44993874_481231862385616_6904411055057797120_n.jpg

  • インタビュー
  • コミュニケーション

人間関係には“見えない通貨”がある!? 発達障害の営業マン、借金玉さんに聞いた人間関係の生き残り方とは

神田匠

ライター:神田匠

有限会社ノオト所属のライター・編集者。かわいいものと気持ち悪いものが好き。

  • はてなブックマークに追加

みなさんは日々の人付き合いの中で、相手とどう接しようか悩んだり、何気ない言葉が本意でない受け取られ方をして後悔したりすることがありますか? 私はしょっちゅうあります。特に苦手なのがあいさつで、人とすれ違うたびにどうしていいかわからなくなってしまいます。

そんなときに手に取った本が、発達障害を抱える営業マン・借金玉さんの『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)です。

借金玉さん自身の経験をもとに、発達障害の方が普通のことを普通にやるためのライフハックを詰め込んだ本書。そのなかで示されるノウハウは、発達障害の当事者でなくとも役立つものばかり。

この本の中で、発達障害による困難は「仕事」「人間関係」「日常生活」の3つの場面で表れると説明されています。今回は私の悩みでもある、生きていくうえでは切っても切れない「人間関係」にフォーカスして話を伺いました。

借金玉(しゃっきんだま)
32歳。コンサータを飲んでなんとか生きる発達障害者。早稲田大学卒業後、金融機関に就職するもまるでダメ。その後一発逆転の起業で一時調子に乗るも、昇った角度で落ちる大失敗。鬱、非正規営業マン、ツイッター、ブログ、フリーライター、マイクロ起業などを経てKADOKAWA社より「発達障害の僕が食える人に変わったすごい仕事術」を上梓。やっていきたいという気持ちで生きています。やっていきましょう。

人付き合いが苦手な人が、もっと楽に生きるために

私自身、ハッとさせられることが多く、とても参考になりました。この本を書いたきっかけを教えてください。

今でこそ「発達障害」という言葉を耳にするようになりましたが、症状を抱える当事者と周りにいる人が互いにどう関わればいいのか、まだ社会的に十分理解されていない状態です。この本は、当事者がどんなことに苦しんでいて、周りの人がどのように歩み寄っていけばいいのかを知ってもらうことが、目的の一つでした。それ以外にも、仕事や人間関係がうまくいかなくて悩んでいる人に役立ててもらえたらという思いもあります。

発達障害とはどのようなものを指すのか、改めてご説明いただけますか。

本書で扱っているものをざっくり説明すると、たとえば、落ち着いて座っていることが難しい注意欠如・多動症のADHD、自閉症やアスペルガー症候群など概して人との関わりが苦手なASD(自閉スペクトラム症)というものがあります。しかし、発達障害と言っても、一人ひとり現れる形が違うので一概には言い切れません。

ひとくくりに説明できない、とても複雑なものなんですね。

そうなんです。「発達障害」とひと口に言ったところで、それぞれが抱える特性は違いますし、周りもどうフォローすればいいかわからない辛い現実がある。本書では、そうした悩みを持つ人たちが楽に生きるための具体策を示しています。

円滑なコミュニケーションのための、“見えない通貨”

本の中で、相手とのコミュニケーションを円滑に進めるための“見えない通貨”についての話が出てきました。これは、どういうものでしょうか?

例えば、商売をする関係の中では、「お金」こそがお互いに共通して理解できる価値基盤だと思います。金銭面でうまくいく相手とはスムーズにコミュニケーションが取れますし、そうでなければ関係が悪化する。お金のやりとりがない人間関係でも、このようなものが存在していると仮定しました。

それが“見えない通貨”ですね。

そうです。そうした人間関係では、お互いが大事にする共通の価値基盤がわかりにくいために、コミュニケーションがうまくいかない場合があるのだと思います。そこで、コミュニケーションを円滑にする見えない通貨として、「褒め上げ」、「面子(メンツ)」、「あいさつ」の3つをピックアップしました。

すごく明快に整理されていますよね。その3つはシンプルですが、人間関係をうまく構築していくためのコアな部分だと感じました。

つまり、「この通貨を払わないと損をするぞ」ということですね。しかし、見えない通貨は、職場や友人関係などそれぞれの場所のカルチャーによって異なります。例えば、大きな声であいさつをするのが良しとされている職場での習慣を、別の職場に持ち込んだところ、まったく受け入れられないことも起こり得る。限定された場所でしか通用しない、いわば「部族の風習」のようなものなので、どんなことやものが見えない通貨なのか読み解くことが必要ですね。

今までぼんやりとしていたコミュニケーションの輪郭が見えてきた気がします。特に「褒め上げ」と「あいさつ」に関してお話を伺いたいです!


