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てじな〜にゃ! 山上兄弟に聞く、マジシャンと観客のコミュニケーション「お客さんとの信頼がマジックを左右する」

波多野友子

ライター:波多野友子

インタビューと対談構成が好きなフリーライター/校正者。どんなジャンルの話でも興味津々で深堀りします。最近ちょっとやってみたいお仕事はラジオパーソナリティ。

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皆さんはマジックが好きですか?

一口に「マジック」と言っても、カードや小物を使ったテーブルマジックから大掛かりな仕掛けを使ったイリュージョンまで種類はさまざま。しかし、どんなマジックにも「かならず種がある」という共通点があります。そして、どうにかして種を見破りたいと、常に目をギラギラさせる観客は少なくありません。

そんな状況でも観客を華麗に惑わせて、驚きのパフォーマンスを披露するのがマジシャンのすごいところ。

マジシャンから見て、観客の姿は一体どのように映っているのでしょうか。そして、マジックをより魅力的に見せるために、マジシャンはどのようなテクニックを駆使しているのでしょうか。

今回は「てじな〜にゃ!」の決め台詞で一世を風靡した山上兄弟に、マジシャンと観客の関係性やコミュニケーションをテーマに話を伺いました。

山上兄弟(やまがみきょうだい) 
チビッ子マジシャンとして活躍していた山上兄弟。後に英国で行われた世界大会でグランドチャンピオンを獲得。2017年落語芸術協会に加入し、寄席にも積極的に出演。現在はMC・レポーター・俳優として、舞台や映画、声優等、活動の場を広げている。

大学で演劇と映画を学び、マジックの見せ方を研究

——お二人が子どもの頃「てじな〜にゃ!」と言っていたのが、ついこの間のように感じますが、現在はすっかり素敵な大人になられましたね。

僕は24歳、弟は23歳になりました。

▲兄の山上佳之介さん

テレビに出始めたのが8歳と7歳の頃なので、芸歴はもう17年くらいになります。

——もはやベテランの域ですね!

落ち着きすぎちゃって、「フレッシュさが足りない」ってよく言われています(笑)。年齢だけ見れば、新人と変わらないんですけどね。「少しでも若々しさを取り戻そう」と、ステージの前にはスタッフ全員に「元気に、参りましょう!」って掛け声をかけてから舞台に出るルーティンをやっています。

気持ちだけでも元気にやっていこう、という決意の表れですね。

——なるほど(笑)。ちょっと意外だったのが、お二人はマジシャンとして活躍されながらも、大学に行ってそれぞれ演劇と映画について学んだんですね。

僕は日大芸術学部の演劇学科に通っていたんですが、純粋に演技の勉強がしたかったのと、マジックをする上で、観客からどんな風に見られているかを研究したかったので。顔の角度とか表情をちょっと変えるだけで、受け取られ方が変わることを学びましたね。

マジシャンはやっぱり「演者」なので、キャラクター性が大事だと気づきました。しっとり魅せる方法もあるし、それこそ元気一杯に演じるやり方もある。

マジックはちょっとしたはずみで失敗する

——お二人はご自身をどんなキャラクターだと思いますか?

兄弟でやってるマジシャンは僕らだけなので、そこが強みですよね。基本的に「阿吽の呼吸」でわかり合えちゃうんですよ。佳之介がずっと舞台に立っていて、僕が物を取ってきたり渡したりする役割なんですが、アイコンタクトだけで、何が欲しいのかわかるし……。

▲弟の山上暁之進さん

でも暁之進、たまにやらかすこともあるよね。

うん、やらかしすぎて思い出せないくらい(笑)。物をポロポロ落としちゃったり、戻したい物が元に戻らなくなっちゃったり。

——お二人でも失敗することがあるんですね! 佳之介さんはすごくクールで冷静な印象なので、失敗するイメージがあまりないですが……。

そうですね、滅多に失敗しないです。たとえ失敗したとしても、そう見えないように工夫しています。が、机を浮かせるマジックをしようとしたところ、どうしても浮かないことが一度ありました。

僕も、まさか佳之介が失敗するとは思わなかったから、びっくりしました。でも対処のしようもないので、すぐに次の道具を持ってきて。

何ごともなかったかのように続けました。

——ちょっと待ってください。マジックって絶対に「種」があるんですよね?

