透明になった憶い出と自分

朝
透明な空気に包まれている
大切なのに
必要なものは
透明で
見えない
つかみきれない
黙って自分を包んでくれている空気
必要なもの
透明で見えない…
いつのまにか傲慢に扱って
赦してね
『空気の君』
君が
私を包んでくれるから
生きていられるのに
仕事も趣味も
喜怒哀楽も
空気のない処では
どれ一つ整わないというのに
一呼吸、一呼吸
当たり前に使っていて
〝ごめんね”
大切で優しい空気の君
〝ありがとう”
〝心”……もね透明
心も大切で優しさ製造の場所だね
そして〝憶い出”……も
大切で優しさのたまり場だね
だけども透明で
自分の
意識が外れると〝無”……恰も無かった
最初から何にも無かったみたいに
全部、全部
消えてしまう憶い出…記憶
本当は全ては
〝無”……だったのではないかと
思える程にもなる
色即是空
そういう事なんだ…と
この世の…
空気も記憶も自分も
全ては透明なのだと
思えてしまう
ふと
ある時までの自分は
透明で居たい
透明色の自分で居たい…と
あんなにも想い焦がれていたけど
今…
可笑しな事を希求していた様に思い返す
だって
最初から
透明
ふとそう感じた時に
力が抜けて
ふわりとした自分と出遭った
ふわり、ふわり、ふわり
重力のこの世に生きていても
ふわり、ふわり、軽い、軽い