スマホを顔面に落としたときの痛みを「キスの快楽」に変換したい

寝ながらスマホを操作中、うっかり手をすべらせ、スマホを顔面に落下させた経験は皆さんもありますよね。

痛いのは誰だってイヤでしょう。痛いのが大好きな例外もいると思いますが、僕も痛いのはイヤ派です。

そこで、ひらめきました。

この“痛み”を“うれしさ”に変換すればいいのでは？

そして、顔に当たってうれしいモノ、それは――

Kiss（キッス）

やはり、キスほど顔にぶつかってうれしいものはありません（次点で札束）。

また、キスをされると鎮痛作用のある“エンドルフィン”が脳内で豊富に分泌されることが科学的に証明されています。

ならば、スマホが顔面に直撃したときの痛みを、キスの効果で打ち消すことは理論上可能なハズ

つまり、こういうことです。

完璧な理論。

っていうか、あぁ、僕はキスがしたい。

自分はとにかくキスに飢えています。僕の最後のキスの相手、道を歩いてたら唇にぶつかってきた羽虫です。

キスって、どんな味だっけ？

このままではどうにかなってしまうかもしれません。どうにかなる前にするしかありません、キスを。いますぐ…Kiss Me。ウォゥ、ウォゥ…。

申し遅れました、キスしたい筆者のたかやです。

どんな唇にするべきか？

制作へ入る前に、まずハッキリさせておきたいのが、「3次元の唇」と「2次元の唇」のどちらとキスをするか。

僕は3次元の住人です。しかし、かねてより自分は「2次元の中で生きたい」と願望を抱いています。現実ってクソじゃないですか？

生粋のアニオタの僕なので、この2択、迷わず「2次元の唇」を選びます。今回は「2次元っぽい唇」を作っていきます。

何卒ご理解くださいませ。

グミで唇を作ろう

今回は、

身近なお菓子のグミですが、その作り型は簡単。

【グミの基本的な作り方】
➀　グラニュー糖、水飴、ジュース（着色目的）を混ぜ合わせ、湯せんやレンジで温める
➁　➀が沸騰後、事前に水でふやかしておいたゼラチンとレモン汁を投入
③　➁が冷めないうちに型に流し込み、冷蔵庫で冷やす
④　数時間後、型から取り出し完成

そうして出来上がった、試作品第1号。この唇、グミなんです。

なにげに大変だったのが「型」の調達。

通販や製菓店など、いろいろと物色してみましたが、「唇の形をしたシリコンの型」がなかなか見つかりませんでした（バレンタインシーズンとかだったらあったかもしれない）。

しかし、ふらっと立ち寄った駄菓子屋で「唇型のグミ」を発見。僕もWebライターとして数年活動していますが、記事制作ではこういった奇跡が起こるからやめられません。

ちなみに、駄菓子のグミを見つける前に通販で購入したのが、こちらの「唇の型」。

最初はこの型で「唇のグミ」を作る予定だったんですが…

「アナゴさんの唇」になったので見送りました。

自分の口に乗せるとアナゴさんになれます（なれてない）。

好きなアニメの色に近づけよう

いちおう完成はしたけど…

な～んか違うんですよね。これ、僕の好きなアニメキャラの唇じゃない。

ありていに言えば、この唇は僕にとって萌えない（「萌え」とか、ひさびさに使ったな）。

僕が好きな作品の系統は「学園ラブコメ系」です（逆に言えば、ファンタジー系やバトルものはちょっぴり苦手…）。

学生の恋愛だからこそ感じられる初々しさと甘酸っぱさ（つまり青春）がいい。

最悪の出会いでスタートした主人公たち。紆余曲折の学園イベントを経て、気づけば両想いになり、やがてキッス……。

そんなキスシーンで、渾身の作画で描かれるヒロインの唇。俺が目指す唇は、それなんですよね！！

なので、ここからは“こだわり”の世界に入るんですが……もう少し、唇の色や弾力性を探求していきます。

先ほどはピルクルで色をつけましたが、もう何種類かジュースを増やしてみます。

ピルクル、牛乳、ピーチティー、トマトジュース、黒酢を調整しながら…、

あらゆるカラーパターンを模索。

ピルクルの投入量が多すぎると実写寄りの唇になってしまうし、発色をもう少し抑えるべく牛乳の投入量を多くすると、今度は体温を感じない唇になってしまいます。

血色を良くするためにトマトジュースをドバドバと入れれば、どんどん「カーズ（ピクサー映画）」の唇になってくし…。う～ん！ 俺は深夜アニメの美少女キャラとキスがしたいんであって、ピクサーのカーズとのキスは望んでないんだよ！ クソ…！

