- おもしろネタ
- ITガジェット
- 130
- 5
- 210

こんにちは。取材執筆業、散歩愛好家の関根デッカオと申します。突然ですが、みなさんは普段街を歩いていてこんな光景を見かけたことはありませんか?
こんなのとか。
なんだか犬や猫が勢揃いしているのとか。
デジタルサイネージもあるぞ。
さらにさらに、もはやグッズ化までされている。
……もうお分かりでしょうか。
――そう、どれにも共通点がありますよね。これら掲示物のいずれにも、イラストレーターのみふねたかしさんが運営するフリー素材サイト・いらすとやのカットイラストが使用されているのです。
いまでは当たり前のように見かける「街のいらすとや」。ほんわか優しいタッチが使う場所を選ばず、もはや日本社会をビジュアル面から支える「インフラ」と断じても過言ではないかもしれません。
ついうっかり見過ごしている人も多いかもしれませんが、どんなジャンルにもマニアはいるもの。全国の街のいらすとや使用例を、1500点以上集めるという偉業を成し遂げた人物が実在しているのです。その名も三浦靖雄さん。会社員として働きながら、律儀にも休日をいらすとやの使用例探索に費やし、誰に頼まれずともマッピングするすごい人物なのです。
三浦さんによれば、2016年リリースの「ポケモン GO」にからむ空前の街歩きブームとリンクするように、徐々にいらすとやが現実世界に進出してきたとのこと。当時のTwitterでは「#いらすとやGO」で盛り上がるカルチャーもあり、それほど街のいらすとやには希少価値があったそうですが、現在では街に出て目を凝らせば必ず見つかるレベルにまで到達しています。
そんなわけで、今回は三浦さんのレクチャーのもと、街のいらすとやが見つかりやすいスポットや味わい方をじっくり解説。編集部が血眼になって見つけてきた京阪神における使用事例を勝手に表彰してもらいます。
三浦靖雄
会社員生活のかたわら、街歩き好きが高じて2018年から街のいらすとや使用例のマッピング活動を開始。地道なフィールドワークを通して、いらすとやが頻繁に用いられる業態、2万5000点以上におよぶ素材の同定に打ち込む。地形図、GPS、硫化水素検知器、ケロリン桶を携えて山に分け入り、前人未到の温泉を探すのもライフワーク。
前人未到温泉
























三浦さん自身も「いらすとや頻出業界」と見るリラクゼーション店。全身もみほぐし、足つぼはまだしも、吸い玉カッピング、気功整体までをカバーするいらすとやと店の間にwin-winの関係が成立している。

人物が登場するいらすとや使用例は多いものの、文字素材は貴重。三角形の警告マークも拡大して見ると輪郭線が明瞭ではなく、いらすとやの素材と識別できる。カラーコーンで注意喚起は完結しているはずなのに、わざわざ念押ししているところも出色。

三浦さんがもっとも愛する複数素材を活用した技巧派使用例。左上の作業員はそのままの素材だが、続く打ち合わせのシーンは「話し合いをしている作業員のイラスト」にヘルメットと作業服のイラストをトリミングして合成している。

第2位は消費者センターと警察が発行するステッカー。三浦さんによると「公的いらすとや使用例」のひとつにあたる。一見すると既存の素材をシンプルに使用しているかに見えて、セールスマンの素材にサングラスの素材を組み合わせるという芸の細かさ。自然な仕上がりを実現できているのは、いらすとやではない禁止マークの素材を掛け合わせているからかも。
三浦:いかにもいらすとやがカバーしていそうな怪しい男性のイラストですが、実はそのものずばりの素材は存在しない。「怪しい」「悪質」「訪問」「商法」といったワードで検索しても、一切引っかかりませんでした。こういうときは制作者と心を通じ合わせる必要がある。10分以上格闘して、セールスマンの素材に行き着きました。公的機関の配布物ですからね。限られた予算内でステッカーをつくるにあたって、血のにじむような努力の物語が透けて見える。最近、役所なんかの職員がなんとなく画像検索をして制作した掲示物に著作権のあるものが含まれていて、訴訟を起こされるケースも増えているんです。それを回避すべく、専門の業者に発注を……。
栄えある第1位は三浦さんが「ホームラン」と表現するいらすとや看板。白地に酔っ払ったうさぎが「ドン!」と配置された潔さは高田馬場・すっきリンパにも通ずるものがある。頻出業界のいずれにもあたらないスナックという業態がいらすとやを使用していることも、希少価値を高めている。

いらすとやによる「革命」以後の世界は、こんなにも自由。三浦さんとの会話からは、デザイン民主化の潮流がこれでもかと感じられました。どうせ街に出るからには、そこでファニーな雰囲気を漂わすフリー素材に目を光らせてみるのもいいのではないでしょうか。みなさんも街でおもしろいいらすとや使用例を見つけたら、コメント欄で知らせてくださいね。
編集:人間編集部
写真:三浦靖雄・トミモトリエ・はまだみか・関根デッカオ

(画像)平均台のイラスト(体操)
https://www.irasutoya.com/2014/05/blog-post_4980.html
(参考)
さいたま 中学校卒業式 休みがちだった生徒を平均台に座らせる
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250416/k10014780691000.html
ネタっぽいものも、たまにありますが😅
私では、時間と金の浪費と言われて一掃されていたことでしょう。
いらすとの他にも各地のマンホールを撮り続けてる人など世の中には探せばこのような個性豊かな方が意外といます。