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【徹底比較】スマートタグの売れ筋ベスト3を聞いて、使い勝手を検証してみた

【徹底比較】スマートタグの売れ筋ベスト3を聞いて、使い勝手を検証してみた

村中貴士
ライター: 村中貴士
大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。

カギや財布などに付け、忘れ物を防止したり落とし物を発見したりできる「スマートタグ」。Appleの「AirTag」ほか、さまざまなメーカーが同様の商品を発売しています。

そもそも、スマートタグはどういう仕組みなのでしょうか? ビックカメラ有楽町店の上田紘輝さんに、スマートタグの使い方や売れ筋商品を聞いてみました。

さらに後半では、おすすめのスマートタグ3つを実際に購入し、使用感を比較。購入を検討する際の参考にしてみてください。

▲ビックカメラ有楽町店 携帯電話コーナー 上田紘輝さん

なくした物を探すスマートタグ、その仕組みは?

——スマートタグ、売れ行きはどうですか?

2015年に「MAMORIO」が発売開始されたタイミングでは、まだそれほど世の中で認知されていない印象がありました。その後「Qrio」や「Tile」により市場ができ、2021年にAppleの「AirTag」が発売されて一気に広がりましたね。

メディアで紹介される機会が増えているので、「ネットで見たけど、どこにあるのか?」と店舗で聞かれることも多いです。

▲ビックカメラ有楽町店ではスマホ関連商品の近くに専用ブースが設けられていた

——売り場の名前は「落とし物防止タグ」なんですね。

「スマートタグ」や「忘れ物防止タグ」などの呼び方もありますが、当店では「落とし物防止タグ」コーナーとしています。

——そもそもスマートタグって、どういう仕組みなのでしょうか?

基本的には、スマホとスマートタグをBluetoothで連携し、専用のアプリで管理します。スマホとタグの接続が切れるとアプリが「紛失した」と認識して通知を送ったり、地図や音を使って探したりする仕組みです。

もし忘れ物や落とし物をしても、最後に通信が切れてしまった場所が地図上に記録されるので、大まかな場所がわかります。

あとは、同じアプリを入れている第三者がタグの場所を検知して、クラウドから位置情報のデータを送る機能もありますね。これによって発見精度は向上しますし、匿名化されているので個人情報が漏れる心配もありません。


——同じアプリを使っているユーザーと連携して、なくしたものを探すわけですね。いろんなスマートタグがありますが、機能の違いは?

違いとしては、

  • タグの形状
  • 防水機能の有無
  • Bluetoothの接続距離の長さ
  • 電池交換できるか

あたりでしょうか。

あとは、カギと財布など複数のタグを使用し連携数を増やせるもの、複数人で同じタグを共有できる機能なども。

多くの場合、初期費用はタグの商品代金だけで、基本的な機能は無料で使えます。ただし、より高度な機能を追加する際「有料プラン」に申し込まなければいけないケースもあるのでご注意ください。

——電池はどれくらいもつのでしょうか?

商品によって変わりますが、おおむね1~3年くらいです。自分で電池交換できるもの・できないものがあるので、長く使う想定なら交換できるタイプがよいでしょう。

タクシーや忘れ物センターと連携して探すタイプも

——現在、売れ筋の商品はどれですか?

ビックカメラ有楽町店では、AirTag、Tile、MAMORIOの順で売れています。

AirTagが人気の理由は、やはりiPhoneユーザーが多いから。標準装備されている「探す」アプリと連動できるのもポイントでしょう。ただし、Androidでは使えないので注意してください。

AirTagのデザインは1種類のみですが、かばんやカギに取り付けるためのリング、ケースなど周辺アクセサリーが充実しています。

次に人気のTileは、用途別にいろいろなタイプの商品を用意しているのが特徴です。

スタンダードモデルの「Mate」、接続距離が広い「Pro」、財布に入れやすいカードサイズの「Slim」、シールで貼り付けられる「Sticker」の4種類があります。

▲こちらは「Slim」。ちょうどクレジットカードくらいの大きさで財布にも入れやすそうだ

そして、MAMORIOはキーホルダータイプ、シールで貼り付けるタイプ、充電式など5種類のラインナップがあります。カラーバリエーションが多く、キャラクターデザインの商品があるのも特徴ですね。

