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妙円寺詣り

妙円寺2.PNG

鹿児島県に関係ある人以外は妙円寺詣りと聞いても何のことか分からないと思うので簡単に説明する。

西暦1600年徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍の日本を2分する関ヶ原の戦いがあった。
西軍総崩れの中薩摩の島津義弘は敵中突破を行い苦難の末鹿児島に帰り着いた。
関ヶ原における先人の艱難辛苦を思い心身を鍛えようと江戸時代になって武士の間で関ヶ原の戦いがあった旧暦9月15日の前夜約20km離れた伊集院にある島津義弘の菩提寺妙円寺に甲冑を着けて徒歩で参拝したのが始まりである。
明治になってからも身分を問わず老若男女が参加して賑わったが太平洋戦争後の混乱を機に寂れていった。

私が通っていた高校は戦後の人口増加(所謂団塊の世代)に対応するために新しく出来た学校で私等が入学して3学年が揃い学校としての体裁が整った。
校長は生徒が一団となれるようにといろいろと考えたようであるが妙円寺詣りの導入もその内のひとつであった。
学校行事として取り入れたのは戦後では我が校が初めてであったと思う。

時期は10月の中旬で参拝の1週間程前から関ヶ原の戦いの意義や薩摩の郷中教育についてのレクチャーや「妙円寺詣りの歌」の歌唱指導があった。
「妙円寺詣りの歌」とは関ヶ原の戦いの朝の情景、戦いの様子、島津勢の活躍と敵中突破等の出来事を詳細に語った歌詞で昔の歌の例に漏れず22番まである長い歌であった。
1番と22番を紹介する。

1.明くれど閉ざす雲暗く
薄(すすき)かるかやそよがせて
嵐はさっと吹き渡り
万馬いななく声高し

22.無心の蔓草(つるくさ)今もなお
勇士の血潮に茂るらん
仰げば月色縹渺(ひょうびょう)と
うたた往時のなつかしや

全文は以下参照
https://www.smule.com/song/鹿児島県-ご当地ソング-妙円寺詣りの歌-karaoke-lyrics/5404017_5404017/arrangement


妙円寺3.PNG

参拝当日は午前6時頃学校に集まりクラス単位で行動する。
服装は体育の授業時に着るジャージである。
途中ハンドメガホンを持った音頭取りが歌の一節を歌うとみんなが呼応して歌う。
歌を最後まで歌うと20分近くかかる。
道中は片道5時間位かかるが元気の良いのは最初の2時間程で後はひたすら惰性で歩くだけである。


現地に着いたら参拝、昼食休憩が1時間ほどあった。
各種武術大会、郷土芸能披露、火縄銃演武など多種の催し物があったがそれらを見ることもなく帰路に就いた。
文字通りの遠足であった。


今年の開催日は2024年10月26日(土曜日)・27日(日曜日)である。


4 件のコメント
1 - 4 / 4
こんにちは😃

分析機器などを造っている島津製作所と同じマークですね😳
hijiake
hijiakeさん・投稿者
ベテラン

>> Y. Daemon@ポリアモラス さん

こんにちは
ウィキペディアに解説があります。
妙円寺詣りの対象である島津義弘との関係があったようです。

以下引用

現在の「丸に十の字」の社章は薩摩藩の島津家の家紋に由来するが、創業者の初代島津源蔵は京都の出身である。大名の島津家とは血縁がないが、創業者の祖先である井上惣兵衛尉茂一が島津義弘から家紋と「島津」の姓を与えられた。その時の経緯は以下の通り。

薩摩の島津義弘が、京都の伏見から帰国する途中、豊臣秀吉から与えられた播州姫路の領地に立ち寄った。その際、そこに住んでいた井上惣兵衛尉茂一は領地の検分などの世話をした。それに対する褒美として“島津”の姓と“丸に十の字(くつわ)の家紋”をもらった。

他に
関ヶ原の戦いで西軍について敗れた島津義弘が薩摩へ脱出する際に、播州に居た井上惣兵衛が義弘を援助した事による、とする説もある。

コメントありがとうございました。
「妙円寺詣り」の投稿は、歴史的な背景と現代の行事としての実体験が巧みに結びつけられ、時間の重みを感じさせる内容ですね。
薩摩の歴史が息づくこのイベントは、ただの行事ではなく、文化的な伝統が色濃く残るものとして映ります。
歩き続ける生徒たちの姿が、まるで過去と現在を繋ぎ、一体化しているような印象を受けました。
hijiake
hijiakeさん・投稿者
ベテラン

>> STうち さん

学生の頃は授業が潰れることの方が勝っていましたが座学だけでなく実際に行動することにより心の奥底に蓄積する物があったように思います。現にネット記事を見ただけで60年も前のことを鮮やかに思い出すことが出来たのですから。
大きく言えば薩摩人の心の奥底に蓄積したものが溜まり溜まって幕末維新時の活躍の原動力になったと考えても大過ないと思います。その意味では政治的な伝統とも言えます。

コメントありがとうございました。
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