隱荳榊虚逕」_逕サ蜒十IMG_6945.jpg

  • インタビュー
  • コミュニケーション

物件探しのポイントは、気とイメージ!? 完全紹介制の不動産に聞く「要望を引き出す接客術」

伊藤 駿

ライター:伊藤 駿

コンテンツメーカー・ノオトのライター、編集者。SF映画とポップミュージックをこよなく愛する。

  • はてなブックマークに追加

突然ですが、お部屋探しって大変ですよね。

賃貸情報サイトで検索していても「あちらを立てればこちらが立たず」の連続。不動産屋さんに足を運んでも理想の部屋のイメージをうまく伝えられず、やっといい部屋を見つけても、先客にとられてしまう……。

部屋探しの素人である私たちが頭を悩ます一方で、お客さんからの相談を受ける不動産屋さんは、どんなことを考えているのでしょうか。要望に耳を傾け、きちんと理解するための、「コミュニケーションの極意」のようなものがあるのでしょうか?

そこで今回は、「誠不動産」の社長・鈴木誠さんにお話を伺いました。

<プロフィール>

鈴木 誠
不動産仲介会社「誠不動産」代表取締役。会社代表でありながら、物件の紹介・内見の案内は自分ひとりで行う。日本テレビ系列『有吉ゼミ』内のコーナー「坂上不動産」をはじめとして、テレビ・ラジオなど多数のメディアに出演。著書に『お客様の笑顔をつくる 気づかい仕事術』(総合法令出版)。

なんでも誠不動産は、「完全紹介制」というちょっと変わったスタイルを貫いていて、引っ越した後も連絡を取り続けるほど、お客さんと密な信頼関係を築いているのだとか。

そんな鈴木さんに、お客さんとのコミュニケーションと、部屋探しにまつわる悩みをいろいろぶつけてみます。


引っ越すことよりも、「引っ越した後」が大事

実は僕も最近まで物件探しをしていたんですが、そこでちょっと気になることが起きまして……。

はい、どんなことでしょう?

賃貸情報サイトでいい物件を見つけて不動産屋さんに連絡したのですが、いざお店に行って話を聞くと「この部屋には大家さん宛の郵便物や荷物が届くから、借り主はそれを別の建物に住んでいる大家さんへ送ってほしい」と言われてしまって。それは面倒だなあと思ってお断りしたんですが、これってまさか……?

間違いなく、おとり物件【※】ですね(笑)。不動産会社の営業マンが、お客さんにその部屋を諦めさせるために言っているんだと思います。「ついさっき、別の方が契約してしまった」とか、「隣の人の物音がすごくうるさい」とか、「町内会に参加して、お祭りではお神輿を担がないといけない」というのもよくあるパターンですね。

【※】おとり物件……不動産仲介業者が賃貸情報サイトに掲載している、本来は住むことができないフェイクの物件情報のこと。エリアの相場に比べて家賃が安いなど条件のいいものを掲載し、その物件への問い合わせをきっかけにして来店する顧客を増やすのが目的。不動産仲介業者の間で問題になっている。

確かに、そう言われてしまうと「それはちょっとなぁ……」となっちゃいますね。自分もまさにそのパターンでした。

賃貸情報サイトで掲載されている物件は、ひどいケースだと4割くらいがおとり物件かもしれません。そういうスタイルの不動産営業マンは、いろいろな理由をつけてお客さんに断らせて、「じゃあ別の物件を探しましょう」と、そこから仕事がスタートするんですよ。業界全体で改善していかなければいけない問題なのですが。

鈴木さんもかつては、会社に勤めて不動産営業をやられていたんですよね。当時はご自身もそんなスタイルでお仕事されていたんですか?

なりふり構わずやっていたのですが、「これが本当に仕事なのかな?」という違和感はありましたね。一般的な不動産仲介業者の仕事は、お客さんの条件にあった部屋を紹介して、手続きが済めばそこで終了です。しかし、それ以上に大事なのは「引っ越した後」で、そこをちゃんと見ないといけないな、と。

それが今の会社の設立に繋がるんですね。誠不動産は、これまでのお客さんの紹介で新しいお客さんに会う「完全紹介制」など、ちょっと変わったスタイルでお仕事をされていますよね。

紹介制は、ここへいらっしゃるお客さんに安心してもらうためのシステムです。共通の知り合いを介していれば、お客さんも「この不動産屋さん、大丈夫かな?」と思う必要がないし、逆に私も「この人、本当に引っ越す気があるかな? 安心できる人かな?」と心配する必要がない。その結果、スムーズにコミュニケーションができるんですよ。

なるほど。他にはどのようなサービスがあるのでしょうか?

