憶えば君は

朝
目覚めが叶った
〝ありがとう”
　自分の命
静かな空気で
澄んだ気配の朝に
目覚めが叶った
ボクは嬉しくて
植物の君達と分かち合いたくて
喜びを伝えたんだ
憶えば君は…
自然発生で突然…産まれた
園芸店に居た訳ではない君
ボクは君を見つけたとき
ドキューン
キュートな君の姿に
ドキドキしたんだ
突然発生の君だから
名が分からなくて
ボクはどれだけ君の名を
知ろうと思った事か…
今では君の名は
『フタバアオイ』だと分かっているけど
君の名を知りたいと必死だった
あの時のボクは
名前を調べて育て方のコツや留意点
そんな事を知ろうとしたのだと思う
愚かだったな…と思い返してる
君は
自分で生き方を知っているのに
あの時のボクは
知る由がなかったんだ
ボクがちゃんと育ててあげたい
そんな事を自分の中で
勝手に決め込んでたんだ
君に対して
恥ずかしくなるよ
自分の命のことは自分が考える
そういう事だと決まっているのに
愚かだった
ボクは今では
君が地面から出てきて
姿を魅せてくれる事が
奇跡で嬉しいとだけ思うんだ
逢えたら幸せ
逢えなかったら逢えなかったなんだ
諦めたくないけど
君の命は
君だけのもの
ボクがどうにか出来ないもの
だから…さ
こうして今
君がボクの前に
姿を現してくれていること
とても嬉しい
ボクは…
目の前に居る
フタバアオイの君といる
今が全て
ボクは君と出逢った時
一目惚れしたんだ
だから
君を離したくなくて
必死に君の名を知ろうとしたんだ
憶えば君は
マイペース
一目惚れの君に
ボクは敵わない