【小説投稿実験】生命の灯が消える、その日まで。①
皆さんこんにちは。
マイネ王の世界に飛び込んで間もないポンコツ河嶋桃です。
今まで下らないことばかり書き連ねてきましたが、先輩マイネ王国民の皆さんに背中を押されて『過去に書いた短編小説的な何かをアップロードしてみよう』そんな気持ちになってスレを立ててみました。
*必ずお読み下さい*
医療関係の描写がありますが、この物語は完全な『フィクション』です。現実と混同しないようにご注意下さい。実在の病気や病態とは一切関係ありませんよ。
【第一章・卒業】
「こらぁ!美歌(みか)も優斗(ゆうと)もいつまで寝てんのよ!早く起きて着替えないと学校に遅刻するよ!」
起きてくる気配が全く無い子供たちの部屋のドアを叩いて回る(綺麗ごとを言っているが、実際は洗濯カゴを抱えながらドアを蹴っている)。あ、お鍋の火が点けっ放し!マズい、早く戻らないと…
ああ、朝はいつもこんな具合で戦争だ。私は兵士たちを前線に送り出す補給部隊か!補給物資をじゃんじゃん送り続けているのに前線の兵隊はのらりくらり。いい加減にしろ!
「ねえママ、朝刊は?」
「見てわからない?いま朝ごはんの準備してるのっ!自分で取りに行って頂戴っ!」
「ご、ごめん…」
不用意な一言を発した夫は、しまったというような表情を浮かべてネクタイを締めながら玄関に向かう。ここはファーストフード店や喫茶店じゃないんだから、思うように何かが出てくると思ったら大間違いだっ!私のイライラが頂点に達しようとした丁度その頃、着替えと洗面を済ませた二人の子供がバタバタと食卓の椅子に腰掛けた。
「おはよう!身支度はちゃんと出来た?」
「姉ちゃんが長いこと髪の毛弄くり回してばっかで洗面台が使えなくてさぁ」
「優斗は男の子なんだから、お風呂でも歯磨きとか出来るじゃん」
「男だとか女だとかそんなの関係ない!僕だって髪型くらい気にするし…」
「色気づいてんじゃないの、このあほ!あたしのは『レディの嗜み』ってヤツ。あんたみたいな『女の子にモテたい』だけの色惚けじゃないのっ」
「何を、このっ!」
そんなことはどうでもいい。さっさと飯を喰って学校に行け!下らない言い争いを続けようとする二人を見た瞬間、私の怒りが火山のマグマのように噴き出した!
「二人ともいい加減にしなさい!身だしなみに時間をかけたいなら、もっと早起きすりゃいいってことに気づけっ!!」
「はい…」
寝癖だらけでショートボブの私が説教したところで何の説得力もないと思ったけど、二人は素直に聞いてくれたようだ。まあ、今日のところは、だけど…のろのろとネクタイを締めながら(いつまでやってるんだ!)朝刊を抱えた夫が戻ってくると、私は三人を満足げに眺め回して食卓についた。
「いただきま〜す」
慌ただしくごはんを食べながら、私は手っ取り早く家族の行動予定を確認する。
「みんな、お弁当は台所にあるから各自忘れずに持って行ってね!あと…今日パパは遅くなりそう?」
「いや、今のところ仕事が立て混んでる訳でもないから定時で事務所を閉めたら早々に戻って来る」
「了解!じゃあ次は美歌。高校入試の模試結果出るの今日だっけ?」
「明日よ、ママ。今日は特に何も無いわ」
あちゃ、私としたことが…では、気を取り直して。
「優斗は部活?」
「うん。ただ、顧問の先生が何か用事があるとかで早めに切り上げるらしいから五時位には戻ってると思う」
私の頭の中で何かが閃いた。
「あ、じゃあ今夜は全員集合だ!折角だからお鍋にでもしようかしら」
「やった〜!」
そう言って盛り上がった食卓からお皿を下げようと立ち上がった瞬間、私の視界は奇妙に歪んだ。
ありゃ?ふと気がつくと私は家族に抱えられ、居間のソファに寝転がっている。ソファの周りはお皿が割れたりしてえらいことになっている。やっちゃった…
「ごめんごめん。何かふらっとして…貧血か立ちくらみかな。アハハ」
「笑ってる場合じゃないよママ。今月に入ってふらつくのは三回目だし、今日は派手にぶっ倒れるし…」
優斗が心配そうな表情で私の顔を覗き込む。パパが追い討ちをかけるように捲し立てる。