試作を繰り返します。

この絵面、怖…。

「ぷるんっ」とした唇を目指してゼラチンを少なめにすると、やわらかすぎて自重で唇の形を保てない。

かと言って、ゼラチンが多すぎると、今度はカチカチのカーズ唇になってしまう…。

一晩中、制作に没頭しました。

「アニメのキャラとキスをしたい」その想いだけが、僕を奮い立たせます。

そしてついに、完璧な黄金比が判明！

2次元の唇グミ、完成！

できた！

ついに「自分の理想のアニメキャラの唇のグミ」が完成しました！

＜配合比＞
・牛乳40ｃｃ
・ピルクル5㏄
・ピーチティー3cc
・黒酢2㏄
・ゼラチン5ｇ（ゼラチンを溶かす水は20g）
・レモン汁（気持ち多め。キスってレモンの味だから）

透き通った乳白色ながらも、どこか体温を感じる仕上がり。

自画自賛ですが、コレ、かなり「アニメ」じゃないですか？

深夜アニメのキャラって、こんな唇してるよね！？

え？ ただの牛乳寒天じゃん…だって？？？



馬ッッッッ鹿！！！ これだから素人はよ！

パンピー（一般人）には、このアニメ度がわかんねぇか！ これはもう、アニメなんよ！

「これはもうアニメなんよ」

もちろん、見た目だけではありません。

絶妙なゼラチンの投入量により、弾力を保持しながらも、ぷるぷるの質感になりました。

2次元ですが、3次元（現実）の唇とも遜色ないやわらかさ！

……これ大丈夫？ ちょっとエッチすぎ？

マイネ王のコンプライアンス的に、これ大丈夫かな？

「大丈夫だよね」

キスをしよう

グミをスマホの画面に貼り付けました（※事前に画面は入念に拭いています）。

キスの瞬間が来た

いざ、好きな人の唇を前にすると、頭が真っ白になるし、緊張…しますね///

ングッ（心臓の音） ングッ（心臓の音）

………。

あっ、ごめん。ちょっと待って。

何回もやるのもアレなので、チャンスは1回きりです（キスってそういうもんだから）。

ついに、僕はアニメの唇とキスをします！

よろしく…よろしく、お願いしまぁぁぁぁぁす！

パッ

来い来い来い！！

アレ？ なんか…？

ズレてね！？

ゴツッ！！

歯に当たった

おわり

発射位置がズレていたことにより、僕の唇とアニメの唇がわずかに離れる結果に。

つまり、ノー・マウス・トゥー・マウス。

スマホの角が自分の歯にぶつかるだけとなりました。

キスで歯と歯がぶつかる…。それはそれで初初しいけどさ…。

もしかして、キミも緊張してた？ 一緒だね///

せっかく必死で制作したのに、キス失敗という残念な結果になりました。これも、僕の恋愛経験の少なさが招いた結果でしょうか。くそ…！

もっと恋愛の知識を学びます（ラブコメアニメをたくさん見る！）。そして次こそは、絶対に成功させる！

スマホの顔面落下は結構シャレにならないくらい痛いこともあるので、皆さんはこんな方法を試さず、寝ながらスマホが見られる専用のアームとかを買ってください。

それでは、また。

その夜——

「OK Google……もう一回……」

Google アシスタント「わかりません」

「OK Google……もう一回……」

Google アシスタント「わかりません」

「……」

「……ッハア！ ハァ、ハァ……」

「もう一回……」

（編集：ノオト ）