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2019年に公表された金融庁の報告書により、「老後2,000万円問題」が大きな話題となりました。そんななか注目されているのが「スマホ投資」。最近では、初心者でも気軽に投資できるサービスやアプリが増えています。
スマホで投資できるアプリには、どのような種類があるのでしょうか? 初心者におすすめのアプリや投資の注意点を専門家にお聞きしました。解説は、株式会社ノークリーのファイナンシャルプランナー、樋口祐樹さんです。
▲株式会社ノークリー 樋口祐樹さん
20代で世界基準のFP資格であるCFP®認定者となり、その他1級ファイナンシャルプランニング技能士、プライベートバンカー、宅地建物取引士の資格を取得。不動産・金融・税金・相続・保険・ライフプラン等の幅広い知識を生かしたアドバイスとお客様目線に立った親身な提案を信条としている
——「スマホ投資」の前に、まずは投資全体の話からお伺いします。いま投資が注目されている理由はどこにあるのでしょうか?
やはり金融庁の金融審議会による報告書が発端でしょう。いわゆる「老後2,000万円問題」ですね。
若い世代は、以前から「老後、本当に年金がもらえるのか?」という不安を抱えていました。そこへ2,000万円問題が浮上したので、「やっぱり足りなくなるのか」「何かしら対策を取らなければ」と考える人が増えてきた、というのが実情でしょう。
——基本的な質問なのですが、投資にはどのような種類があるのでしょうか? また、人気があるのはどれですか?
株式、投資信託、金や銀・プラチナなどの貴金属、不動産投資、FXなどが挙げられます。最近は仮想通貨の投資を始める人も増えているようです。
問い合わせが多いのは不動産投資ですね。つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)に関する相談も多く寄せられています。
——どんな人が、どのような目的で相談に来るのでしょうか?
会社員の方が一番多いですね。業種では医療従事者や看護師が多く、会社員以外では経営者の方からの相談も多いです。いずれも「資産運用の知識がまったくないので、教えてください」と相談に来られます。
会社員の場合は、「いまの所得のまま年齢を重ねるとして、安心して老後を迎えられるのか?」という相談から始まり、長期の資産運用についてお話しするケースが多いですね。一方で「老後は問題ないけど、安定した収入を得るために節税対策したい」と考えている人もいらっしゃいます。
——節税のために投資をする?
たとえばiDeCoは、積立金額がすべて所得控除の対象となるので、所得税や住民税を節税できます。不動産投資を使って節税対策をする人もいますね。
——スマホを使って投資をする人は増えているのでしょうか?
そうですね。FXや仮想通貨、株式、投資信託あたりは、スマホで売買している人が多いでしょう。つみたてNISAも、証券会社で口座を開設すれば簡単に始められます。
——アプリだけで取引や売買の管理ができるのでしょうか?
基本的には、アプリで一元管理できます。ウェブブラウザを開かなければいけない、というケースはほとんどないでしょう。アプリのインストールと口座の開設をすれば、入金や出金、売買もすべてアプリ上で可能となります。
——投資アプリの始め方は? 手順を教えてください。
おおむね、下記のような流れです。
1. アプリをダウンロードする
2. 証券口座を開設するため、アカウント(ID、パスワードなど)を作成
3. 運転免許証やマイナンバーカードをスマホのカメラで読み取り、本人確認を行う
4. 審査後、口座開設
5. 取引を開始
アプリによって多少手順が異なるかもしれませんが、口座開設は必ずあると考えておいてください。
——お金はどのように払うのでしょうか? クレジットカードや電子マネーは使えますか?
普段お使いの銀行口座から、新たに開設した証券口座にお金を振り込み、入金確認が取れれば売買の取引ができます。
電子マネーはほぼ使えません。クレジットカードは、積立投資であればクレジット決済ができる投資アプリもあります。ただし、使えるクレジットカードが限定されているケースが多いですね。例えば、楽天証券であれば楽天のクレジットカードのみ、SBI証券は三井住友カードのクレジットカードのみとなっています。
基本的には、証券口座にお金を移して始める、と考えておいてください。
——スマホ投資のメリット・デメリットは? 従来の投資との違いについて教えてください。
メリットは、売買取引の簡素化が挙げられます。外出先でもアプリで確認できるので、使い勝手は良いでしょう。また、スマホに限った話ではありませんが、1,000円単位など少額でも取引可能です。
一方、スマホは画面が小さいので、過去の動向が読みづらいデメリットもあります。小さな画面では、値動きの変化を細かく見ることができないでしょう。今後価格が上がりそうか、それとも下がりそうか予測を立てる際、線を引くテクニックがあるのですが、スマホでは難しいです。
——投資を続けていくと、値動きを細かく見たくなるということでしょうか?