なおTileとMAMORIOは、iPhoneとAndroid両方で使用可能です。

——AirTag、Tile、MAMORIOのメリットをそれぞれ教えてください。

AirTagは、iPhoneだけでなくiPadやMacデバイスの「探す」ネットワークを使ってタグを探し出せる点が大きいですね。日本はiPhoneユーザーが多いので、なくした物を見つける「協力者」も多くなり、発見される確率が高くなるでしょう。

さらにiPhone11以降であれば、Bluetoothよりも高精度に測位ができる「超広帯域無線通信技術(UWB)」に対応しているので、より正確な場所を見つけることができます。

Tileは、約3万台のタクシー(JapanTaxi)に専用タブレットが搭載されており、タクシーが「動くTileアクセスポイント」になります。紛失した物に付いているTileの近くをタクシーが通れば、電波を拾ってスマホに通知がくるわけです。

一方MAMORIOは、落とし物が多く集まる駅の集積所や大型商業施設の忘れ物センターに「MAMORIO Spot」が設置されています。なくしたものがそこに届くと通知がくるので、電車での忘れ物が多い人におすすめです。

Tileは現時点では東急線しかアクセスポイントが配備されていないので、鉄道に関してはMAMORIOがやや有利といえます。

スマートタグは今後もっと普及する?

——どういう人が、どんな理由で購入していますか?

幅広い年齢層の方にご購入いただいていますが、しいて言えば男性のサラリーマンが多い印象です。「仕事でいろんなものを持ち運ばないといけないが、紛失したら困る人」「行動範囲が広い人」がメイン層でしょうか。

一部の商品では、スマホのアプリからタグの音を鳴らす機能があるので、自転車やベビーカーなど置き場所を覚えにくいものに付ける主婦もいるようです。

——スマートタグの購入を考えている人へ、選び方のポイントやアドバイスがあれば教えてください。


物をなくしやすい人は、まず「いつ」「どこで」「何を」「どんなシチュエーションで」落としたり忘れたりするか、思い出してみてください。

自分が普段なくしやすい物や行動範囲に合わせて、付けやすいタグや求める機能を選んでいただければよいかと思います。

——スマートタグは、今後も広がっていくのでしょうか?


基本的には、同じスマートタグのユーザーが増えれば増えるほど探せる精度も上がる仕組みになっています。その点では、まだまだ伸びしろがある商品といえるでしょう。


ベンチャー企業から始まり、Appleもリリースしたので、今後大手メーカーが参入してくればさらにスマートタグ市場が広がるかもしれません。なくしたものを発見する技術の面でも、まだ改良の余地はあるのではないでしょうか。

 

AirTag、Tile、MAMORIOを比較してみた

取材後、「AirTag」「Tile(Mate 2020)」「MAMORIO(タグ型)」の3つを購入しました。ここからは実際の使用感などを比較していきましょう。

価格

  • AirTag……3,800円
  • Tile(Mate 2022バージョン)……3,280円
  • MAMORIO(タグ型)……2,180円

(すべて税込、2021年11月現在のビックカメラ店頭価格)

AirTagがもっとも高く、次いでTile、MAMORIOの順でした。「とにかく安いものから試してみたい」という人にはMAMORIOが候補になるでしょう。

種類の豊富さ

現時点でAirTagのデザインは1種類のみ。

Tileは約2年ごとに新バージョンが発売されているようで、最新の2022バージョンは4種類です。今回購入したのはスタンダードモデルのMate。ほかにPro、Slim、Stickerがあります。

Tile公式サイトより引用

MAMORIOはキーホルダーとして使えるタグ型のほか、MAMORIO RE(電池交換できるタイプ)、MAMORIO FUDA(ノートパソコンなどに貼れるシール型)、MAMORIO CARD(財布などに入れられるカード型)など5種類があります。

MAMORIO公式サイトより引用

一番の違いは、カード型やシール型といった特殊な使い方ができるプロダクトがあるかどうか。「財布に入れる」「ノートパソコンに貼る」など用途に合わせていろんな商品を選べる点でいえば、AirTagよりTileやMAMORIOのほうが利便性は高いといえます。

ただし価格はそれぞれ異なるのでご注意ください。

大きさ、重さ、形状

  • AirTag……直径31.9mm×厚さ8mm、重さ11g
  • Tile(Mate 2022バージョン)……縦38mm×横38mm×厚さ7.2mm、重さ9g(公式サイトに記載がないため実測値)
  • MAMORIO(タグ型)……縦35.5mm×横19mm×厚さ3.5mm、重さ3g


