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スマホの100倍ズームカメラで、「気になる遠くのアレ」はどこまでキレイに撮れる?
ローカルネタ・ガジェット・卓球が好きなライター。過去に番組リサーチャーとして秘密のケンミンSHOWなどを担当。
近年のスマホカメラで、めざましいほどに性能が上がったものといえば「望遠」です。
光学ズームの倍率はどんどん伸びていき、さらに、光学倍率以上のズーム撮影の解像感を高めるAI技術まで、飛躍的に進歩しています。
筆者が個人的に所有しているGalaxy S24 Ultra(サムスン電子)はその極め付きとも言われ、光学ズーム5倍、クロップを使った光学相当のズームで10倍、さらに強力なAI補正を搭載したスペースズーム(デジタルズーム)は100倍までの望遠が可能です。
遠くのものを撮るのにとにかく重宝するのですが、そこで叶えてみたくなるのが、「スマホの100倍ズームレンズで、気になる遠くのものが見えるの?」という命題。
例えば首都高の高架。最小倍率の超広角カメラ、0.6倍で捉えたのがこの写真です。小さく、遠くにあるように見えます。
これを5倍ズームすると……
見違えるほどに、その姿が大きくなってきました。さらに、約50倍(49.71倍)までズームすると……どうなる?
首都高の塗装記録表示がわかる……!? 漢字の一文字ずつまで確認できます。ここまで拡大できるとは驚異的です。
そこでスマホカメラはどこまで進化したのかをもっと確かめるため、小さな旅に出ました。
東京ディズニーリゾートを外から写せる?
この100倍ズームスマホカメラを持ってまずやってきたのは、東京都江戸川区にある葛西臨海公園です。
千葉県出身の筆者にとっては、子供のころからディズニーランドのアトラクションが外からチラッとでも見えると、無性にテンションが上がったもの。
ディズニーランドを外から見たい、しかもより大きくはっきりした形で写真に収めたい。そこでやってきたのが、旧江戸川をはさんで隣接するこの公園でした。
少し高台になった展望デッキから、ディズニーリゾート方面にカメラを構えてみました。最小倍率の0.6倍では、豆粒のように見えます。
ここから10倍ズーム。ディズニーランドの象徴である、シンデレラ城とスペースマウンテンが、ぐぐっと寄ってきます。
さらにシンデレラ城を30倍ズームすると……結構大きくなってきた!
そして、100倍ズームがこちら。
強めにAI補正がかかっていて、やや不自然な部分はあるものの、ディテールが補正されてくっきり写っています。
小さいスマホのカメラでこれは上出来……というか驚異的ともいえるのではないでしょうか?
続いてはスペースマウンテンです。実は2024年7月末で現在の形での同施設は運営終了となりましたが、まだその姿をとどめていました。
これが30倍望遠で見たスペースマウンテン。AI補正との相性がいいのか、なかなかキレイに写っています。
そして、これを100倍ズームすると……こうなります。
ド迫力の壁面が眼前に飛び込んできました。1983年のディズニーランド開業時からあるスペースマウンテンですが、それから41年、時代はここまで来たようです。
さらに、東京ディズニーシーのシンボル、プロメテウス火山やタワー・オブ・テラーも見えました。これも拡大していきます。
30倍望遠ズーム。
そして、これが100倍ズーム。ぼやけ気味ではありますが、ごつごつとした岩肌があらわになっています。
スマホ1つでここまでディズニーの代表的なアトラクションを写せるのは、なかなかです。
葛西臨海公園内を少し移動して、東端の方にやってきました。ここからいろいろ撮影してみましょう。
南の方向に見える海上を10倍ズームしていくと、中央に何やら得体の知れないものがあります。
100倍ズームをすると、なにやらヨットの帆のような大きな建造物が確認できます。なんでしょうか、これは?
調べると、これは川崎市浮島の沖合約5kmに作られた直径約200m、深さ75mの人工島「風の塔」で、高さ90mと75mの大小2つの塔からなっています。
東京湾アクアラインのトンネルを換気するため、大型の送風機と排風機が日々動いているのだとか。
ちなみに対岸から見た、東京ゲートブリッジはこちら。これだけ離れていても、これでもかと拡大できて、特徴的な姿を捉えています。
なお対岸の警告用の表示も、100倍ズームでくっきり文字が見えました。
もう一度ズーム倍率を0.6倍に戻すと、いかに相当な望遠を行っていることがわかります。
東京駅を行幸通りの端から写せる?
ところ変わって、東京駅にやってきました。近代建築の父・辰野金吾の集大成と言われる名建築です。
その東京駅から皇居へと続く道は「行幸通り」と言われ、延々と長く広い道が続いています。ずっと歩いていくと、こんなに東京駅の建物が小さくなりました。
行幸通りの端のあたりから、ズームカメラでどれだけ東京駅が鮮明に見えるのでしょうか?
まず、これが3倍。まだまだ小さいですが、画面中央にその姿が見えてきます。
これが10倍ズーム。いよいよ東京駅を大きく捉えられて、ディテールがはっきりとわかります。
そしてこれが30倍。デジタルズームが入るために少し粗くはなっていますが、東京駅に集まる人々を細かく描写できています。
さらに、これが100倍ズームの作例です。さすがに写真は解像感を失い、抽象画のような雰囲気すら漂っていますが、東京駅前に集まる人々の雰囲気はつかめました。
ハチ公像を渋谷スカイの上空から写せる?
