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休日くらい二度寝したい！を追求したら「最高の昼寝」にたどり着いた【マイネ王調査団】

2021.06.23 14:30

ライター: CHAHANG
京都のデザイン事務所。かのうしゃちょうとぱたおが在籍中。あらゆるグラフィックデザイン、アートディレクションを行い、コンテンツの企画・編集・ライティングなども行う。たくさんのコーヒーを飲む。

「睡眠」にまつわる悩みを持つ人はきっと多いはず。特に寝不足な人が多いとされている現代において、「気持ちよく眠ること」への渇望はもはや共通の願いといってもいいのでは無いでしょうか。

ここにも、そんな睡眠への悩みを抱える者がひとり……。

というわけで皆さんおはようございます、かのうしゃちょうです。本日はお休みの日なので「今日くらいはゆっくり布団にこもってやるぜ！」と思っていたのですが、このザマです。妙に眠気が覚めてしまいました。

そして今回の「マイネ王調査団」は、同じ悩みをお持ちの方からのご依頼です。

マイネ王調査団について、詳しくはコチラの記事をご覧ください

さて、では今回のご依頼を詳しく見てみましょう。

すっきり起きられる……というのは羨ましくもありますが、「休日だからこそ充実した睡眠をとりたい」という願いには共感しかありません。ここはひとつ、我がCHAHANG事務所で「最高の二度寝」を提案してみせましょう！

……社員が！

徹夜でゲームをしていたらしい、社員のぱたお

「最高の二度寝」をしたいから、二度寝マシーン作って。

えっ。

休日の朝から無茶振りをされました、ぱたおと申します。私は24時間眠い体質なので、「二度寝ができない」状態がそもそも想像できないんですが……。せっかくいただいたご依頼！眠気なんて吹っ飛ばして頑張ります。

では、まずは依頼者トムヤスさんの１日の生活を確認しましょう。

これは……かなり理想的な生活なのでは……？それゆえに体内時計が完璧にできあがっており、二度寝できない、といった状況が予想されますね。

せっかく体内時計が機能しているなら、それを狂わせてしまうのはもったいないです。また「睡眠」という体調に直結する行動に対して、いい加減なことはできない……。

よし！もうこれは、専門家に聞こう！

専門家の先生に聞いてみよう

そんなわけで、今回「睡眠」のお話をしてくださる専門家の先生がこちら！

東京都医学総合研究所「睡眠プロジェクト」の本多真先生です！

東京都医学総合研究所本多真

「睡眠プロジェクト」プロジェクトリーダー。東京大学医学部附属病院精神神経科・都立松沢病院精神科の医員として務めたあとに、スタンフォード大学のナルコレプシー研究センターにて研究員を務める。現在は東京都医学総合研究所「睡眠プロジェクト」にて、重度の眠気を呈する「中枢性過眠症」に焦点をあて、その病因・病態の解明を行っている。また、非常勤医師として、睡眠専門外来で診療を行っている。

インタビューはオンラインで行いました

本日はよろしくお願いいたします！今回は「最高の二度寝をしたい」という依頼者さんの願いを叶えるため、いろいろとお話をお伺いできればと思っています。

えっ、「二度寝をしたい」んですか？「二度寝を防ぎたい」ではなく？

あ、やっぱり「二度寝を防ぎたい」人のほうが多いんですか……？ちなみに私は二度寝どころか何度でも寝てしまうので、「二度寝を防ぎたい」タイプです。

若い人ほどたくさんの睡眠時間が必要なので、睡眠不足のために二度寝をしてしまう人が多いんですよ。ですので、「二度寝をしたい」というのは珍しいお悩みだと思います。

依頼者さんは非常に健康的な生活をされているようなんです。それゆえに二度寝がしたくてもできず、悩んでらっしゃるのかと思います。

なるほど……恐らくその通りですね。では、そもそも「なぜ二度寝をしてしまうか」からお話をしましょうか。

衝撃！健康のために二度寝は”非推奨”！？

なぜ二度寝をしてしまうか……。私は単純に、眠いからしてしまうんですが（笑）。

はい、その通りです。睡眠時間が不足しているので、二度寝が発生するんです。休日に二度寝してしまうのは、平日分の睡眠を補おうとしているからなんですね。つまり、朝にさっぱり目が覚めてもう眠れない……という状態は、普段の睡眠時間が十分であると考えられます。

