中国の日帰り旅行
中国は歴史のある国だけに史跡景勝地に事欠かない。
公共交通機関は発達していなくて場所は離れていることが多いので個人がそれらを効率よく巡るには現地で日帰り旅行に参加するのが手っ取り早い。
主要駅の傍にある広場には10人乗りのマイクロバスから数十人乗りの大型バスまで揃っていて客引きをしている。
バスのフロントガラスに(西方五游とかの)行き先と(日本製のバスで乗り心地が良い、音楽も聴けるとかの)バスの優位性を書いたプラカードが貼ってある。
これらのバスは満員状態にならないと出発しないので乗客が多く乗っているバスを選ぶのがコツである。
料金は日本円で500円位でバスの中で払う。
訪問先の入場券を束にして販売しているバスもあってこれは安くて便利であった。
(個人で行けば約2倍の外国人料金を払わなければならないがバスの中では中国人向けの安いチケットを更に割引料金で購入できる)
以下実際に行ったツァーの様子である。
◎西安
「西安東方四游」
〇半坡遺跡と付属博物館
新石器時代の仰韶 文化期の遺跡で住居跡の復元や人骨、石器、農工具、彩色土器等展示されている。
〇兵馬俑坑
実物大の兵馬が万単位で出土している。
まだ発掘途中で全貌は分かっていない。
〇始皇帝陵
中学校の歴史の授業で日本の仁徳天皇陵とエジプトのピラミッドと始皇帝陵を世界の三墓というと習った。
当時「三ばか大将」というテレビ番組があり、教師の言い方がどうしても「三馬鹿」としか聞こえず思わず笑ったら教師に怒られて机の横に正座させられた思い出がある。
〇華清池
もう完全に観光地化していて凝脂を洗う楊貴妃の面影は全くなかった。
「咸陽西方六游」
咸陽は秦の都である。
〇咸陽博物館
ここにも兵馬俑は陳列してあるが高さ50cm程の小さな像の隊列である。
兵馬俑は殉葬の悪弊を廃するために作られたもので日本の埴輪も同じ趣旨であるとの意見もある。
〇章懐太子墓
壁画が正倉院の鳥毛立女屏風と構図が似ている
〇乾陵
唐の高宗と則天武后の合葬陵墓
墓前の石碑には碑文が書かれていない。
これは自分の功績や過失は後世の人が評価するものであるという考え方に基づく。
〇永泰公主墓
奈良の高松塚古墳の壁画のモデルとなったのではないかと言われている。
手が触れるほどの距離で見ることが出来るのは感動ものである。
壁画のある玄室には墓の入り口から下り坂の墓道を通っていく。
黄河流域の黄土層を深く掘ると地下水が湧き出てくる。
死者の住む所を黄泉の国というのはこれに由来する。
防水処理が大変であったと思われるが壁画は奇麗に残っている。
〇楊貴妃墓
こじんまりとした墳墓
華清池といい現代中国では楊貴妃は重要視されていないような扱いである。
〇茂陵と付属博物館
漢の武帝の陵墓
◎北京
「万里の長城ツァー」
〇明の十三陵
明の皇帝の陵墓の内、定陵の大規模な玄室と副葬品を見学できる。
〇遊園地でVRの体験
ゴーグルの映像と座席の振動で空に上ったり地に落ちたりの疑似体験が出来る。
VRを中国で初体験するとは思いもしなかった。
〇万里の長城
大勢の観光客で身動きできないほどで頂上に登るロープウェイ乗り場には長蛇の列が出来ていたが、私の参加したツアーバスは長城の運営会社と提携しているらしく行列に並ぶことなくロープウェイに乗れた。
他に西安では西遊記、北京では秦の始皇帝の一代記を人形で再現している建物に連れていかれることもあった。
係員が引率して場面毎に解説をするが興味ない人は話も聞かないで勝手に先に進んで行ったりでグループは完全にばらけて係員も「没法子」といった感じでお手上げ状態になっていた。
こんなものを作る暇があったらもっと有意義な社会的インフラの整備に力を注ぐべきであろうと思った。
こういう日帰り旅行に参加するのは会社の出張で来たついでに休暇を取って観光地巡りをしている地方出の人々のようだった。
所謂お上りさんで私も(特に北京では)お上りさんに間違えられることがあった。
小さなバスで見知らぬ人と肩を並べて座るようなツァーでは先ずお互いの出身地を名乗るのが礼儀みたいな感じで、そうすると車内の雰囲気が和んできて昼食を一緒に行くようなこともあった。
他に大同の雲崗石窟と懸空寺
敦煌の莫高窟と月牙泉
呼和浩特の昭君墓
等現地の日帰り旅行を利用した。
以前、世田谷美術館に兵馬俑が展示された時、めちゃくちゃ嬉しがって訪問したのを思い出しました。
壁画の綺麗さにビックリです。
万里の長城にロープウェイが存在するのは初めて知りました。
やっぱり本場はすごいですね!