引っ越しが決まった後の電気やガス、水道、ネット回線などの契約はお客さんに変わってこちらで行います。他にも、審査が通ったタイミングでドアの幅やカーテンの長さを測りに行ったり、引っ越し業者の手配をしたり。引っ越しの後は、私の電話番号が書かれたキーホルダーをお客さんにお渡ししています。「何かあったら電話して!」と。

▲大きさは2種類。透明のほうは、ホテルのルームキーのプレートくらいある。でかい!

本当に至れり尽くせりですね!

誠不動産は、「お客さんが引っ越した後に楽しく幸せになってもらうこと」を第一の目標としています。お客さんに喜んでもらえるよう、やるべきことを一つひとつ追加していって、結果として今のようなスタイルになりました。


初回は、ヒアリングだけでたっぷり1時間

お客さんとは、どんなコミュニケーションを取っているんですか? どういった方法でお客さんの要望を聞いているのか知りたいです。

誠不動産は、お客さんと最初に会った日に部屋の内見には行きません。初日は、1時間から1時間半かけて、部屋の要望をじっくり聞きます。そこで包み隠さずなんでも話してもらうんですよ。

1時間以上も! 不動産屋さんに行って、担当者さんとそこまでじっくりお話したことってないかもしれません。どんなお話をするんですか?

住みたい部屋の条件はもちろんですが、必ず聞くのは、「引っ越す理由」と「引っ越した後にどうなりたいか」ですね。後は、プライベートでどんなことがお好きで、休日はどんな時間の過ごし方をしているのかを聞くときもあります。

じっくり親身になって話を聞いてくれると、お客さんも安心して部屋探しを任せられそうですね。

そこまで聞いて初めて、お客さんの住みたい部屋の様子が見えてくるし、新しい部屋に引っ越した後のお客さんが生活しているイメージが湧いてくるんですよ。

それは、どんなイメージですか?

内見に行った部屋で、お客さんが生活している様子でしょうか。「朝はここでご飯を食べて、仕事から帰ってきて、ここでくつろいで、友だちを呼ぶときはリビングをこう使うだろうな」とか。生活のイメージが湧いてくれば、最終的に良い物件をご紹介することができると思います。

鈴木さんが直接お客さんと会って、納得行くまで要望を聞いているからこそ、お客さんの生活が見えてくるんですね。

いい部屋の見極め方は“ピンとくるか”

他に、部屋を紹介する基準にしていることはありますか?

これは信じる人と信じない人がいるのですが……。部屋に入ったときに感じる「気」というのがあって。

「気、ですか……!?」

内見で部屋の玄関をくぐった瞬間、ピンとくる物件と、そうでない物件があるんですよ。もちろん、日当たりや間取り、エントランスなどの共有部の雰囲気を見て総合的に判断しているのだと思うのですが。逆にピンとこない部屋は、入ったときに違和感があって、なぜだか全然落ち着かない。

内見で「ピンとこない部屋」に来てしまった場合、お客さんにはどうお伝えするんですか?

その部屋は、お客さんの条件とどんなにマッチしていても絶対に紹介できません。先日も内見に行ったときに、私がどうしてもピンと来ない物件があって。お客さんは別に違和感があるわけではなかったのですが、私が「ダメ」といって、次の部屋にいくことになりました。

その「ピンとくる」力、ぜひ自分も身に付けたいのですが……。

やはり、引っ越した後のことをイメージすることじゃないでしょうか? 自分がここで生活している様子をイメージできる部屋が、その人にとっての「いい部屋」なんだと思います。


内見に行ったときは、部屋のマイナス面をあえて探す

▲ビッグコミックで連載中の『正直不動産』(小学館)作者の大谷アキラさんからの色紙。作中では実際に鈴木さんの言葉が使われているらしい

他に、内見に行くときに意識していることはありますか?

お客さんには、その部屋の良いところではなく、悪いところをなるべく伝えるようにしています。むしろ、悪いところしか言わないかもしれません。

えっ? お客さんはようやく内見に来て楽しい気持ちになっているはずですよね。どうしてそこに冷や水をかけるようなことを?

まさにそれが問題で、一度舞い上がってしまうとお客さんはその部屋の良いところばかり見てしまうんですよ。だからこそ、私があえてマイナス面を指摘しないといけないんです。信頼できない不動産営業マンだと、お客さんと早く契約したいので、その部屋の良いところばかりを言うと思います。

「あえてマイナス面を見る」は、プロじゃなくても実践できそうですね。では逆に、お客さんからのリクエストで対応に困ってしまうものはあるのでしょうか?