なるほど。普段の睡眠時間が足りなければ寝てしまい、足りていれば起きてしまうと……。あれ、依頼者さんの生活って……。

改めて見ても完璧な生活

この方は非常に健康的な1日を過ごされていますね。なので、不眠症などで二度寝ができない、ということではないと思います。そして睡眠時間が十分ゆえに起きてしまうのならば……依頼者さんが二度寝をするのは、難しいんじゃないでしょうか。

に、二度寝をするのは、難しい……。

人には年齢ごとに「充足する睡眠時間」がありまして、それ以上はもう眠れないものなんです。例えば60歳くらいになると6時間眠れば十分で、それ以上はお布団に入っていても眠れないんですね。

な、なるほど……。ちなみに、あえて変な時間に目覚ましをかけて「睡眠サイクルを無理矢理狂わせて二度寝する」っていうのは……。

無理に睡眠サイクルを狂わせると「ソーシャルジェットラグ」を引き起こす可能性もあるので……私から「OK」とはいえないです。

「ソーシャルジェットラグ」？？？

「社会的な時差ぼけ」のことです。例えば、普段7:00に起きている人が休日だからと10:00に起きると、体内時計が3時間後退したことになりますよね。そうするとあとの行動も後ろ倒しになって、時差ぼけのようにリズムが狂っちゃうんですよ。

体内時計が狂ってしまうから、「休日に寝溜めをしたのに、月曜日の体がだるい」という症状が出るんです。しかも体内時計って、後退させるのは楽なんですが、戻すのには数日かかります。

え！？でも狂った体内時計を月曜日から戻そうとしても、また休日がやってくるじゃないですか！

はい。もし、またそこで寝溜めをしてしまうと「ソーシャルジェットラグ」が発生して……。

つらい月曜日を迎えてしまう……。ループする時差ぼけから抜けられない、と……。

睡眠不足の方が休日に少し長めに寝るのをダメ、とは言いませんが、それでも午前中ずっと寝てしまうのはおすすめできません。夜の睡眠に影響が出て、月曜日に疲れが出てしまいますので。

と、ということは……！

絶望

あ、あ〜〜〜なるほど……確かにこれは、依頼者さんに二度寝をさせられないです……ね……。ははは……。

（絶望）

えっと……大切なのは「依頼者さんの夜の睡眠を壊さないこと」なんですね。ですので、夜の睡眠に影響を及ぼさないプラスアルファの睡眠、ということでしたら大丈夫ですよ。

え、そんな方法があるんですか！！！

は、はい。それは「昼寝」です。

昼寝！！！

今こそ知ろう「昼寝」の効果！

「休日に昼まで寝たり、無理やり二度寝をしたりするのはよくない」とのことでしたが、昼寝はちがうんですか？

より詳しくいうと、「30分ほどの短い昼寝はよい」ということです。これなら夜の睡眠に影響を及ぼしません。「昼寝だから大丈夫！」と言って2〜3時間寝るのはアウトですね。

休日に昼まで寝て、昼ごはん食べてまた寝て……みたいなことしてる私には、非常に耳の痛いお話です……。

いつ昼寝をするかも大切ですよ。夕方以降に仮眠をとると、夜の睡眠に影響が出てしまいますから。「15:00までに30分以内の昼寝」が最適だと思います。眠気がとれるだけでなく脳や体の回復にもなりますから、お昼以降も元気に過ごせて、夜ぐっすり眠れます。

それは一石二鳥！いや三鳥ですね！

夜まで体力が持ちにくいお年寄りの人などに、積極的に昼寝をするよう指導を行っているところもありますね。あとは慢性的に睡眠不足気味な人も、サイクルを壊さずに睡眠が確保できるので、おすすめです。

睡眠が不足している人にも、そして企画倒れになりそうだった私にも、素晴らしい光明ですよこれは……！

せっかくなので「昼寝のコツ」を聞いてみた

では、休日に昼寝をしたい、そしてその体験をよりよくしたい！という場合、なにかコツなどありますか？

「休日の昼寝」ですか……。ではお休みの日の特性を踏まえて、注意事項とコツをまとめましょう。

なんだかこれをこなすだけで、丁寧な休日を過ごせる気がします！ちなみに、「スムーズに眠るため」はわかるんですが、「深く眠りすぎないため」とは……？

先ほど、夜の睡眠を邪魔しないために「15:00まで・30分睡眠」ということはお伝えしました。その「30分睡眠」を目指すために、「深く寝てしまわない」ことが大切なんです。

