売り手市場とはいえ安泰ではなくなりつつあります
2026年春卒業予定の大学生就職活動は、6月から採用選考が本格化します。
若年人口の減少と人手不足を背景に、企業の採用意欲は依然として高い傾向にあります。しかし、原材料費や人件費の高騰が経営を圧迫し、採用計画を見直す企業も一部で現れています。
日本経済新聞社の調査では、2025年春採用で約3割の企業が内定辞退などにより追加募集を実施し、計画に対する採用者の比率(充足率)は平均92.4%に留まりました。
リクルートワークス研究所の調査によると、2026年春卒の大学生・大学院生の求人倍率は1.66倍と、前年から0.09ポイント低下し、4年ぶりに前年水準を下回りました。 求人総数も前年比4.1%減の76.5万人へと減少しています。
この変化の背景には二つの要因が指摘されています。一つは、新卒採用での人材確保が難しいため、キャリア採用(中途採用)を重視する企業が増えていること。
計画通りに採用できない企業ほど、来春の新卒採用数を減らす傾向が見られます。
もう一つは、原材料費や人件費の高騰による企業の経営体力低下です。初任給の大幅引き上げなど待遇改善の動きがある一方で、その余力がない企業は新卒採用を諦め始めています。
また、採用手法も大胆に見直されつつあります。富士通は2025年度から新卒一括採用を廃止し、通年で柔軟に人材を採用する方針です。
さらに、トランプ米政権の関税政策も懸念材料であり、今後の交渉次第では新卒採用にも影響が出る可能性が指摘されています。
このように、新卒の就職市場は依然として「売り手市場」という認識が強いかもしれませんが、その実態は徐々に変化し始めています。企業の採用意欲全体が高い一方で、経営環境の厳しさから採用数を絞る動きや、新卒一括採用から通年採用への転換など、採用戦略の多様化が進んでいます。
もはや「売り手市場だから安泰」と一辺倒に考えるのは危険です。 採用の門戸は広がりつつも、企業側が求める人材の質や採用方法はより多様化・高度化しています。
学生は、周囲の情報に惑わされず、「どんな会社でどんな仕事がしたいのか」 という自身の希望や強みを明確にすることがこれまで以上に重要です。
冷静に自己分析を行い、納得できる企業を選ぶための準備を怠らないようにする必要がありそうです。
インターンシップなどを積極的に活用し、自身の適性を見極めるとともに、企業が求める実践的なスキルや経験を積むことも、これからの就職活動では大きな武器となるでしょう。
また今後、キャリア採用は確実に増加するので、転職希望者には有利な状況が整いつつあります。


>> parlng さん
単なる事務作業は需要がなくなります。企画力、課題発見、創出力が問われる時代になるでしょう。学生は当然わかっています。その親が分かっていないのですが…