まず、「どんな部屋でもいいんでお願いします」は困りますね。こういうお客さんは、自分が気付いてないだけで、むしろこだわりがすごいんですよ。

奥さんが旦那さんに「ご飯なに食べたい?」と聞いたとき、「なんでもいい」と言われるのが一番困るらしいですが、部屋探しでも同じなんですね。

こちら側としても、ある程度、条件やイメージが固まっていたほうが探しやすいんです。そういったお客さんの場合、「こういう生活なら駅はこの辺りが良いのでは?」と、こちら側からいろいろな質問を投げかけて、要望を引き出していくことになります。

なるほど。

加えて、これは私個人の要望なのですが、マイナス思考の人は苦手です。こちら側のエネルギーが吸い取られてしまうような気がしてしまうんですよね(笑)。

では部屋探しに行くときは、「ある程度条件を固めて、『絶対に見つかる!』というポジティブな気持ちで行け!」ということですね。


「とりあえず」は絶対ダメ! 迷ったら「引っ越す理由」に立ち返る

▲書道家・武田双雲さんが書いた「誠」の字

現在は物件情報サイトも便利になっていますが、やはり良い物件を見つけたいと思ったら不動産屋さんに足を運んで、相談するのが良いのでしょうか?

一概には言えない、というのが正直なところですね。部屋探しは同じ会社でも担当者さんによって、良し悪しがだいぶ変わってくるんですよ。信頼できない人に任せるくらいなら、物件情報サイトで探したほうがマシな場合もあります。

では、良い担当者さんに会うために、もしくは今の担当者さんから良い物件の情報を引き出すために、お客さんの側からできることはありますか?

会話をしていて対応に少しでも違和感があったら、すぐにでもお店ごと変えちゃう(笑)。自分に合う担当者さんに出会えれば、必ず良い物件を見つけてくれます。担当者さん選びはそれくらい大事なんですよ。

もし、お客さんにできることがあるとすれば、「3カ月以内に」などと、引っ越したい期日を担当者さんに伝えることでしょうか。「いつでもいいから引っ越したい」では担当者さんも熱が入らないんですよ。せっかく見つけた良い物件も、すぐに引っ越したいお客さんの方に紹介してしまいますので。

「自分はこういう部屋に住みたいんだ!」というブレないイメージを持ち続けるためには、どうしたらいいと思いますか? 物件をたくさん見ているうちに、そもそも自分がどういう部屋に住みたかったのか、どんどんわからなくなってしまうんですよね。

そういう方は、引っ越す理由に立ち返ってみるのが良いかもしれません。今の部屋が暗いから日当たりが良いところがいいのか、物が増えてしまったから収納が多いところがいいのか。家賃も重要なのですが、それを考えると自動的に、自分が探している物件のイメージが湧いてくると思います。住む部屋によって生活が決まってしまうので、「とりあえず」で決めてしまうのは絶対にダメです。

お客さんの人生が変わる瞬間に立ち会える仕事

これまでお話を伺ってきて、鈴木さんは本当に真摯に、全力でお客さんと向かい合っていらっしゃるのだと思いました。身も蓋もない質問になってしまうのですが、どうしてそこまで……?

私たち仲介業者は、部屋を紹介するのが仕事ですが、大家さんと管理会社さんの間に立つ存在でもあります。なので、いいお客さんを見つけて、大家さんに紹介するのも私の仕事です。たまに、大家さんに「誠不動産のお客さんなら安心だから、審査なくても大丈夫だよ」と言っていただけることがあるんですよ。お客さんにも大家さんにも喜んでいただけると、本当にうれしいですね。

では最後に、このお仕事をやっていてよかった、と思うときを教えていただけますか。

以前に、「彼女と別れたので別居します」というお客さんに部屋をお探ししたことがありました。同じ方が、次にお会いするときは「同棲するから2人用のお部屋を」いうリクエストで、次に来たときは「子どもが生まれたから大きな部屋に」、また次に来たときは「もうひとり生まれたから」……と。

その方の人生の要所要所で、鈴木さんが寄り添っているんですね。

もう自分のことのように、「ああ、良かったなあ」と感動してしまいました。人の人生が変化するタイミングに携われるのは、本当にうれしいですね。そんなときに、自分もいい仕事ができているのかな、と思います。

