真の宝　ナーガールジュナ

ムニは、浄信、戒、教学、布施、慙（ざん）、愧（き）、智慧が、七つの宝であると説いています。他の全ての財は無価値であると知ってください。

賭け事、見世物、怠惰、悪友に交わること、飲酒、夜行、これら悪趣に落ち名声を損なう六つのものを辞めるべきです。

天人師は、満足があらゆる財のうちの最高である、と説いています。よって全てに満足すべきです。満足があれば、たとえ富を持たずとも、真の富者といえます。
高貴なる者よ、財が多いとそれだけ苦しみがあり、少欲の人はそうではありません。大竜には頭の数だけそれから生じる苦しみがあります。

復讐の女神のように生まれつき恨みを抱く女、女主のように夫を軽蔑する女、盗人のようにわずかな物でも盗む女、このような三種の妻を避けてください。
妹のようにおとなしく、友のように慈愛があり、母のように恵み深く、召使のように従順である女は、家の守り神のように尊敬されるべきです。

食事は薬のようであると知って、貪ることなく、また怒ることなく食をとるべきです。食事は強壮のためでも、誇りのためでも、太るためのものでもなく、ただ身体を保つためだけのものです。

知識の要を終日に渡って、さらに夜の初めから深夜にわたって暗誦し、眠りの時も無駄にしないように、その間に記憶するように眠るべきです。

慈愛、哀れみ、喜び、平静な心を、常によく修めるべきです。たとえ高い境地に至らなくとも、梵天の世界の幸せを得るでしょう。

欲望、思案、喜、楽と苦を断つ四つの瞑想によって、梵天、浄光天、広善天、広果天の神々と同じ幸せを得るでしょう。

例えば少量の塩は水がわずかであるとき、その味を変えますが、ガンガー（ガンジス川）の流れの味を変えることはありません。悪業も、善根がわずかなときと広大なとき、それと同じであると知るべきです。

興奮と悔恨、悪意、無気力と惰眠、愛欲、疑念、これら五つの障害は、善の財を奪う盗賊であると知るべきです。
信、精進、正念、サマーディ、智慧、これらは五つの優れた法則であって、そのために努力すべきです。これらは最高の力といわれ、また最上のものでもあります。

病、老い、死、愛別離苦などの苦しみや、また自らの行いの報いを逃れることはない、と繰り返し思惟する人は、煩悩を断つことによって自惚れることはありません。

天界の幸せや解脱を願うなら、正しい見解を修めるべきです。誤った見解によって悪を行っても、決して善の果報を受けることはありません。

人間は真実には、不浄であり、楽がなく、無常であり、無我であると知るべきです。正念を修習しない人々は、四つの倒錯をもってものを見、破滅します。