眠りの深さ……。もしかして、「レム睡眠」「ノンレム睡眠」は関係ありますか？寝ている時は「浅い眠りのレム睡眠」と「深い眠りのノンレム睡眠」を交互に行うことで体と脳の両方を休めている、というのを聞いたことがあります。

まさにそれですね。寝始めて一番最初にくるのは脳を休める「ノンレム睡眠」なんですが、昼寝では「深いノンレム睡眠」に入る前に起きることを目指します。

もしかして「ノンレム睡眠」の中に、さらに浅い深いがあるんですか……？

ノンレム睡眠は3段階に分けられており、その中でも「N2」の段階が昼寝には最適なんです。N2は脳も体も回復させつつ、寝入ってしまう前の段階なので。それ以上寝てしまうと深い眠りになっちゃうので、起きにくくなり夜の睡眠に影響がでるんですね。

なるほど！だからコーヒーを飲んだり、ちゃんとアラームをかけたりすることが大切になってくるんですね。

寝不足などから、昼寝でうっかり寝過ぎてしまいそうな人には、特に意識してほしい点ですね。あと「朝にだらだら寝過ぎない」ことも大切です。午前中はしっかり活動しましょう。家事をしたり軽く運動したり、日光を浴びたりすると更によいと思います。

午前中に活動して、お昼寝で体力回復。そして午後からまた元気に活動して、夜はぐっすり眠る……。な、なんて理想的な1日……！ちなみに、お昼寝で眠れないときはどうすればいいですか？

「眠れない！」と考えすぎると余計に神経が過敏になってしまうので……。寝ることを意識し過ぎず、リラックスされるといいかもしれません。視覚情報は膨大なので、目を閉じるだけでも回復になります。

なるほど。

ほかにも、寝付きやすくする方法として「筋弛緩法」「自律訓練法」なんて方法もありますね。これは昼寝に限ったことではないんですが。

え、なんかかっこいい名前ですね。「ま、私は自律訓練法積んでるから」とかいいたくなります。

このあたりは不眠症の方にも効果があるとされています。「体と意識をリラックスモードにする」ための方法ですね。意識の切り替えや、「今から寝るんだぞ」と体に準備させる時間として、有用だと思います。

寝るための環境を作った上で、寝付けない人は意識と体のコンディションも作る、ってことですね！

さっそく試したくてインタビュー中にそわそわするぱたお

本日はいろいろなお話をありがとうございました！「なぜ二度寝がよくないか」「なぜ昼寝がよいか」の理由からしっかり理解できたので、最高の昼寝を生み出せる気がしてきました……！

依頼者の方も「せっかくの休日なのに二度寝ができなかった」と思うのではなく、「自分はしっかり眠れてるんだな！よし！」と思っていただければいいかな、と思います。睡眠だけじゃなく夕食を取られるタイミングなんかも理想的ですし、すごく素晴らしい生活を送ってらっしゃるので。

生活サイクルについては、私も依頼者さんを見習いたいと思っております。

私もなかなか不規則な生活になってしまっていますので、見習いたいですね。睡眠不足の方は、その不足分のつけをいかにして返済するかが重要です。今日の昼寝のお話なんかも参考にしながら、通勤などの隙間時間に寝るなど、睡眠時間の確保を大切にしてください。

ありがとうございます！本日の昼寝のお話を参考にしつつ、私自身も健康的な睡眠サイクルを目指してみます……！

年齢・性別だけじゃなく、季節によっても対策は変化します。今回はある程度一般的なご説明をしましたが、ご自分に合った方法で睡眠サイクルを作っていってくださいね。

「最高の昼寝」をどう作る？

さて、先生のお話を聞いてしまったからには、依頼者さんに二度寝をさせるわけにはいかなくなってしまいました……。

だって依頼者さんは、既に最高の睡眠サイクルを手にしているから！！！

そのリズムを私からの提案で壊してしまうのは忍びないです。しかも、一度壊すと現代人の生活では戻すのが難しいのも知っちゃいましたし……。というか、実は睡眠サイクルが壊滅している私からのやっかみとエゴが少し混じっています（睡眠サイクルが壊滅しているのは自業自得ですが）。