相手を褒めるには、言葉よりタイミングが重要

まずは「褒め上げ」についてお聞きします。これは、どんな言葉で相手を褒めるかが重要なのでしょうか?

いえ、むしろタイミングのほうが大事です。そもそも相手に耳を傾けてもらう必要があるので、上手に言葉を尽くすことにあまり意味はないんです。人間はどれだけねぎらってもいいので、相手が褒めてほしいと思うタイミングを見計らって、「音ゲー」のように狙い撃つことが肝心ですね。

音ゲーとは言い得て妙ですね……! 具体的にどんなタイミングで褒めるのがいいのでしょうか。

まだ認められていない努力や苦労があると、人はどうしてもしゃべりたがるものです。なので、そのタイミングで褒めるとクリティカルに入りますね。誰かの話を聞く際は、この人は何をがんばっていて、どんなことを認めてほしいのか観察すると、タイミングがつかめるのではないでしょうか。

すぐに実践できそうですね。別の話になりますが、褒めることに限らず、文章でのやりとりで注意すべきことはありますか? 私は仕事上のメールを送るとき、怒っていると相手に思われないよう、ついつい「!」マークを付けてしまいがちです。

そこは、各部族のカルチャーにより大きく異なるので、判断が難しいですね。仕事柄いろんな業界の方とやりとりしますが、「!」マークはもちろん、顔文字を使っても良いところもあれば、そういった表現がまったく許されないところもある。ですので、相手がどんなカルチャーに属する人なのかを見極めるのが大事なのではないでしょうか。相手から凝ったメールが来たら、ちゃんとそのスタイルに合わせて返信するなど、相手に合わせるのが重要だと思います。

たしかに、しっかりとした文面で送られてきたメールに顔文字を付けて返信したら、かえって相手の心証を悪くしてしまいそうですね。今後意識してみます。

あいさつは“通信可能”な相手かどうかの確認作業

私の一番の悩みなんですが、あいさつがすごく苦手なんです。大学生時代、苦手すぎて一切あいさつをしなかったら、周りから人がいなくなってしまいました。今でも同僚と廊下ですれ違ったときに、どのタイミングで相手を認識して、どういうトーンや距離感で声をかけるのかが、いまだによくわからなくて……。

勘違いしている人も多いのですが、一番大事なのは「コミュニケーションはミスってもいい」ということ。あいさつも、やらないよりは失敗するほうが、全然マシです。会釈して「どうも〜」くらいのレベルで大丈夫なんですよ。

ちょっと気負いすぎていたのかもしれません。

そもそもあいさつは、お互いの配線をつないでチューニングして、通信可能な相手がどうかをチェックするものです。だから、それができないと通信不可能とみなされ、回避されてしまう。

あいさつに、そこまで重要な意味があったとは……!

あいさつには情報的価値がないので、戸惑う人も多いでしょう。ですので、相手が通信可能かどうかを見極める重要な確認作業と認識する必要があります。

ちなみにあいさつ以外で、確認作業をするための具体的な話題などはありますか?

具体例としては、天気の話がなかなか優秀ですね。「今日は暑いですね」とか、「この間の台風すごかったですね」とか。会話が成立するだけで、人間は安心して警戒を解くので。このように、お互いの共通認識を確認する話題は、害がないものが多いです。SNSなどで相手の情報を調べて、共通の話題を見つけておくのもアリですね。

まだまだあいさつに緊張してしまうので、もっとフラットなものと捉えて、気負わずやってみます!

雑談の答えは、すべてYESでいい

あいさつの話にもつながりますが、日頃の雑談もなかなか難しいですよね。相手から来た話題をどう返していいか、悩むことがしばしばあります。

雑談ならば、基本的に答えはすべて「YES」で問題ないでしょう。相手が言ったことにまず同意して、そこから話を展開すると、コミュニケーションはうまく回ります。

なるほど……。がんばって丁寧に答えようとして、空回りしているのかもしれません。

例えば、同僚とラーメン店に行って「このラーメン、あまりおいしくないよね」と言われたとします。ですが、自分はその店に通いつめていて、そのラーメンがすごく好きだと。そこで「僕は好きですけどね」と返すと、少し空気がピリッとして会話が終了してしまいますよね。

私はたぶん、そうやって返しちゃうかもしれません……。

しかし、まず同意で受けて「そうですね。どういうラーメンがお好きなんですか」とつなげると、角が立たないし、会話も続きます。ラリーを続けたあとに「実は、このラーメンあまり嫌いじゃないんですよね」と返せば、自分の気持ちも伝わるし、衝突もしません。

