🍑コマ太郎②🍑

クロハナさん

マスター

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コマがそこまで言い切ると、突然家の引き戸が開いた。
「コマさん。ゴネてないで早くしてよ。アタシたち待ってるのよ」
そこにいたのは茶トラ猫の茶々丸だった。だが、いつもと雰囲気が違った。
「あら、茶々丸さん。なんだか逞しくなってない？」
「アタシ、今回は犬の役なのよ。だから筋トレで体を膨らましたの」
すると横からバサバサと羽の音がした。
「コマさん、早く鬼退治に行きましょう。物語は進めるためにあるのよ」
それは白黒猫のクロハナだったが、白黒模様はそのまま――しかし形は完全にキジの姿だった。
「アハハハハッ！ むっちゃ素で笑わしてくれるわねクロハナさん！ いくらなんでも不気味過ぎるわよあんた！ まるでドイツの国旗じゃないのさ！ あーお腹が…お腹がはち切れそう！」
コマは畳の上でごろごろとのたうち回った。おじいさんとおばあさんも後ろを向きながら笑っていた。
「うるさいわねっ、ほっといてよ！ これがいちばん相応しかったの。飛ぶ訓練だって大変だったんだから」
コマは起き上がると涙を拭き、「まあそれはそれで、となると最後は…」呟いて引き戸に映る影を睨んだ。

（つづく）

これ以上ありません。