ポテサラ・ウォー！

ある日。
同僚の西さんと後輩ちゃんを連れて居酒屋へ。

『ポテトサラダの大盛り、お待たせしました～』
大食いの西さんがお皿に飛びつく。
「あれれっ？」
『どうしたの西さん？』
「コレ、ジャガイモを潰すのが中途半端で…仕込みが面倒だったか、芋が生煮えか…」

「ナニ言ってるんですか西さん。ポテサラは本来ジャガイモの食感を味わうもので、釣りの餌みたいに練り練りにするもんじゃないですよぅ」
珍しく後輩ちゃんが反撃に出る。彼女がこんなに主張することってまず無いから、何か思うところがあるんだろう。

「ちょっと待った！ポテサラは綺麗に潰したジャガイモにマヨネーズをドバッと入れて、沢山のマヨネーズを投入しちゃった背徳感と共に戴くものでしょ」

「いやいやいや……ジャガイモを食べるんだから、食感がない位に潰しちゃったら……」
「マヨネーズのないポテサラなんて、コーヒーのないクリープみたいなもんだっ！」

西さん。一つだけ言っておこう。
昔のネタを一生懸命引っぱってきたのは偉いが、それを言うなら『クリープのないコーヒー』じゃないかな。コーヒーのないクリープって、単なる脱脂粉乳だと思うんだ。

アタイがハイボールを呷っている間に、二人はどんどんヒートアップしていく。こっちに飛び火しなきゃいいけど……
『で、河嶋さんは……』
二人の声が揃う。ヤバい、こっちに火の粉が飛んできた。
「ジャガイモの食感派ですか？」
「マヨネーズの風味派ですか？」
『わたしは……』
二人が恐ろしい目つきでアタイのほうを向く。


基本的には、どちらかに偏ることはない。
その時の気分や体調なんかで決める。
あと、味付けはマヨネーズ以外にもドレッシングとか使うぞ…
それから……
飲み屋でポテサラを注文したら、少しずつ食べ滅ぼして…
一口ごとにそのまま食べたり、カウンターに置いてある調味料で味変したり…そうやって食べると結構飲めるぞ♪

二人の声が揃う。
「それって飲み助の理屈でしょっ！」


だったら飲み屋で聞くんじゃないよ！