その可能性はありますね。やはり細かく見ていかないと、売るべきタイミングを把握できないので。
——初心者におすすめの投資アプリを紹介していただけますか?
株式や投資信託など一般的な金融商品を取り扱う場合、楽天証券の「iSPEED」やSBI証券の「SBI証券 株」アプリが非常に使いやすく人気ですね。FXであれば、GMOクリック証券の「GMOクリック FXneo」がおすすめです。
——楽天証券とSBI証券が人気の理由は?
取り扱い銘柄の多さです。初心者に限らず、つみたてNISAを行う人は多いのですが、投資する際に取引商品を選ぶ必要があります。その際、選択肢が多いほうが自分の投資スタイルに合った商品を選べるので、納得感が得やすいでしょう。商品の選択肢が多い証券会社は、やはり人気があります。
また、楽天証券は「ポイント投資」ができる点も人気の理由の一つです。
——「ポイント投資」とは何でしょうか?
楽天証券では、楽天ポイントで国内株式や投資信託に投資できます。買い物などで得たポイントを投資に回すので、ハードルが低く始めやすいでしょう。初心者にもおすすめです。
楽天以外では、LINEポイントを使って投資ができる「LINE証券」や、Tポイントで投資ができる「SBIネオモバイル証券」などがあります。
——FXは広告でよく見かけますが、「初心者が手を出すと危ない」という話も聞きます。樋口さんはどうお考えですか?
初心者は避けたほうがいいと思います。なぜかというと、FXはレバレッジがかけられるから。レバレッジとは、投資額に対して数倍~数十倍もの金額を取引できる仕組みを指します。たとえば1万円に対して10倍のレバレッジをかけると、10万円の取引が可能です。手元の資金の10倍の取引をした場合、損失が10倍になる恐れもあります。
FXは、小さな値動きでリターンを得やすい反面、大きな損になってしまう可能性があります。もし初心者が始める場合は、レバレッジを極力避けてください。
——仮想通貨で投資する場合のおすすめのアプリは何でしょうか? 過去に起きた流出事件の印象がどうしても強く、「仮想通貨=怖い」と思ってしまうのですが……。
「ビットフライヤー」と「コインチェック」は、セキュリティーがしっかりしているので、初心者にもおすすめです。セキュリティーがやや甘い海外の取引所もありますが、この2つはコインの流出が起こる可能性は低いでしょう。
たしかに仮想通貨は、流出してしまうと全資産がなくなってしまう危険性があります。ただ、日本は世界的にみても早くから仮想通貨の法規制を強化しており、2020年には株や投資信託と同じ「金融商品」として扱う方針になりました。盗難や流出事故から投資家を守るルールが明文化されるなど、対策が強化されています。そういった動きもあり、最近ではイメージが改善されつつありますね。流出の危険性よりも、値動きの心配をする人が多いのではないでしょうか。
——最近では、証券取引・売買を自動で行ってくれるアプリもあると聞きました。
ロボアドバイザーによる投資アプリですね。一番人気があるのは「ウェルスナビ」で、世界約50カ国、11,000銘柄に対し自動で分散投資してくれます。
——ロボアドバイザーとは、どういう仕組みなのでしょうか?
人工知能(AI)が投資家の代わりに資産運用してくれるサービスです。預けたお金に対し「どこまでリスクを許容するか?」を設定すれば、投資商品を自動で選んで売買してくれます。
リスク許容度が高いと株式投資の比率を多めに組み込む、リスクをあまり取りたくない場合は債券型の国債など安定商品の比率を高めにする、といった調整を自動で行いながら運用するのが一般的です。
——ロボアドバイザーによる投資のメリット・デメリットは?