はい、種も仕掛けもございます。

——それなのに「浮くはずの机が浮かない」って、どういうことなんでしょうか。

詳しくは説明できないんですけど、浮かない時は浮かないんです。マジックは、本当にちょっとしたはずみでできなくなってしまうもの。例えば、マジシャンがカードマジックをする時、新品を使うことが多いじゃないですか。それはなぜかというと、お客さんの手の脂がついただけで、もうできなくなってしまうマジックがあるからなんです。

だから、マジシャンの道具って絶対触られちゃいけないんですよね。すごく特殊な材料で作られているものもあって、ネジが1本外れただけで一生使えなくなってしまう。何十万円もする道具が、一瞬でパーになりますから。

マジシャンへの信頼度がマジックを左右する

——マジックって、非常に繊細な世界なんですね。お二人はマジックを披露している最中に、「種がバレているかも」と思うことはないんですか?

ないですね。

種って、実は最初から思いっきり見えている場合もあるんですよ。でも、お客さんには全然見えていない。なぜかというと、「ここに種があるはずがない」という錯覚があるからなんです。だから一度種を明かしてしまうと、マジックが実に単純にできていることがわかると思います。

——まるで詐欺のような……。

はい、僕たちは人をだましてお金を取っています(笑)。詐欺師と違うのは、お客さんがだまされるのを楽しみにしてくれているところですが。

——私たち、完全に術中にはまってしまっているんですね。

術中にはまるかどうかは、みなさんがそのマジシャンに「どれだけ信頼を置いているか」に左右されると思います。すごくくだらないマジックだとしても、有名なマジシャンがやれば期待して見られるし、新人のマジシャンだと、くだらないものとして見られてしまう。芸人と一緒ですよね。「この芸人のネタは絶対面白い」と思って見たらつい笑っちゃうけど、新人が出てきたら「笑わせてみろよ」って身構えるじゃないですか。

——確かにそうですね。「この人なら絶対に驚かせてくれるだろう」という期待値が高いから、観客側からその印象に引っ張られるみたいな……。逆に「絶対に種を明かしてやろう」みたいな観客はどうですか? やりにくくないですか?

こちらとしては、どう見られてもまったくなんとも思わないですね。楽しみ方は人それぞれなので……。純粋に「楽しみたい」と思っている方のためにマジックを披露するまでですし、意地になって「種を明かしてやろう」みたいな方って、「なんでそこまで?」って、逆に不思議です。マジックって不思議なもので、疑って見ている人のほうがだまされやすいんですよ。視野が狭くなっちゃうんですよね。だから、そういう方を「えっ?」って驚かせることができれば、してやったりです。

自分から手を挙げる観客はステージに上げない

——余裕を感じますね。ちなみに、お客さんをステージに上げるシーンってよくあると思うんですけど、どういうお客さんを選んでいるんですか?

よくよく観察して、波長が合いそうな人を見つけるかな。あ、絶対に選ばないのは「酔っ払っている人」ですね。余計な時間を取られてしまったり、最悪事故が起こってしまったりする危険があるので。

あとは、自分から手を挙げる人は真っ先に外します。お子様は例外ですけど。

——え、なぜですか? 意外です!

大抵手を挙げる人って、「目立ちたがり屋」か「あまのじゃく」なんですよね。

「爪痕を残してやるぜ!」みたいなノリです。あまりまじめじゃないというか。

お願いしたことを素直にやってくれないんです。例えば、「ここに置いてください」と言ったのに、別の場所に置くとか。そういう方を舞台に上げてしまうと、空気がどんどんおかしな方向へ向かってしまうので、和やかな雰囲気にしつつ早々にお引き取りいただきます。

——わかる気がします。当てられたい時は、手を挙げないようにしますね(笑)。

カードマジックを披露! 肝はテクニックと○○?

