【出張】なんでこんな時期に…

交流スペースフリートーク

2022.01.21 23:25

ポンコツ河嶋桃@🐢大洗女子カメ㌠🐢さん

SGマスタ

嫌だ。
行きたくない。
出張？泊まり？しかもこんなえらい状況下で？
「現状確認しないと修繕の手配どころか下見積もりも出来へんのよ」
ぼやくように呟く所長の一言であっさり出張が決定した。

「おはようございまーす」
約束の時間より少し前に今回のバディ登場。
新進気鋭のゲンバ女子、西さん（仮名）。今回の案件に関していえば、所内の誰よりも詳しい。
ところが、だ。
機械装置の取り扱いを熟知していても、言っちゃ悪いが見積もりやら書類の作成は大の苦手。
バディは別に誰でもいいんだろうけど…経費的に安上がりにしたいなら宿泊先の費用を抑えるべし。なので候補はある程度絞られる。
あと、単なる事務方では駄目。ゲンバも書類作成もある程度出来る奴でないと困る。
そんな組み合わせを考えたら…
なんとまあ、そんなくだらない理由でアタイがバディになったわけだ。
スケジュールとしては
DAY1：移動日。宿に着いたら部屋を前線基地にする
DAY2：先様に赴いて現状確認。終わったら基地に戻って下見積もり
DAY3：見積書を提出したらとっとと帰還
な感じ。

「ねえ、河嶋さん」
『何？』
ゴトゴト揺れる特急電車の中で不毛な会話が始まる。
「車内販売とかあるんですかね？」
こんな中途半端な距離の特急にそんなものある筈も無い。あってもこのご時世やってないんじゃないかな。
「え～っ。あたし、噂の『シンカンセンスゴイカタイアイス』とか食べてみたかったのに～」
いま乗っているのは新幹線じゃない。ていうか今日は仕事であって遠足じゃない。
「あとぉ～、車内販売でビールとか」
仕事中だ！飲めるんなら駅でとっくに買っている。て言うか駅でキミを待っている間に飲んでいる！

『本日より予約しています、ガルパンテクノロジーズ南紀営業所（仮名）の河嶋と申します』
「お待ちしておりました。あ、御社から荷物が届いておりますのでお部屋に搬入してございます。チェックアウトの際はお荷物をフロントにお預けくださいましたら御社に発送いたします」
『ありがとね』
「凄～い。このホテル、見かけはオンボロだけど、超一流のサービスなんですねぇ」
アタイが事前に頼み込んでおいたからだ。
部屋に入ると、早速届いていた荷物を二人で開梱。
社内ネットワーク用のノーパソやプリンタ、通信用のグッズ等々。ホテルの通信回線が使えないときやなんやかんや用のWi-Fiルータ（残念ながらmineoではない！）を一つずつチェックしながら簡易的なシステムを組み上げる。

「で、あの～。河嶋さん」
ん？
「なんで河嶋さんは戦争に行くみたいなリュックを背負って来たんですかぁ？」
効率がいいんだ。いつもどこに何を入れるか決めてあるから。
て言うかワークマンのリュックで戦争に行く奴はいない。
彼女を若干無視しながら、今度はアタイの荷物を開梱。作業着やブラウスなんかをササッとハンガーに掛ける。
「きゃ～っ！」
『どうしたの？』
「あたしのブラウスがくしゃくしゃに…」
海外旅行にでも行くようなキャリーバッグに何でもメタクソに詰め込むからそうなるんだ。
『貸してみ』
アタイと彼女のブラウスを掛けたハンガーを並べて、戦争リュックから取り出したスプレーを噴射する。
「っ？？？」
『皺が目立たなくなるくらいスプレーしたら、後はそのまま放置プレイ、吊っておくだけ。あとは空調機がいい感じに乾かしてくれるから』
「凄～い。これって何かの魔法のお水？？」
『大阪広域水道企業団の水。わかりやすく言うとおうちの蛇口から出る水道水。さあ、仕込みも終わったし、晩ご飯がてら呑みに行こうか！』

「で、河嶋さん」
何だよもう。こっちは酔っ払ってるからまともな返答なんかできない。
たぶん、何を言ったか明日になったら憶えていない。
「いつも何を呑んでいらっしゃるんですか？」
『焼酎のソーダ割りかハイボール。炭酸水と麦焼酎とスコッチウイスキーの在庫は死ぬほどあるから。二ヒヒ』
「で、いま呑んでるのは？」
『ハイボール』
明日も仕事が控えているという状況下、いつも通りが一番宜しい。ポン酒なんか呑んだら明日エラいことになる。

「豪傑の河嶋さんも、今日ばかりは大人しいんだ。フフッ」

聞こえてるぞゴルァ！

「で、河嶋さん。何してるんですかぁ？また新兵器登場ですか？」
枕元でスマフォの充電する用に…
「個人持ちで電源タップ持ってきたんですかぁ？アハハハ！超ウケるんですけどっ！」
ビジネスホテルに宿泊するときの基本だ。憶えておきなさい。

「あの、河嶋さん……」
『ん？』
「あたしも電源借りていいですか？」
好きにしたまえ。