素人の素朴な疑問から不動産の仕事の裏側まで、全ての質問に包み隠さず応えてくれた鈴木さん。その懐の深さと目の前の人を大事にする姿勢が、とても印象的でした。

鈴木さんに教えていただいた、お客さんの気持ちに寄り添うコミュニケーションの秘訣は以下の通りです。

・相手の気持ちを、自分が納得して、理解できるまで耳を傾ける。
・大事なことは、たとえネガティブな情報でもきちんと伝える。
・自分のイメージを信じて、胸を張って出せるものでなければ提案しない。

自分を出すこともためらわず、「なんとなく」で妥協せず、きちんと納得できるまで相手と向きあう。シンプルなことですが、どんな場所でも心に留めておくべきコミュニケーションの秘訣なのかもしれませんね。

▲鈴木さんの顔がプリントされたオリジナルの切手。これを貼ってお客さんにハガキを送るらしい


取材協力:誠不動産

(編集:ノオト

伊藤 駿

ライター:伊藤 駿

コンテンツメーカー・ノオトのライター、編集者。SF映画とポップミュージックをこよなく愛する。

関連記事

Banner mineo site 320x50

Banner support site 320x50


コメント 24

長過ぎて、読む気がしない。

最後の行が…

私の端末のせいでしょうか?

とても気になります…

だから何なん?
って感じですかね。
こういう記事マイネ王に要りますか?

こんないい不動産屋さんがいらっしゃるのですね!

今の家に越す時に悪徳不動産屋に二軒連続当たって、えらい目に遭いました。
次の引越しの参考になりました。
とは言え紹介がないとダメなんですよね(笑)

イイと思うけど結局紹介制ではな…。

>▲鈴木さんの顔がプリントされたオジリナルの切手。これを貼ってお客さんにハガキを送るらしい

☑応募する

( ゚д゚)

おとり物件なんてあるんですね。😅

おとり物件←Youtuberだったもっと調べたり体当の報告をするのと思う。

今回の記事、なにか良いと言う物がない。

もう少し、最初におとり物件って言うネタがあるのだから、体当たりのレポートをしてもらったほうが面白いと思うが・・・。

>鈴木さんの顔がプリントされたオジリナルの切手
いらん!!

もっと一つの記事にコストを集中した方がエエんとちゃうか?
グリーンキャッスルで予算がないんか・・・?

どっかで見た顔と思ったら坂上不動産の人だーw

まいね王に必要かどうかは、さておき
私はなかなか楽しく読ませて頂きました( *´꒳`*)

オトリ物件は、あるあるですよね。
オトリ物件とわかっていても、とりあえずその物件を見ましたと不動産屋にアポを取るしかないので、オトリとわかった瞬間「やっぱりね」という気持ちになります。

しかし、最終的にはオトリ物件より良い(自分の希望に沿った)部屋を紹介して貰えれば良しと思っています。
しかし業界として改善の方向にすすむなら大歓迎で嬉しいですね!

今のお部屋も気に入っていますが、そろそろ引っ越ししたい欲がうずきます(*´艸`)

>突然ですが、お部屋探しって大変ですよね。

自覚はあったのか...>突然ですが

>完全紹介制
マイネ王ユーザーは頼めば紹介していただけるという理解でよろしいでしょうか?

坂上不動産での鈴木さん、面白かったですよね。
突っ込みどころ満載でした(^^♪

>「なんとなく」で妥協せず、きちんと納得できるまで相手と向きあう。

とてもエネルギーのいることですが、接客だけでなく、コミュニケーションをとる上でとても大切なことだとあらためて思いました。

「おもしろネタ」カテゴリではないはずなので、最後の行、気になって気になって…(シツコイデ👋)

事故物件はやめてね

「気」、風水的な何か?
あるいは「勘違い」ともw

誠不動産だけに誠に本文が長〜〜〜い!

携帯電話と、何の関係がある記事?

面白い記事ありがとうございます。(^^

>もんとるさん
接客で重要なポイントは携帯販売と似た所がある気がします。
私が云うのもなんですが「お客さんの気持ちに寄り添うコミュニケーション
の秘訣」はmineoさんでも活かせそうな気がします。(^^

最後の切手で「フフッ」ってなったw

おとり物件と言うか、人気な物件は入居者が決まっても暫くの間、ネットにあがったままの場合が多々ありますがな!

普段あまり気に留めない分野の話だったので、この機会に楽しく読ませていただきました(^^)

面白い記事でした。

引越をしたことが無い人だと気にならないんでしょうけど、引越したことがある人なら、こんな業者に会いたいと思うでしょうね。

…まあ、紹介制らしいので中々出会うことはないでしょうけど。

コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。