働くクロハナ⑤

クロハナさん

マスター

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「旦那？ 工場勤務。ライン作業だけど。流れてくる猫缶の箱詰めしてるの。この前も言ったじゃない」
茶々丸はツッコミを入れるように、軽く前足を振った。
「すぐ忘れるのよ、猫だから」
コマは開き直ったように、股ぐらを広げてボアクッションにもたれ掛かった。「で？ 旦那の帰りが遅いのが、何？」えらく つっけんどん な表情をする。
「分からない。最悪の場合……女ができたのかも」
クロハナが茶々丸を見た。避妊手術をしたとはいえ、同じ猫メスだ。愛する旦那を気にかける気持ちはよく分かる。茶々丸は自分の発した言葉に興奮したのか、尻尾が微妙に膨れていた。
「でも、茶々丸さん」
気を遣ったつもりなのか、コマが少しだけ体を蠢かして、言った。
「こう言っちゃなんだけど。茶々丸さんの旦那さんって、なんていうか、その……あんまりーー」
茶々丸はコマに目を合わせた。

これ以上ありません。