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バイオベンチャーのIR動画を見て感じること

最近、健康問題に関心があり、バイオベンチャー企業のIR動画を見ています。
どのCEOの方々も実に堂々としていて、研究内容や企業の将来展望をとてもわかりやすく説明されています。その熱意と自信に満ちた語り口に、つい「この会社はきっと成功するに違いない」と思ってしまいます。

しかし現実には、こうした企業の多くが思うような業績を上げられずに苦戦しているのも事実です。このような「力強い言葉」と「厳しい現実」の間にあるギャップは、いったいどこから生まれてくるのかとおもいます。

バイオベンチャーというビジネスには、他の業界とは異なる独特の難しさがあるようです。
新しい薬や医療技術を開発するには、通常10年という長い年月と莫大な資金が必要です。その間、CEOの方々は絶えず投資家からの資金調達を行い、優秀な研究者を引き留め、何よりも自分自身の信念を持ち続けなければなりません。このような状況下では、たとえ研究に不確実性が伴うとしても、自信に満ちた前向きなメッセージを発信せざるを得ない事情があるのではと推測します。

しかしながら、この業界の現実はとても厳しいといわれています。
実験室で有望な結果が出たとしても、実際に患者さんに使える薬として承認される確率は驚くほど低いのが実情です。

統計によれば、新薬候補100個のうち実際に市場に出るのはわずか1~2個と言われています。また、たとえ画期的な技術を開発したとしても、承認を得るまでの長い期間に競合他社に先を越されてしまうリスクもあります。さらに、臨床試験の途中で予期せぬ問題が発生すれば、それまで積み重ねてきた努力が水の泡になる可能性だってあるのです。

こうした状況を考えると、IR動画で見せるCEOの方々の自信に満ちた姿と、実際の企業業績との間にギャップが生まれるのは当然のような気がします。彼らは決して現実をわきまえていないわけではなく、この厳しい業界で生き残っていくためには、あのように力強く未来を語らなければならない事情があると思えます。

では、私たち投資家やこの業界に関心を持つ者としては、どのような姿勢でこれらの企業と向き合えばよいのでしょうか。
きれいな言葉だけに惑わされず、必ずリスク要因についてもきちんと説明しているかどうかに注目する必要があるでしょう。

また、短期的な成果よりも、長期的なビジョンを持って着実に研究を進めているかどうかを見極めることも重要ですね。さらに、万が一失敗した場合に、どのように対応するのかという企業の危機管理能力もチェックすべきポイントでしょう。

バイオベンチャーのCEOの方々が語る熱いメッセージは、私たちの心を動かします。しかしその一方で、その言葉の裏にある科学の不確実性や経営の難しさにも目を向ける冷静さが必要でしょう。

創薬というのは、成功すれば社会に計り知れない貢献ができる一方で、そこに至る道のりは本当に険しいと思っています。
私たちは、こうした企業の挑戦を単なる投資対象としてではなく、人類の健康と福祉を向上させるための大切な取り組みとして、温かい目で見守っていく必要があるようにも思えてなりません。


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