——実は今日はお願いがありまして……。ぜひ目の前で、マジックを披露していただきたいんです。

もちろんいいですよ。

——ありがとうございます! なんだか緊張しますね……。

では今日はカードマジックを披露します。今から1枚ずつカードを置いていくので、いいところで「ストップ」と言ってくださいね。

手際よくカードを置いていく佳之介さん。素敵な笑顔とトークで場を盛り上げる。

ストップをかけたところでカードを4つに振り分けていく。

「おまじないをかけますね」と佳之介さん。

一番上のカードをめくると、なんとすべてエースに!!

——え〜!! 何が起こったのか、まったくわかりません。

不思議ですよね。でも、種を知ったら本当に単純です。あらかじめ、カードの一番上に4枚のエースを準備しておけばいいんです。

——あっ……!

それを一枚ずつ伏せて置いていくと、今度は一番下にエースが4枚重なることになりますよね。

——なりますね……。


ストップと言われたら、今度はそのカードを4か所に分けて置いていきます。すると、最後に一番上になる4枚のカードは……?

——エースだ……!

——すごい。種を明かしてもらっても、絶対に自分ではできる気がしないです。テクニックもさることながら、マジシャンと観客側とのコミュニケーションが肝だということがよくわかりました。笑顔とか軽妙なトークに、こちらがうまく乗せられちゃうんですよね。「種を明かしてやろう」と身構えていたはずなのに、知らないうちにみるみる警戒心を解かれてしまう……!  ちょっぴり悔しいけれど、「気持ちよくだまされるなら、それも悪くないな〜」なんて思いました。今日はありがとうございました。

▲取材終了後、「てじな〜にゃ!」のポーズで撮影に応じる二人

クールでポーカーフェイスの佳之介さんと、天然っぽさが憎めない暁之進さん。二人のお話から何より感じたのは、マジックは「マジシャンと観客の信頼関係で成り立っている」ということでした。

「手を変え品を変え、どこまでお客様と呼吸を合わせられるかを探っている」(暁之進さん)
「お客様がリアクションしてくれれば、うれしくなってその分、楽しませたくなる。そういう意味では“お互い様”の関係」(佳之介さん)

お二人が話すように、いくらマジシャンがプロ級の腕前でも、受け手が楽しむ準備ができていなければ舞台は成立しません。マジシャンと観客の、相互のコミュニケーションが円滑であればあるほど、マジックはより面白いものになっていくんですね。筆者ももう一度、マジックが見たくなりました。

(編集:ノオト

波多野友子

ライター:波多野友子

インタビューと対談構成が好きなフリーライター/校正者。どんなジャンルの話でも興味津々で深堀りします。最近ちょっとやってみたいお仕事はラジオパーソナリティ。

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コメント 17

手品の道具って触られたら駄目なんですね。
勉強になりました。😊

二人とも立派になりましたね(*´ω`*)あの小さかった子が・・・

>兄の山上佳之介さん
顔色悪いので
太陽の光あびてきましょうよ。

山上兄弟、大きくなりましたね。
「てじなーにゃ」のポーズも健在で。
久しぶりにマジック見たくなりました(^^♪

もうてじなーにゃって言うのも恥ずかしいような歳になっちゃってるんですね^^;
手品大好きです。
できるようになりたいけど不器用だし口も立たないし…
見るだけで楽しいからそれでも満足です。

あまり面影がないですね。

この兄弟は、小さい頃にメディアに出てた覚えがあります。あの頃は、確かに小学生だったような気がしますが…いつの間にか大人になってたんですね!!これからも、ご活躍を楽しみにしています。

山上兄弟がこんなに大きくなってることよりも、二人があんまり似てないことの方が意外でした😌

てじな〜にゃ!さんって知らなかった(;´Д`)

私もマジックできるのですよ。
私の財布にお金を入れて置くといつの間にか・・・消えるの(^_^;)

もう、てじな〜にゃ!の年齢ではないと思います。

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『ユ-ザ-との信頼がmineoを左右する』ムブノ〜にゃ!

手品の学校でなく演劇というのが新鮮でした。

マイネ王 運営事務局

マジックの失敗エピソードなんて滅多に聞けないお話かと思いますので、すごく貴重ですよね(^^)

皆さんにmineoをより楽しんでいただけるよう、我々運営事務局もこれからもコミュニケーションを大切にしていきたいと思います♪

マジックはやはり、見る側がよろしいですがな!

ひゃー、二人、おっきくなったねー!!😊

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