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花火大会で混雑する駅を密かに守った話

(長文なので心して、お読みください)

ビーーーーーーーーーーーーー!!
21時32分。クーリングタワー(冷却塔)、コンデンサ異常のエラーを吐き出し、機能停止。

「やっぱり営業時間内に停まった。予感した通り…さて、問題は復旧できるかどうか…」

10年前。地下鉄改修工事の現場監督補助を頼まれた。東京オリンピックが決まって工事現場が増え、業界全体が人手不足に悩み始めていた。(豊洲市場なんかもあったし…)

ちょっとだけ監督の業務を手伝った経験があり、工事写真の撮り方、蔵衛門(工事写真台帳をつくるソフト)での編集だのは教わっていたが、デスクワーク…エクセルやワードなんかは全く使った事もなかった。

都交通局の工事は分離発注になっていて…建設、電気、設備と分かれていたので…設備工事の監督だが、まるでゼネコンの監督みたいな事まで、やらなくてはならなかった。新規入場者教育や朝礼なども自分たちでやっていた。
(普通のサブコン監督はやらないと思う)

その設備会社はサブコン大手である大◯社の元社員が設立したらしく、そのせいなのか堅い建物の改修工事がメインだった。
郵便局とか、T京大学安◯講堂とか、◯◯省とか…都営M線H谷駅の改修工事で体調おかしくなるまで約5年…僕はその設備会社の社員だと勘違いされながら、監督の仕事をし続けた。

都営S線、M八幡駅。ほとんど行ったことが無かった駅だった。市◯市。上から読んでも下から読んでも市◯市。
あまり目立たない場所にサイゼリヤの1号店がある。(営業してないが研修所として利用されてるらしい)
また、「八幡の藪知らず」という水戸黄門が迷い込んだと言われている禁足地がある。

そんなM八幡の、当時の印象は…「クレイジータウン」だった…(周辺に住んでる人がいたら申し訳ないですが…)

オープンしたてのクリーニング店のガラスが割られたり、道路を片側規制して工事してたら太った外国人にカラーコーン持ってかれそうになったり…
み◯ほ銀行前で、子供連れで宝くじ売り場に並んでたシンママが刺されて亡くなった事件が起きたり、やっぱりオープンしたての徳島ラーメンの店に車が突っ込んだり…
作業服着て駅のコンコース歩いてたら厳ついオッサンから「いつ工事終わるんだよ!?暑いんだよ!」って直接、文句言われた事も…😨

さて、前置きが長くなったが…
そんな、思い入れも全くないようなM八幡駅の為に、孤軍奮闘したという話をしょうと思う。


E戸川花火大会の日。
なんとか本設の空調設備を稼働してほしい…駅からの強い要望。

それまでは仮設の機器を数ヶ所に設置してたが、上記のように利用客に文句言われる程度には暑かった…なので、花火大会で混雑すると、熱中症になる客が出るリスクがある。

駅の空調設備は「セントラル空調」と呼ばれるもので、ターボ冷凍機で冷水をつくり、これを各所にあるファンコイルやエアハンに内蔵されたコイルに送水、そのコイルにファンで送風し、熱交換により空調するシステム。

ターボ冷凍機を稼働させるには冷却塔が必要なので、冷水配管だけでなく冷却水配管も必要になる。
つまり冷凍機と冷却塔間に、冷水配管(往)、冷水配管(還)、冷却水配管(往)、冷却水配管(還)と4系統も必要になる。
なので、それらの配管を終電後の限られた作業時間でやっていくので、それなりに大変なわけで…

