不必要に複雑化したり、天然の良さを希釈したりするような加工を避けるという思想です。
地球が育んだシンプルな食材である豆の力を再認識し、それを日々の食卓に取り入れること、あるいは、豆の恵みを損なわない形で賢く利用することこそが、健康で持続可能な未来への道筋である、というメッセージなのです。
私たちは、豆の無限の可能性と、それを生かす古くて新しい智慧を見つめ直してもいいではないでしょうか。


茹でただけのをまるごと使えば、栄養沢山!毎日欠かさず食べてます。
米が高い最近は、豆が主食くらいの勢いで茹でてます。
>> りんずぺーじ さん
とてもヘルシーです。豆類はたんぱくを取るうえで欠かせませんね。