「事務所のクライアントに腕のいいお医者さんがいるから、予約無しで診察とか検査して貰えるように頼んでおく。だから今日すぐに受診して!」
「晩ごはん位は私が何とかするから、ママはゆっくり休んで!」
美歌、その言葉は頼もしいんだけど…君は家庭科の授業以外で料理なんかしたことないよね…
夫が紹介してくれた病院で内科と耳鼻科の検査をしてもらったんだけど、特に異常は見つからなかった。
「念のため、採血しますね~」
腕の良さそうな年配の看護師に腕を一発で仕留められた私は、数日後に血液検査の結果を貰うために再び病院に赴く。帰りにお買い物して…今日こそはお鍋にしようかな♪
何の危機感も無く診察室の椅子に腰掛けた私に、医師は俄に信じ難い一言を発した。
「いまから紹介状を書きますので、大学病院で検査を受けて下さい。先程大学病院に空き状況を確認したら、たまたま明日の午前中に枠があったのでもう押さえてあります。いいですかっ!何度も申し上げますが必ず検査を受けて下さい!」
何言ってんのこの医者?何がしたいの?どういうことかサッパリ見当もつかない。
「へっ?私は一体何の検査を?」
「頭部MRI、です」
「あの…頭の輪切り写真みたいなヤツを撮るってことですね?それって耳の中、外から見えないところに何か異常があるとか…」
医師は、一瞬の沈黙のあと言いにくそうに告げた。
「仰る通り、もの凄く細かいところまで『脳味噌の輪切り写真を撮る』検査をします。結果は、検査後に大学病院で聞いて下さい。ひょっとすると、って事もあるので…」
何言ってんだこいつ?
「すみません、意味が良くわからないんですが?ひょっとすると、ってどういうことですかぁ?」
医師は言葉を濁す。
「過去に同じような症状の患者さんを診たことがあって…その時はMRI検査でしか何の病気か判明しなかった、ということです」
「へえ、そうなんだ。じゃあMRI検査で、ママが何の病気かわかるってことなのかなぁ」
缶ビールを呷るパパは、なんだか呑気そう。いつものことながら危機感の欠片もない。こちとら何の病気かもわからなくて不安で仕方ないというのにっ!
「仮に何の病気かわかったところで、もし私が不治の病とかだったらどうするのよっ!もう……少しは心配してよ」
不意に美歌が立ち上がる。
「不治の病とか、冗談言わないでっ!」
「姉ちゃん、ママがいないと何も出来ないもんね~」
優斗が美歌をからかう。
「莫迦っ!そんな事言ってるんじゃない!あたし達がママに毎日毎日怒られたり、あと…偶に、だけど褒めて貰えたりするのはどうして…?あたし達の事を大切にしてくれる家族だからじゃないの?世の中にたった一人しかいないママだから、何かあっちゃいけないし、何もあってほしくないから…」
「ごめん。僕だってその気持ちは変わんないよ。ママの代わりなんて世界のどこを探したっていないからね」
二人とも偉い。私の事を家事マシーンとしてでも鬼婆としてでもなく「母親」だって認識してくれてたんだ…
あれ?でも…
「え?でもその話、何か私が不治の病だって前提になってないかしら?」
ビールの空き缶を握り潰したパパが真顔になった。
「いい加減にしなさい。明日の検査結果を待ってから考えりゃいい事だろ」
私自身、その時は大した病気じゃないと楽観視していた。だから自分が死ぬみたいな冗談言ってたけど…
母親、鬼婆そして家事マシーンを卒業しなくちゃならない時が来るなんて、その時は全く思っていなかった…
(つづく)
よく出来た物語ではないですが、興味があればお付き合い下さい。
小説になってる(なんて偉そうなことは言えないけど・・・・・🙄)
続きが気になる。早く読みたい。
続きはまた明日?楽しみが増えました😉
>> なかっぴ さん
そろりそろりとスタートです>> ob2@風邪と共に去りぬ🤧 さん
明日じゃなくて数日後です飲んだくれてるから作業だだ遅れです
>> ob2@風邪と共に去りぬ🤧 さん
数日後♪【第一章・卒業】。
何章まであるのか、卒業は次のステージへのスタート。
美歌の中学卒業という伏線は...