きちんと自分の思いを伝えようとしすぎて衝突することが多かったので、なんだかすごく腑に落ちました。

間違っていることは間違っていると伝えるのが誠実だし、嘘をつくのは相手に失礼だと思ってしまう。それはとても正しいことで、相手とちゃんと向き合って会話しようとしている証拠なんです。しかし、雑談では、あまり深く考えずに、とりあえず同意で受けるようにすると、コミュニケーションがグッと楽になるのではないでしょうか。

コミュニケーションを重く捉えすぎない

これまで悩んでいたコミュニケーションについて、言語化して整理できたので、すごくすっきりしました。

結局、「コミュニケーションをあまり重く捉えすぎるな」ということだと思います。コミュニケーションが苦手な人に共通しているのは、目の前の相手に対して一生懸命なことなんですよ。僕も含めてですが、完璧主義の人がけっこう多いんです。それが逆効果になってしまっている。固定化された人間関係の中でスマートである必要はあまりなくて、愚直さや苦手なことを一生懸命やっているほうが得をすると思います。もっと肩の力を抜いて適当にやろうよという話をよくします。


はじめから完璧にやろうとせず、もっと楽に行こうよということですね。ふっと背中を押された気がしました。

発達障害の人は、コミュニケーションが苦手だっていうじゃないですか。それはある意味では事実なのですが、発達障害の人だけで集まると、忖度や建前がなく、言葉を尽くして本音で向き合う世界が始まります。この世界では、場をいなそうとするような、一般的に「コミュニケーションがうまい人」がすり潰されてしまうという反転現象が起こります。だから、どっちが正しくてどっちが間違っていると言うのはあまり良くないことで、両方バランスよく行けたらいいですね。


取材協力:借金玉さん(Twitter:@syakkin_dama ブログ:発達障害就労日誌
著書:『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』

神田匠

ライター:神田匠

有限会社ノオト所属のライター・編集者。かわいいものと気持ち悪いものが好き。

Banner mineo site 320x50

Banner support site 320x50


コメント 38

これは面白い記事ですね!
私も話をするのが得意な方ではないので、参考になります。(^^

考え過ぎないことは大事

電子書籍が売ってましたので、後で読んでみようと思いました

なるほど!と思えるいいお話でした。
自分の生活にも取り入れてみようと思います。

参考になります。

気を使いすぎて、空回り、、、
よくあります。

でも、一生懸命その人を思っています。
そして、傷つけようと思ったことは、ありません。

なるほど、褒めてつかわす・・・

今回のお話いいですね
勉強になりました。

大変参考になるお話でした。
私にも思うところがあり、悩みを持っていましたが、少し明るくなりました。
電子書籍が出ているとのことですので、じっくり拝読いたします。

名前入れると弾かれる(ノ´∀`*)

うんうん♪
「発達障害の人だけで集まると、忖度や建前がなく、言葉を尽くして本音で向き合う世界が始まります。この世界では、場をいなそうとするような、一般的に「コミュニケーションがうまい人」がすり潰されてしまうという反転現象が起こります。だから、どっちが正しくてどっちが間違っていると言うのはあまり良くないことで、両方バランスよく行けたらいいですね。」
そだね(^-^)
みんながなるべく具合よくいくと、
いいですね。

発達障害からくる問題は、おかしい!違う!とか受け止めずにそういう風に感じてるのかと寄り添うことから始まるように思います。関西人の率直さは逆効果のようですね!?
多様で共生が広がることを願います!

息子(中1)が発達障害です。まわりの関わりが大事な事、本人の生きにくさと寄り添うことはできても、理解できないもどかしさがあります。人間関係に通貨かぁ、気付かなかった。そんな考え方もあるのですね。未来が明るく楽しいと思えるようになって欲しいと願います。まずは、息子を褒めなければ!!

そんなことより、僕と契約して魔法少女になってよ

素晴らしいですね。参考にします。

とても興味深い記事でした。

みんなが優しく機嫌よく生きられたらいいですね!

記事を読んでビリージョエルのオネスティが聴きたくなりました。

発達障害であろうが無かろうが、たいへん為になる記事でした!
人間関係は永遠の課題ですからね。
書籍もぜひチェックさせてもらいます。

読むだけ無駄というか、「すごいすごい仕事」(涙)

「発達障害」だの何の関係もなし
小学生レベルの挨拶うんぬん、
わざわざ本にして出すようなレベルなのかしら。
「食える」だとか書名も下品なのに、
出版社を見ただけで、うわぁっとなっちゃった。

町の書店が、「意識高い系」や「情報商材屋」や「マルチ商法」とかの
洗脳集会場みたいにヤバイことになっているのに、

マイネ王とやらでも、mineoメールを悪用して、
そんな変な雰囲気にするつもりなの?