続いては渋谷のシンボル、ハチ公像。1934年に初代が建てられ、現在は2代目で、世界中の旅人からも愛されています。
言わずと知れたこのハチ公像を、渋谷スクランブルスクエアの一番上にある、今や一大観光スポットとなった地上229mの「渋谷スカイ」から、写してみます。
2,200円のチケットを購入し、屋上へ上がっていくと……そこは別天地でした。
360度、見渡す限りの絶景が広がる渋谷スカイ屋上。ここから、ハチ公像がどこにあるかを探していきます。
ほぼ真下にあるため、撮影できるポイントは非常に限られていました。何とかカメラで写したものがこちらです。
文明の利器を駆使するも、あまりにもハチ公が遠すぎてこのような結果に。しかし、屋上の下にある最上階の回廊は比較的ハチ公像を撮りやすく、幾分いい写りにできました。
それでも、出来栄えはここまで。さすがに地上約220mからではハチ公の顔まで判別できず、その輪郭を収めるにとどまりました。
100倍ズームカメラの“視力”はいくつ?
続いては、ちょっとした実験です。視力検査の表を使って、「スマホのズームカメラで視力表はどこまで見られるか?」を試してみました。
いわば、このスマホの“視力”はいったいいくつなのかを測るわけです。そのために、3m用の視力検査表を用意しました。
ちなみに筆者が裸眼で測ると、両目とも1.0あるかないかくらいでした。これが、スマホのズームレンズだとどうなるでしょうか?
まずは3mから。0.6倍レンズだと割と離れて見えますが……
10倍ズームでここまで寄れます。さらに100倍にすると……?
さらに、約52倍でここまで見えました。2.0のところまでくっきり映っています。
なお、距離を2倍に伸ばして同じ箇所が見える場合は、視力はそのまま2倍した数値になるとのこと。
例えば、3mで2.0の箇所が見えた人が、2倍の6mで同じ2.0が見えた場合、視力は4.0になるわけ。
ならば、6mで2.0は見えるのか? 試しにやってみましょう。
6mの距離から、2.0のところが「左」だと、はっきりわかります。1.5のところはあいている部分がややわかりにくくなっているのが若干気になりますが。
さらには、9mまで来ました。
ちなみにかつて視力のいいタレントとしておなじみだった、オスマン・サンコンさんは視力が6.0あったそうです。
つまり、これで2.0まで見えれば、3倍の数値である6.0となり、サンコンさんと同じ視力に相当する……ということですが、どうなる?
1.0は上、1.2は右とわかりますが、1.5以降の「C」の方向が判別しづらくなっています。
1.5は下……? とも見えますが、初見だと自信がないレベル。ただし、おそらく2.0は左かな……とはわかります。
さらにこの後、15mまで離れてみました。
ここまで来ると「C」マークがつぶれてしまい、0.8以降はなかなか見分けるのが難しい状況です。
というわけで、スマホのズームカメラを視力に“換算”した場合、視力6.0のオスマン・サンコンさんを「微妙に超えられない」くらいの能力でした。
ちなみにこの後、50mくらい? めちゃくちゃ離れてズームしてみましたが……
「0.3」までを読み取るのがやっとでした。こんなに離れていても、そこまでは見えるのかとも驚きますが。
東京の「富士見坂」から富士山は写せる?
富士山の周辺地域には、「富士見」の付いた地名が数多くあります。しかしそのほとんどで、いま富士山は見られなくなっています。
しかし、今でもちゃんと富士山が見える「富士見坂」が目黒にあります。23区内では貴重な場所です。
ですが、執筆時点の季節は夏。空気が澄んでいる冬ではないと、なかなか富士山を拝むのは厳しいとのこと。
しかし、そんな暑い季節でも富士山が比較的見られやすい「台風一過の日」なので、勇んでやってきました。
15度もの急坂を登っていき……
坂の頂上に着きました。この0.6倍から徐々にズームしていきます。
3倍。
10倍。もう真ん中にはっきりと富士山が見えてきています。
そして30倍……!
これが約50倍(49.89倍)、予想以上に見えた!
ちなみに100倍にすると……こんな感じ。
山肌をしっかり見るまでには至りませんでしたが、その姿を大写しにできます。ポケットに入るサイズのスマホでこれが撮れると思えば、やっぱり上出来ではないでしょうか。
あの日、固定フォーカスの「写ルンです」で思い出を残していた自分に、この技術の発展ぶりを教えたくなりました。
◇
最新スマホ(Galaxy S24 Ultra)のズームカメラ。光学相当のズームになる10倍まではバリバリ使えて、30倍までのズームもかなり守備範囲は広く使える格好でした。
100倍まで行くとさすがにディテールは乱れますし、顔も判別できないのでボカシをいれなくても大丈夫なほどですが、記録用であれば十分でしょう。
結果的に、手持ちのGalaxy S24 Ultraを褒めたたえる記事にはなりましたが、もちろんサムスン電子にお金など1円ももらっていません。
中国スマホなどは、XiaomiやVivoなど、Galaxyと争うほどに望遠が強いカメラも増えてきましたし、iPhoneなど、他のスマホでもそう遠くない未来にこの精度で遠くを写せるようになるでしょう。
ますます、スマホカメラが手放せなくなるはず!
編集:ノオト
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