どうにか、配管は完了したものの…試運転すると、冷却塔がエラー吐き出して停まる。コレはまずい。
「誰か、花火大会の日に見張ってないと…」そう思ってたのに。

「まあ、大丈夫でしょ」と能天気な現場所長。
思わず「え、誰も常駐しないんですか!?」と聞いたら「ウ~ン、大丈夫でしょ」だって…😨

既に僕には、終電が来る数時間前に空調が停止する未来が見えていた(確信は無かったが)ので…

「では僕が残ります。もし停止しなかったら残業代も請求しません。計装屋さん、すみませんが…停まった時の復旧方法を聞きたいので電話出られるようにしててください。」

と宣言して一人で見張る事にした。正規の監督でもないくせに、その異常な責任感はどこから出てきたのか…それは後述する。

ターボ冷凍機のある地下の機械室と、冷却塔のある某ビルの屋上を行き来する。

某ビルには当時、立ち呑み屋、居酒屋、マッサージ店などが入ってたが…ビルの内側に、駅から来てる配管があるなんて、テナントで働く人達は知らなかっただろう。

花火大会の時間が近付いたら、屋上がガヤガヤうるさくなった。よく見たら、周辺ビルの屋上にたくさん人が…

更に、僕が見張ってた屋上にも…声のデカい、酔った男女数人が上がってきた😨

僕「すみません…ここ、工事中なんで立入禁止なんですけど…誰かに許可もらって来てますか?」

男「ああ!?うちら下の居酒屋の常連なんだけど?店長に許可もらってるし。」

DQNだった…紛れもなくDQN集団だった。けっこう酔ってるし、追い返すのは難しいと判断した。

僕「そうですか…お酒も入ってるようですし、そこらへん工事中で危ない場所もあるんで、気をつけてくださいね。」

男「あーーーいwww」

しかし、こいつ等は何も分かっちゃいなかった。ウレタン防水したばかりの場所で煙草吸ってたり!(この一件で喫煙者が更に嫌いになったのは言うまでもない)

僕「いやいやいや!そこで煙草は勘弁してくださいよ!防水したばっかなんですよ〜!」

ぶちギレそうな気分を抑えて、お願い口調で注意はしたのだが…後日、吸殻が何本も転がってるのを片付けた…(マジで最悪!💢)

そんな傍若無人なDQN集団は気になるが…僕は冷却塔とターボ冷凍機を行ったり来たりした。

DQN集団や、他のビル屋上にいる人達は楽しそうに花火を観ている。
僕も一応、花火を観たのだが「いつ停止するんだ?復旧したら動くのか?」という不安で気が気でなかった。あんな気持ちで観た花火は、後にも先にもない…

駅を歩いてる人達も、みんな楽しそうだった。僕だけが、ヘルメット被って作業服という場にそぐわない格好していた…😓

花火が終わり、DQN集団も周辺ビルの人達も去り…少し静かになった。(街は賑やかだけど)

このまま、終電まで空調停まらないのか…?
それなら、それでも良いが…と思った瞬間!!

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

冒頭にも書いたが21時32分という、まだまだ花火大会から帰って来る客でいっぱいの時間帯に空調停止。

直ぐに計装屋さんに電話。指示をもらいながら制御盤を操作した…頼む!動け!動いてよ!(シ◯ジ君か…)

祈りが通じたのか5〜6分で再稼働。幸い、それから終電まで停止することは無かった。(終電の数時間後に停まってた…と、ログを見た計装屋さんに伝えられた。)

ちなみに冷却塔が停まった原因は、配管内に付着していたスケール。一部の場所は配管更新が困難で既設のままだった。
試運転したら、その既設配管からスケールが大量に出てきたわけ。ブ◯ボンの美味しいお菓子、ルマンドの破片をデカくしたような物が、ストレーナーを塞いでた…


かくして花火大会の日…駅の平和は守られた。

「ざまあみろ!😜」っていう、痛快な気分だった。こんなクレイジータウンは、僕みたいなイ◯チキ監督に救われてりゃいいんだよw

こんなイン◯キ人間が、インフラや堅い建物の改修工事をやっている…それが当時の主たるモチベーションだった。

世の中に対する不満を、無差◯◯とかで発散するヤツは二流三流だ。本当に危ないヤツは、責任重大な仕事を任されて、それを問題なくこなし密かにほくそ笑むんだよ…ヒヒヒ…👽


※イ◯チキが伏せ字なのは、マイネ王NGワードだから。テレビなどでも放送禁止用語になっちゃったみたい…

♪お鍋の中からボワッと〜◯◯◯◯おじさん登場…


3 件のコメント
1 - 3 / 3
試運転後のフィルター点検大事ですね?

>> ホットウォーター さん

すみません、間違えてました😅
フィルターじゃなくて、ストレーナーですね。本文の方も訂正しておきました。

とにかく時間がなくて、ストレーナーをチェックできなかったのかもしれませんね。もう細かいことは忘れちゃいましたが😓
本当は、8月のうちに投稿するつもりでしたが…イ◯チキというワードがNGだと気付けず下書き保存も出来ず、やる気なくしてました😞

たぶん気づいてないだけで…かつての僕みたいな紛い者が、シレッと重要な役割を果たしてるようなことは、世の中の至る所にあるんだと思ってます。
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