自分で商品を選んで投資する場合、知識がないと損をするかもしれません。であれば、ロボアドバイザーに任せて投資するのも一つの方法です。
ただし、ロボアドバイザーを利用した場合、手数料として年間1%程度取られてしまうデメリットもあります。投資で得られる利益は、長期でだいたい5~8%ぐらい。もし5%利益をあげたとしても、1%の手数料が引かれてしまうと、利益のうち2割も手数料として支払う計算になります。1年単位ではそれほどでもありませんが、10~20年単位で考えると、かなり大きな額になるでしょう。
ロボアドバイザーによる自動売買は、分散投資の設定をした上で、AIが勝手に銘柄を選んで運用していきます。利用者からすると楽ではあるのですが、自分にとってどういう分散投資がいいのかは、ロボアドバイザーではわかりません。もし投資を続けていくのであれば、信頼できる相談先を見つける、あるいは投資の勉強をする努力も必要です。
——1,000円からでも投資できるようですが、額が少ないと利益幅も少なく感じるので、「投資の意味があるのかな?」という疑問もわくかもしれません。貯蓄ではなく投資をするメリットとは何でしょうか?
たしかに、短期の運用だと増え方が緩やかなので「あまり意味がない」と感じる人もいるでしょう。しかし10~20年にわたる長期の資産づくりであれば、メリットは大きくなります。
100万円が年率5%で増えれば105万円です。そして、次の年は105万円に対して5%増えていきます。つまり、複利の効果が得られます。5%の運用が続けば、15年目で約208万円となり、計算上は資産が倍になるのです。
あとは積立投資ですね。まとまった金額を一括で投資してしまうと、リーマンショックやコロナ禍のような出来事により、大きな損失を被る可能性があります。しかし積立で毎月コツコツ投資すれば、値が下がってもまた増やしていけるので、リスクを抑えられるでしょう。
——初心者がスマホ投資を始めるとしたら、何円くらいからがよいですか?
私は毎月1,000円からでもいいと思います。基本は長期の積立運用なので、無理する必要はありません。「毎月これくらいなら、損しても精神的に落ち込まないだろう」と思える金額で始めてください。
ちゃんとリターンが得られれば、安心感が増すはずです。そこから少しずつ投資額を増やしていけばよいでしょう。
——スマホで簡単に見られるとすると、常に値動きが気になってしまうのでは?
そこは人によるのではないでしょうか。FXや仮想通貨は一時的に値動きが大きくなるかもしれませんが、「毎月1,000円ずつ投資信託を購入する」というレベルであれば、そこまで気にすることもないでしょう。
——最後に、これからスマホ投資を始めたいと考えている人にアドバイスをお願いします。
短期的な値動きに左右されないようにしてください。とにかく一喜一憂せず、一時的にマイナスになったとしても続けてほしいですね。途中で怖くなってやめてしまうケースが一番もったいない。少額の積み立てであれば、継続しないと意味がありません。毎月1,000円と決めたのであれば、まずは長期的に続けることが大事です。
また、ロボアドバイザーを使った投資だと、知識が増えていきません。最初は自動売買に任せてもよいのですが、少しずつでもいいので勉強をして、ゆくゆくは自分で資産運用する形を整えましょう。市場の流れを見ながら投資について学び、長期的な計画を立ててほしいですね。
「海外と比べると、日本人は投資に対するリテラシーが低い」と話していた樋口さん。もしかすると、まだ「投資=一部の資産家が行うもの」とイメージしている人が多いのかもしれません。しかしお話を聞いて、これからの時代は誰しも資産運用の知識が必要なのだな、と感じました。
筆者もこの取材をきっかけに、つみたてNISAへ申し込みました。まだアプリを使い始めたところですが、意外と簡単に取引できそうです。皆さんもまずは1,000円くらいから、無理のない範囲で「スマホ投資」を始めてみては?
<取材協力>
株式会社ノークリー
https://nocre.jp/
(編集:ノオト )
ある程度、PC環境での利用経験がある方ならいいですが。
参考になります。
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ワクワク感がありますよね
みなさんのコメントにも参考になるものがあって
ほ~と思いました。
難しいですねー
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#マイネ王7周年おめでとう!
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#マイネ王9周年おめでとう!
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. #mineo10周年おめでとう!