次が楽しみです(^^♪
>> ポンコツ河嶋桃@🐢大洗女子カメ㌠🐢 さん
(  ̄- ̄)。o○(数日後、、、
現実と物語の時間の流れがリンクする...とか?!
)
ラノベ読みですので、もう少し一行を開けるのが多くなると読みやすい気がします😊
純文学の作法ならごめんなさい。
始まったか( ̄∇ ̄)
あ、フィクションでしたね💦
リアルなら、頭部MRIからの心臓カテーテルの流れが私と一緒だなー…と🙄
続きが気になりますー🤗
>> なかっぴ さん
なかっぴさんは愛称を付けるのが上手い。ポンちゃん
姫
妖精
いや、文才もある。
★マークして楽しみにしてます。
>> 永芳 さん
ふふっ(^_^)>> 永芳 さん
ひ・み・つ❤>> 杏鹿@………………………… さん
文学小説書く前の練習のつもりで書いたモノなんですが…マイネ王の表示形式からすると場面反転の時は行間開けたほうがいいかも、ですね
色々試してみます
>> ギリアム・イェーガー・ヘリオス さん
おっ?!始まったよぉ( ̄∇ ̄)
>> とんちゃん8282 さん
フィ~ックション!誰か噂してるな…
一褒め、二誹り、三は風邪(^_^)
>> 伊勢爺い さん
あんまり褒められたことないんでなんか照れます暫くの間、お付き合いくださいませ
一般家庭にありがちな朝の戦争シーン描写が秀逸ですね。呑気な旦那と子供にイライラしながら奮闘する妻。そこからの病気発覚。間がいいねぇ。交差点の出会い頭でぶつかる高校生男女の出会いを彷彿させるベタな展開からの急降下。ママの病気はなんだろう。
でも読んでてふと思ったのはフィクションじゃなくて桃ちゃんの日常を小説化したのかと思ったよ。ドタバタからの入院。デジャブってやつか。
続きもゆるゆるヨロピコ。
イイところで終わるじゃありませんか?!
次も楽しみにしています♪
>> じんで@肘の君 さん
>>桃ちゃんの日常を小説化したのかと思ったよ。所帯を持ったことはないぞ~
この小説のママみたいな朝の家事戦争はあるけど(^^)
>> HAYA さん
連ドラとかの鉄則ですよ(^^;)テヘッ
今日中には、第二回アップできそうです
只今最終チェック中!
さあ、文学大賞への応募準備ですわよ!!<煽らない。
フィクションの文才は私にはないんですよねえ。:)
※とか言いながら私自身はノンフィクションで
色々物書きしたことあります。
過去に調べたら国立国会図書館に蔵書として
保存されてました。そりゃ当然か。
国内刊行物は全て収蔵するのが目的だし。:)
>ありゃ?ふと気がつくと私は家族に抱えられ、居間のソファに寝転がっている。
登場人物が意識消失して倒れる場面は、病気絡みの小説にありがちです。
臨床症状と診断の関係は置いておいて。
素朴な疑問ですが、
一般家庭で家族が突然失神して倒れたとしたら、皆さん如何対処されるのでしょう。
大袈裟な原因がない場合でも、10数秒から数分間意識が戻るまでに掛かります。
何もせずに様子を見るのか、焦って救急車を呼ぶのか。
実はうちの奥様が、前触れなく晩ごはん中に失神したことがあります。
失神のことは奥様から聞いてはいたのですが、遭遇したのは初めてです。
椅子から崩れ落ちたと同時に赤い液体を吐いたのを見て、一瞬「やばい!」っと思いましたが、
赤い…
赤?
飲んでいた赤ワインでした。
脈と呼吸を見て「これが以前から聞いていたやつか」と思いましたが、意識が戻るまでに数分。
安全な体位に転がして、吐物を片付けながらふと思う…
「パニックになる人もいるんだろうな」
「俺って、冷静というより非情?」
などと、いろんなことを思うのでした。