世界的名コレクションが競売に
株式投資などで財を成したネルキンご夫妻が収集
ロシアの美術品、フランスのアートガラスの名品、アメリカの風景画
など上質の5000点を誇るネルキンコレクション
その中でも白眉とされる日本の版画1750点
6月27日に第一弾250点が競売にかかります
第二段は9月25日
この30年市場に出ていない作品が多数を占めます
御夫妻はガンで長男を亡くされています
これまで多額の寄付をされていますが、この一年の競売の収益も
御遺志により様々な慈善団体に寄付されます
https://fineart.ha.com/c/search/results.zx?dept=1544&mode=live&auction_name=8151&ic=hero-asianArt-ClickHeroImage-8151-053124
PRTIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000135668.html
高橋弘明(松亭)「鮑獲り」 1931年
本オークションのカタログの表紙を飾る作品
寺松国太郎が1913年にキャンバスに油彩で描いた絵画「櫛」に基づいていると思われる
高橋作品の多くは戦災で失われてこの時期の作品は希少
画像検索しても出て来ません
大英博物館の作品
髪、布の色が違います
落款とかもありません
他の美術館にはないようです
鈴木春信「調布の玉川」 『六玉川』より 1768年頃
調布の玉川 定家
たつくりやさらす垣根の朝露をつらぬきとめぬ玉川の里 武蔵の名所
布の部分は空摺りになっています
オークションサイトで画像拡大して頂くと
巻かれた反物であるのがお判りいただけると思います
六玉川とは
和歌に詠まれた全国の玉川(清らかで美しい川)の総称
それぞれに決まったモチーフがある
調布 武蔵国 川にさらす布
井手 山城国 山吹
三島 摂津国 卯の花 布を打つ
野路 近江国 萩
高野 紀伊国 旅人、氷
野田 陸奥国 千鳥
八代目片岡仁左衛門の伊予の太郎 1796年頃
国政といえば役者絵、大首絵
本点はシミや虫食い後がいくつかあるようですが
落札予想額は8000~10000ドル 貴重です
日照雨 伊東深水 大正6年 1917年
落札予想額 25000~30000ドル
濡れた髪色とその光沢を表現した淡い色使い。
さらに鼻筋や太ももあたりにも淡い陰影が見られる。
これで版画?と思うような作品。
今回のこの投稿のおかげで、
今まで全く知らなかった作家やその作品を知ることができました。
ありがとうございます。
ところで、
大英博物館所蔵の作品については
現代の印刷でいうところのCMYKのM(マゼンタ)や
Y(イエロー)が抜けたような印象を受ける。
退色したというよりも、最初から色がついていない、言わば制作途中のもの(あるいは試作品)なのかも。
そうであれば落款がないのもうなずける。
ただし、髪に挿した櫛の色や口紅の色は残っている。
今回の「完成版」の登場により、
もしかしたら制作手法の解明にもつながるかも知れない。