AirTagとTileはやや厚みがありますが、MAMORIOはかなり薄く、サイズもコンパクトです。

スマートタグの形状で気を付けなければならないポイントは、穴があいているかどうか。TileとMAMORIOには穴があるため、そのままキーホルダーに付けられました。

しかし、AirTagには穴がありません。かばんやカギなどに付けて使う場合は、キーリングやバンパーなどアクセサリーを別途購入する必要があります。

初期設定

初期設定はAirTagが最も簡単でした。標準装備されている「探す」アプリを使うため、新たにアプリをダウンロードする必要がなく、iPhoneとAirTagを近づけて接続するだけ。iPhoneユーザーであれば、それほど手間はかかりません。

▲左がTile、右がMAMORIOの新規登録画面

一方、TileとMAMORIOは「アプリをダウンロード → メールアドレスとパスワードを入力 → メールを確認」という新規登録の手順を踏まなければなりません。

細かい個人情報まで入力する必要はないものの、AirTagに比べるとやや手間がかかります。

アプリの操作と探しやすさ

家の中で軽く試したあと、各スマートタグを公園へ持っていき、探しやすさを比較してみます。各スマートタグは公園内の少し離れたところに置き、スマホで実際に探してみました。

AirTagは、近づくと上のような画面が表示されます。矢印と大まかな距離まで表示されるので、探しやすいでしょう。ちなみに筆者のスマホはiPhone12 mini。超広帯域無線通信技術(UWB)対応機種なので、ここまで詳細に位置を知ることができました。

Tileの場合、アプリを立ち上げるとタグからの信号が表示されました。信号が送られてきたエリアを歩き回り、信号の強度を確かめながら、より詳細な場所を探せます。信号強度が「弱い」→「普通」→「強い」になると、タグに近づいていると判断できます。

MAMORIOには信号の強度表示とともに、カメラをかざして見つけられる「AR」機能があります。ただ、ARで指し示される色付きの円は複数表示され、しかも実際のMAMORIOの場所(画像左下の赤丸部分)とややズレていました。ピンポイントで指し示してくれることを期待していたのですが、そこまで精度は高くないようです。

AirTagとTileは、アプリの操作によりタグから音を鳴らすことができるので、目だけでなく耳も使って探せます。特にTileの音はかなり大きく、野外でもはっきり聞こえました。一方、MAMORIOは音が出ないため、探しやすさの点ではやや劣る印象です。

置き忘れアラート機能

スマートタグには、タグとスマホがある程度離れるとアラート通知を表示させる機能があります。「外出先でつい持ち物を置き忘れてしまう」という人には便利な機能でしょう。実際にどういう通知がくるのか、各スマートタグから離れてテストしてみました。

AirTagは「鍵が手元から離れました」という通知が表示され、最後に検出された住所も教えてくれました。自宅や会社など、あえて通知させない場所を設定することもできます。ただし、この置き忘れアラートはiOS15で新たに追加された機能なので、iOS14以前では使えません。

Tileにも置き忘れアラート機能はありますが、別途「Tile Premium」サービスに加入しなければなりません。(月360円、1年契約3,600円)

一方MAMORIOは、離れてから数分程度でアラートが表示されました。通知のタイミング調整や、特定の場所でアラートをオフにできる機能もあり、細かく設定できて便利です。

タグ側からスマホを探せるか?

「家の中でスマホをどこに置いたか忘れてしまう」「今から出かけるのに、スマホがない!」など、鍵はあるのにスマホを見失ってしまった場合はどうでしょうか。

Tileなら、タグのボタンを押すことでスマホへ通知を送り、音を鳴らすことができます。AirTagとMAMORIOにはタグ→スマホへの通知機能はないため、逆にスマホを探したいときはTileが便利です。

ここまでの結果を表にまとめてみました。筆者の個人的な評価も含まれているので、その点はご了承ください。

まずは行動範囲や生活習慣の振り返りを

なくしたものを探せるスマートタグ。今回「AirTag」「Tile」「MAMORIO」の3つを試してみたのですが、まさにそれぞれ一長一短がありました。

結局、使い方やシチュエーションを考えた上で選ぶ必要がありそうです。スマートタグを買う前に、まずは普段の行動範囲や落としやすい&忘れやすい持ち物を改めて振り返ってみましょう。