「気持ち悪いものが好き」とやらの「ライター:神田匠」さんの
知的水準では、こんな本にうっとりするのだろうけれど、
自身のチラシ裏にでも書き留めることでは?

一斉メールで送って来ないで下さい

わたしはADHD。毎日、がんばって仕事してます。
この長い記事は、ADHD の私にとって、途中から内容が頭に入ってきませんでした。(長文が理解できません)
発達障害は個人差がありますが、私は、この記事を読み終える事が出来なくて悲しい。

コメント失礼します。
すごく参考になるお話、ありがとうございます。

「発達障害」
よく耳にするようになった言葉ですが、私自身ほどんど理解できていません。

発達障害の有無に関係なく、「人が人とどう関わっていければいいのか」を導いてくれるお話だったように感じました。

人間関係には“見えない通貨”がある!?
すごくおもしろい発想ですね。
そして「この通貨は払わないと損をする」んですね。

出し惜しみせずに“見えない通貨”をだせる人間になりたい、と思います。

次回、書店に行く際にはぜひチェックさせていただきます。

作者を検索してみましょう。
Twitterでちとね(^_^;)

自分、頭皮毛根障害です。

だれでも障害は持っているものですと思っています。

「発達障害の人が集まると、コミュニケーションが上手い人がすり潰されてしまう」
面白いですね。
現代社会では発達障害でも、彼らが大多数になれば、コミュケーションが上手い人が逆に発達障害と診断される。そんな可能性すら感じます。

「もっと肩の力を抜いて適当にやろうよ」

本当にそう思います。
それはコミュニケーションに限らず、何でもそうですよね。

力が入りすぎると大体上手くいかないもんです┐(´д`)┌ヤレヤレ

リラックスしていこう♡

興味深い記事で一気に見てしまいました。書籍もぜひ読みたいと思います。

「コミュニケーションはミスってもいい」

早めにこのことに気付くことができれば...、という思いでいっぱいです。コミュニケーションで失敗を恐れるあまりさらにコミュニティから遠ざかるという悪循環に陥っていましたから。個人的には相手と向き合うことは自分とも向き合うことだと思います。

とても参考になりました。

あいさつは大事♪

先週まで普通に雑談していたのに、週明けにはよそよそしくなった、雑談どころか挨拶もあやしくなって来た場合、どうしたらいいのでしょうか?
YES さえ言えませんが。

ペンネームからして、著者が他者を愚弄してかかっていることが明白だな😒
まったくしょうもない記事だった。

本の表紙と対談の内容を見ると
発達障害という肩書きを利用して儲けようとしている人
という印象を受ける。
発達障害を持っている人の事を思うとこんなタイトルは到底受け入れられないのではないかと、そう感じてしまう。

ご自身は早稲田卒業で他人とのコミュニケーションは苦手でも、稼ぐ事について頭は回り、貪欲な人と見えます。

「すごい」とか「必ず」なんて文字が付くと拒否反応が出てしまう自分がいます。

褒め上げ、面子、あいさつ =相手を認めること、人間関係の原則 まさにその通りですね。

マイネ王 運営事務局

皆さん

たくさんコメントいただきありがとうございます!

仰るとおり、人間関係は永遠の課題ですね…。
「何気ない言葉が本意でない受け取られ方をして後悔したりする」
なんて事は結構頻繁にあるように思います。

皆さんの経験や、普段気をつけている事などがありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

まずは、挨拶からやね!

参考になりました。
気持ちの良い挨拶を心掛けようと思います。😊

相手の話を受け入れる、傾聴を行う。とは分かっていながら、気持ちに余裕がない際には、出来ない事があります。
簡単な事なんですが…

興味深い話、ありがとうございます。
参考にさせて頂きます。

ラーメンのやりとり、すごく参考になりました。

まずは挨拶から!
やってみます。

これも一例に過ぎないと、私は思います。

ママ友ができずに人とのコミュニケーションに悩んでいるので、とても気になるインタビュー記事でした。
子供が小さいうちは【挨拶→子供の月齢を聞く→天気の話】が鉄板ですが、話すことが苦手な私はそこから会話が続くことはほぼありません。
YESのタイミングも良くないのかもしれませんね。
もっと楽観的に捉えたいのですが、なかなか難しいです。

コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。