というわけで依頼者さんには、「最高の二度寝」ではなく「最高の昼寝」を提案したいと思います！！！

では最初に、「昼寝のコツ」を思い出してみましょう。

こう見ると「最適なベッドで寝る！」みたいな外部要因よりも、「◯◯をしよう！」といった自身の行動や意識に対してのコツのほうが多いんですね。これは「マシーン作り」の方向で考えると難しそう……。

……はっ！ならばこれでどうだ！

というわけで作ってきました！！！「昼寝支援音声『シエ（ン）スタ』です！！！

「マシーン」でなく「音声案内」です！！！名前は昼休憩を指す「シエスタ」と昼寝の「支援」をかけてみました！！！

えっ！急！あと由来を聞いた上で、名前ダサいな！

昼寝支援音声『シエ（ン）スタ』

専門家の先生にお話を聞いたところ、無理に二度寝をするのはよくないことがわかったので、代わりに「最高の昼寝」を目指すことにしました。

「最高の昼寝」に切り替えたのはいいけど、なんで音声案内？

お昼寝の準備って、誰かにやってもらうというよりは「自分で自分のコンディションを整える」項目のほうが多かったんです。なので、ベストなタイミングでベストな準備を行ってもらうべく、「音声案内」の形をとりました。ちなみに音声はプロにお願いしたので、もうそれだけで最高ですよ。

な、なるほど……。まぁとりあえず聞いて、実際に昼寝の準備をしてみるわ。

実際に製作した音声案内「シエ（ン）スタ」はこちら！みなさんも、お昼寝どきにぜひ視聴してみてください。

案内に従って、お昼寝の準備を進めていく20分程度の音声です。準備前の確認事項に始まり、コーヒーを飲んでもらったり、眠るための環境を整えてもらったり……。ラストに「筋弛緩法」を取り入れたので、気持ちよく睡眠に移行してもらえるんじゃないかと！

さぁどうですか！？寝れますか！？この「昼寝支援音声『シエ（ン）スタ』」を聞くだけで、最高の昼寝までの準備ができるはずなんですけど、どうですか！！？？しゃちょう！！！？？？

すやぁ………………。

ね、寝ている……。

依頼者さんは休日にゆっくり眠れたのか！？

トムヤスさん、いかがだったでしょうか？

もう少しゆったりしたいという思いだったのですが、まさか自分の生活習慣が理想的だったとは……！

そうなんですよ！とっても理想的でして。

そして実は、先月から休日の昼食後に1時間程昼寝をしているんですよ！

なんと……！

その上で、目から鱗な話も多くてとても勉強になりました。そしてこれからは効率的な睡眠のとりかたを徹底していきます！本当にありがとうございました！

お役に立てて、良かったです！

かのうしゃちょうには大変好評でしたが、皆さんは「最高の昼寝」を体験できそうでしょうか？健康のために適した睡眠サイクル・睡眠時間で眠ることはとても大切である……。わかっているつもりでしたが、本多先生にお話を伺ったことで、改めてその大切さを認識できました。

「夜の睡眠は壊さない」「でも休日だからゆっくり寝たい」この2つを両立させるために、きっと『シエ（ン）スタ』が手助けしてくれるはずです！個人的には昼寝のためにゆったりと準備を行う時間と、横になって寝入るまでの時間が、とても贅沢で素敵な時間に思えました。もともと寝ることが好きだったんですが、これからはもっと特別な時間として味わえそうで、とても楽しみです。

あ、あとは普段の生活リズムと睡眠サイクルの改善は必須だな……と身に染みました。さぁ、皆さんも一緒に、レッツお昼寝！そしてレッツ生活改善！

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参考文献・リンク
・西野精治『スタンフォード式　最高の睡眠』株式会社サンマーク出版
 ・協会けんぽ健康サポート「筋弛緩法で体をゆるめて、心もリラックス」
neurotrack ・「漸進的筋弛緩法 [PMR について」]

企画：人間編集部
編集：社領エミ