興味深い内容、色々ありがとうございました!
明の十三陵も良かったです。貸し切り同然、いや貸し切りだったんでしょう、最初から最後まで誰にも会わずで、のんびりと観光することができました。
そこから数年して万里の長城へ行くと、おしくら饅頭やし、スモッグで前が見えないし臭いし、、、、、晴れてるのに空が灰色、比喩ではなく本当に灰色。
いいなぁ、乾陵と始皇帝陵は行ってみたい筆頭です。西安には、まだ行けてないです。
>> まきぴ~ さん
コメントありがとうございます。現地で調達したら効率よく且つ安価に観光できます。
お勧めします。
>> ヨッシーセブン@北京 さん
コメントありがとうございます。当時は観光地だけでなく列車や飛行機の運賃も略2倍でした。
鉄道の駅には外国人専用のチケット売り場もあり、そこでは半ば強制的に上級席である軟座や軟臥を購入させられていました。
中国人用の窓口に並んで現地価格で入手する日本人もいました(私もその一人です)。
そもそも紙幣が外国人用の両替できる「兌換券」と中国の国内のみで通用する「人民元」の2種類あった今から30年ほど前の話です。
>> Ticket to the moon さん
コメントありがとうございます。万里の長城は今はもっとひどい状態でしょうね。
西安は歴史好きには堪らない都市ですね。
私は1週間居ましたがそれでも足りないくらいでした。
絶対に行くべきです。
>> hijiake さん
以前の話だったんですね。今は赴任者なら現地人と同じで、電子マネーばかりです。
現金はほぼ使わないですね〜
>> ヨッシーセブン@北京 さん
日時を明記してなくて誤解を招き申し訳ありませんでした。今でも現金オンリーの生活をしていますので電子マネーの普及した国ではホテルから一歩も出かけられないかもしれません。
>> 及時雨 さん
コロナ禍以前は最長14日間の滞在まではビザ免除で入国できたましたがコロナの感染が拡大した2020年以降中国政府はすべての入国者にビザを要求するようになりました。これはコロナの終息した現在も続いています。
従って
日本人が中国に入国する際は必ずビザが必要です。
観光を含むあらゆる種類のビザ申請が可能となっています。
また、有効な「居留許可」を所持する方、APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)を所持する方などはビザ取得不要とされています。
なるほどそうなってるのか!何処ぞの国みたく景気悪いからインバウンド外貨頼りの国策カナ?
数回中国に行ったこと有りますよ。北京から万里の長城他観光はツアーでした。最初は日本からビザ取れなくて多くのバックパッカーみたく香港経由で空路上海インでした。当時は鉄道も深圳町もタダのローテクで見向きもしません。上海では百貨店?屋台?ホテルラウンジ?南京東路?揚子江大河観光クルーズ?色々楽しめました。そして成都まで行ったが後は西安〜チベット〜ポタラ宮が夢のまた夢。願わくば五体投地で。
紙幣が外国人用の両替できる「兌換券(元)」と中国の国内のみで通用する「人民元」の2種類あった今から30年ほど前の話からです。
>> hijiake さん
今はちょっと抜け道があります。トランジットの場合、ビザ無しで滞在が可能です。
例えば北京でのトランジットとした場合、北京と河北省内、天津を自由に移動でき、トータル144時間滞在できます。
例えば
日本→北京→ソウル→日本
というチケットを取ってあれば、北京で144時間滞在できます。
北京以外も多くの都市でこの制度があります。
>> アリタリア さん
コメントありがとうございます。同志(tóngzhì)ですね。
私は出入りはいつも上海でバンドの北端の橋を渡った所にある浦江飯店が常宿でしたが次に行ったときは一階の売店が証券取引所になっていたりで上海の経済発展が伺えて興味深かったです。
成都は三国志がらみで行きたかったのですが叶いませんでした。
今となっては私も夢のまた夢になりました。。
>> ヨッシーセブン@北京 さん
裏技ご教示ありがとうございます。144時間(6日間)は微妙ですね。