mr.matsuさんのマイダンジョン
公開終了

いつか戻る、その時に

難易度
パケット獲得 1回
フロア 5階 挑戦者数 55人
クリア人数(率) 15人(27.3%)
平均クリア時間 00:05:10
公開日時 2025年08月13日(水) 00:00
ランキング終了日時 -
公開終了日時 2025年08月18日(月) 00:00
クリア時の獲得パケット
初期設定 6,000 MB
残りのパケット
5,964 MB
ランキング上位者の獲得パケット

1位

2位

3位
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ランキング
2025/12/08 現在
順位 メンバー ターン数 パケット数

1位
49ターン
(2025/08/17 18:29)
0 MB

2位
73ターン
(2025/08/17 02:55)
1 MB

3位
79ターン
(2025/08/13 19:06)
0 MB
4位 87ターン
(2025/08/13 13:12)
1 MB
5位
YoshieN
初心者マークYoshieNさん
91ターン
(2025/08/13 22:30)
1 MB
6位 93ターン
(2025/08/14 21:29)
1 MB
7位 103ターン
(2025/08/13 05:13)
2 MB
8位 103ターン
(2025/08/13 08:52)
2 MB
9位 109ターン
(2025/08/15 14:38)
0 MB
10位 111ターン
(2025/08/13 02:28)
3 MB
11位
むぃ
むぃさん
127ターン
(2025/08/16 13:01)
5 MB
12位 127ターン
(2025/08/17 17:45)
5 MB
13位
spbn
spbnさん
139ターン
(2025/08/13 10:24)
5 MB
14位 139ターン
(2025/08/15 14:54)
5 MB
15位 141ターン
(2025/08/17 08:48)
5 MB

これ以上ありません。


52件のコメント
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リオはそれから毎晩、石と話すようになった。声の主——ユラは少しずつ言葉を取り戻していった。最初は名前だけだったが、数日が過ぎると、断片的に記憶のかけらを語るようになった。

「たくさんの声が……重なってた。遠く離れていても、誰かの想いが届いて……」

「それって、他の伝声石のこと?」

「そうかもしれない。でも、やがて、声が……消えていったんだ。突然、全部……」

リオは、記録帳にその言葉を一つひとつ書き留めていた。かつて、世界が“声”でつながっていた時代があった。伝声石が各地にあって、離れた場所にいる人々が言葉や感情を交わしていたという。リオはそれを“物語”だと思っていたが、ユラの語る断片は、どうやら真実らしかった。

「誰かが……それを壊した。怖れていた。声が、世界を変えることを」

「それが……“封じ人”?」

「……その名を、聞いたことがある。封じ人は……言葉を、記憶を、封じてしまう者たち」

リオはぞっとした。村にも古い伝承がある。“かつて、言葉を奪う影が現れ、火と闇が広がった”と。子ども向けの怖い話だと思っていたが、ユラの声はそれを裏づけるようだった。

「でも、どうしてユラは石の中にいるの?」

「それは……わからない。たぶん……最後の瞬間、誰かがこの石に、わたしを……」

声はそこまでだった。記憶はそこで止まっているようだった。

その夜、リオは長老ハルのもとを訪れた。伝声石の話をすると、老いた目が細くなった。

「昔、この村にも一つだけあった。だが、いつの間にか声は途絶え、ただの石となった……それがおぬしの手に?」

リオは頷いた。

「もしその石が本物なら、封じ人の目に止まるかもしれん。気をつけよ……彼らは、まだどこかに潜んでおる」

リオは心に誓った。ユラの声を、二度と奪わせない。
忘れられた“声の時代”を、この手で取り戻すのだと。
翌朝、リオは広場の隅でルカと顔を合わせた。彼は村一番の鍛冶職人の息子で、何かと世話を焼きたがる性格だった。リオが手帳に夢中になっているのを見て、興味を示す。

「また日記か? 最近、ずっと何か書いてるよな」

「……声を記録してるの。伝声石の声を」

「まさか。あれ、ただの石だろ?」

リオはポケットから青白く光る石を取り出し、静かに手のひらに載せた。ルカが目を細める。「光ってる……? それ、魔石じゃないのか?」

「違う。これは、“誰か”の声を宿してる石。ユラって名前の……」

彼女が説明を始めると、ルカは呆れ顔になりかけたが、話の途中で石からかすかな声が聞こえた。

「こんにちは……?」

ルカが息をのんだ。「今の、聞こえたぞ……誰かが……!」

リオはうなずいた。「信じてくれる?」

「信じるしかないだろ、こんなの」

ルカは鍛冶の知識を活かし、石に何か刻印がないか、表面を丹念に調べ始めた。「この構造……人工的に加工されてる。これは、道具だ。作られた“何か”だよ」

その瞬間、ユラの声がまた響く。

「気をつけて……“封じ人”が動き出してる。わたしの声を感じ取ったかもしれない……」

リオは背筋を凍らせた。「どこにいるの?」

「……わからない。だが、すぐ近くまで来る……気配がある」

その晩、村の外れの森から黒い煙が立ち昇った。畑が焼かれ、飼い羊が姿を消した。誰も犯人を見ていない。けれど、リオとルカは確信していた。

「封じ人が、来たんだ」

「ユラの声が、本物だって証明されたな……」

リオは石をぎゅっと握りしめた。この声を守らなければ。たとえ誰が相手でも。

“情報”を恐れる者がいるなら、それは“情報”にこそ力がある証なのだから。

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