「よく財布を落とす」「電車の中で傘を忘れがち」「家の中でカギが見つからないことがよくある」などなど……一口に“物をなくす”と言っても、習慣やクセは人それぞれです。まずはなくさないよう気をつけるべきですが、それでも忘れたり落としたりする人は「自分にあったスマートタグに頼る」という選択肢もアリかもしれません。

<取材協力>
ビックカメラ有楽町店
https://www.biccamera.com/bc/i/shop/shoplist/shop014.jsp

(編集:ノオト


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176 件のコメント
77 - 126 / 176
オシャレで可愛いのがいい!
勉強になりました。
スマートタグしりませんでした。コロナが終息したら、お店に行って確認してみようかな。
結果は残念ですが、カメラを使ったAR機能で場所が探せる機能って、精度が高ければすごくいい機能ですよね。
このエリアにあるはずだけどドコにあるの?ってなるより、ココにあるよって教えてくれるのすごく助かります。
iPhoneのヒント(アプリ?)もそれで、ヒントじゃなくて答えが欲しいっす。
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
色々あるんですね、落とさないようにいつも気をつけたいと思います。ケータイも持っていないので、使うことはないと思いますが。
前から興味はありましたが、今度試してみたいと思いました。
恥ずかしながらこんなモノがあることを知りませんでしたので勉強になりました!
初期費用が数千円かかりますが、大事な物の忘れ物防止・発見に役立つのなら安い投資かも知れませんね。
なるほど、便利ですねー!
もう少し進化したらほしいかなぁ
アップルタグかいました
なるほどー。便利なものがあるんですねー
便利ですよね〜
でもスマホが遭難してしまった時はどうやって探すのがいいのだろうか。
誰か教えて〜!
スマートタグ興味があるので参考になりました。手荷物以外にもお子さんのカバンにつけたりペットのリードにつけたり、思いの外幅広い活用方法がありそうですね!
「スマートタグ」に関する情報をご紹介していただきありがとうございました。
便利になりましたね。
個人的に使い道がわかりませんわ。結構高いし。
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
まだまだ高値の花ですよね
tile使ってます。
家の中でスマホがなくなったときにtileから呼び出せるのが便利です。
サイズ感からmamorioをメインに使っています。
電池交換不可のタイプを使っていますが分解して電池交換して使っています(笑)
AirTagも持っていますがandroidメインの自分としては使いにくです。
またAirTagが出るまでは全米一だったtileも良いなと思ってましたが、AirTag出現で、メーカーは見切り付けたらしく間もなく身売りです。今後、後を引き継ぐLife360がどう展開していくのか?気になるところです。
個人的にはChipoloが気になります。
すごくわかりました!
tile と mamorio を組み合わせたら鉄壁かも。
とても参考になりました。
ありがとう 🤗
MAMORIOとAirTagを併用していますが、やはりどちらも使い勝手がちがって決定的なものは出てないなという感じですね。
MAMORIOは鍵や財布などの「普段身につけていて落としたら自分のスマホに通知して欲しいもの」に付けて、AirTagはバイクや自転車、カバンなど「持ち去られる可能性があるもの」に付けるようにしています(^^
tileの電池交換版を会社のカバンの奥底に潜めて使ってます。
最近は在宅勤務でずっと家にありますが…
おばあちゃんがスマホや鍵をどこに置いたか忘れて大捜索をよくやっているので、すぐに購入しに行こうと思います!良き情報ありがとうございます!!
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
うちの人のサイフがなくなって、大騒ぎした結果に上着の袖口に挟まってたっていう…
タグ忍ばせようかな。笑
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
すごい世の中になったもんだ
欲しいけどまだまだ高いんだよなぁー
使わないかな・・・
非常に勉強になりました!
いい商品ですね🔥
某番組でストーカー行為使用への警鐘があった。スマホ連動でないと位置情報の取得はできないはず。
基本なくさないのですが、便利なものがあるんですね。
タグの電池が切れて放置になる悲しみ。。
ものによってこんなに違いがあるんですね
勉強になりました😊
いつもありがとうございます
Appleユーザーだとエアタグかなー
いいことしれました。
この前もカギを無くしてしまった…本気で検討した方が良いな…😭
この記事を読んで、私も使ってみようかなと思いました
お友達がこの記事でスマートタグ購入したそうです。
タグ発見装置やブロック機能とか
反対目線の記事も読みたいです。
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