外国人旅行者への消費税免税廃止論

外国人旅行者への消費税免税廃止論が国会議員から上がり、ネット上で歓迎の声が上がっています。大阪府知事吉村さんも同意見のようです。

不正利用や公平性の問題が指摘されることは理解できますが、この免税制度の廃止は、日本の経済全体に甚大な悪影響を及ぼす可能性があり、慎重な議論が必要です。

消費税免税制度は、単なる「外国人優遇」ではありません。国際的な観光競争において、日本が観光客を誘致するための極めて重要な手段です。

多くの国々が外国人旅行者に対する付加価値税の還付制度を設けています。例えば、欧州連合（EU）加盟国や韓国、シンガポールなど、主要な観光国では同様の制度が一般的です。

日本がこの制度を廃止すれば、他国と比べて旅行コストが高くなり、日本の観光地としての魅力が相対的に低下します。

国民が消費税を負担しているのに外国人が免税なのは不公平だという意見に対しては、消費税の国際原則と「観光客」という性質を再確認する必要があります。

消費税は、基本的に「消費される場所」で課税されるという消費地課税主義が国際的な常識です。
旅行者が自国に持ち帰って消費する商品は、日本ではなく旅行者の居住国で消費されると見なされるため、日本では課税しないという考え方です。

免税制度は、観光客を誘致し、経済活性化を図るための「投資」 と考えるべきです。そこから得られる経済効果は、結果的に国民の雇用や所得、税収増に還元されます。

外国人旅行者への消費税免税制度は、一部の不正利用という問題は抱えているものの、日本の観光産業の国際競争力を維持し、インバウンドによる経済効果を最大化するために不可欠な政策手段です。

不正対策は制度の運用改善で解決を図るべきであり、安易な廃止は、長期的に見て日本の経済成長にとって大きなマイナスとなります。