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幻の「緑色の明太子」をもう一度。探しても無いので自作してみた結果【マイネ王調査団】

幻の「緑色の明太子」をもう一度。探しても無いので自作してみた結果【マイネ王調査団】

ヒラヤマヤスコ
ライター: ヒラヤマヤスコ
1989年生まれ。人間編集部所属。逗子と京都の二拠点生活。学生時代は日本画を学び、京都の編集プロダクションに5年勤めたのち独立。Webや雑誌を中心に、ローカルコンテンツや食べ物屋・お酒をテーマにした記事をよく執筆する。「スナックおかん」なるフードイベントも各地で開催中。料理&酒場ネタや一次産業、街の小ネタや雑学まで、守備範囲が広い。

こんにちは。ライターや編集者をしながら料理人もしているヒラヤマヤスコです。あだ名はおかんです。似合うでしょう割烹着。フフフ……。

ユーザーさんの悩みや質問ごとを解決する「マイネ王調査団」、本日はとある食品にまつわるお話です。

詳しくはコチラの記事をご覧ください

みなさん、明太子ってお好きですか? しょっぱくてピリッと辛くて、一切れあればご飯がモリモリ進むアイツ。もちろん私も大好きです。

なぜ、明太子の話をしているのかと申しますと、マイネ王調査団宛にこんなお便りが届いたからです。

緑色の明太子……。しかもわさび味なんて見たことも聞いたこともありません。ネットでも血眼になって調べましたが【刻んだわさび入りの明太子】はあったものの【緑色の明太子】というのはありませんでした。

なんとか周辺情報から弁当を特定できないか? と思い、けんぢ@さんに聞いてみたところ……。

・小倉駅の新幹線の改札内で買った。
・緑色の明太子は、駅弁のなかの惣菜の一つ。
・一口サイズだった。
・たしか2013年。
・箱の形は長方形だったみたいに思う。
・そぼろ?がご飯の上に乗っていたような……。



けんぢ@さんからいただいた情報をもとに、日本鉄道構内営業中央会さんにも聞いてみましたが……「駅弁は定番のものを除き、駅弁の内容が変わりやすいんですよね。ちなみに、私たちが把握している限りでは、緑色の明太子が入っている駅弁というのはありませんでした。こんな時勢ですので、駅弁事業から撤退される業者さんも多いんです。なので、見つけるのはかなり難しいと思います」と、回答が。

小倉駅で販売しているお弁当屋さんにも問い合わせてみましたが……「うちの店で緑色の明太子入りのお弁当は販売していません」との回答が。

ちなみに、北九州出身の知り合いにも聞いてみましたが「聞いたことないなあ〜。夢見てた可能性はない?」とぶった切られる始末。だとしたらけんぢ@さんの夢のディテールが細かすぎる……。

いや〜〜、これだけ調べても、問い合わせても見つけられないってことは……。

実際につくってみるしかないのでは???

ないならつくっちゃえ! 幻の「緑色のわさび明太子」を再現してみよう

と、いうわけで実際に「緑色のわさび明太子」を再現してみることに。無着色のたらこや、いろいろなタイプのわさび、緑色の着色料などを買ってきました。

ぶりんぶりんの上質なたらこ……。いまから実験に使われるなんて彼らも思ってもいないでしょう。もうこれ食べてウマイ!!って言って終わっちゃダメなのか。

「緑色のわさび明太子」レシピはこちら!

一口に「わさび味」といえども、世にはさまざまなわさびが販売されています。けんぢ@さんが食べたものに一番近づけるため

・本わさび
・缶入りの粉わさび
・チューブわさび


のそれぞれを緑色に染めた調味液に混ぜて漬け込み、3パターンの味をつくってみることにしましょう。

3種類それぞれ共通の材料

・無着色のたらこ…一腹
・白だし……適量(濃縮タイプの白だし1:水3で50mlの漬け液をつくります)
・緑色の着色料……付属のさじで10杯
・青とうがらし……1/2本


まずは濃縮タイプの白だしを1:3くらいの割合になるよう水で薄め、50mlの漬け液をつくります。漬け液の塩味は購入したたらこ自体の塩味と合わせています。みなさんが同じたらこを買うとは限らないので、もしこれを読んで実験される人は、手持ちのたらこの塩分に合わせて適宜調整してみてください。

着色料を水でよく溶かし、漬け液を緑色に染めます。漬け液50mlに対して、着色料は付属の薬さじですり切り10杯ぶん。

えげつないくらい緑色になりますが、使用したのはクチナシという植物由来の自然派な着色料。なんとなく安心感がありません?

青とうがらし1/2本を細かいみじん切りにします。

明太子といえばぴりっとしたあのとうがらし由来の辛さも重要な気がします。ちなみに、わさびの辛さはアリルイソチオシアネートという成分で、とうがらしの辛さはカプサイシンという成分。同じ「辛い」という表現ですがぜんぜん起因となる成分は違うんです。

わさびはツンツンした辛さだし、とうがらしはポカポカする辛さですよね。その違いはここにあるわけです。

明太子とするからには多少なりともカプサイシン由来の辛さがあっていいのでは? ということで、調味液に加えることにします。わさびにももちろんありますが、カプサイシンには殺菌効果もあるんですよ。調味液に数日漬け込むので、たらこが傷まないようにする意味合いもあります。

さて、3種共通の調味液ができたら、いろんなわさびを加えていきます。

本わさびは黒ずんでいる部分を包丁で落とし、

包丁の歯を立てて皮を落とします。

うぉおおおおおおおおお!!!!!

「のの地」を描くようにわさびをすりおろします。この時、空気に多く触れた方がよりツンツンした辛さが増幅するので、ぜひ目の細かいおろし金をご用意ください。

っだあああああああああああああ!!!!!

わさびは先端の方に辛味成分が集中しています。すりおろしていくと立ち上る爽やかなわさびの香り……! たまらんな〜。さすが、1本1500円しただけある。

すりおろしたわさびを15gぶんとって、調味液に溶かします。

粉わさびは少量の水で練って15gぶんつくったら調味液に溶かし、チューブわさび10gは少しの調味液で伸ばしながら、溶かし入れます。チューブわさびには塩分が含まれているため、他のわさびより少ない10gとしました。

できた調味液それぞれがこちら! どれもわさびを溶かしたらずいぶん白濁してしまいました。うまくいくのかな……。

たらこ一腹を沈めて……。

たらこにクッキングシートをかぶせ、浮いている部分にも調味液が染み込むようにします。

そして5日後……たらこはどうなった?

味と色を馴染ませるため、冷蔵庫で5日ほど放置しておきました。無着色といえども、そもそもがピンク色をしているたらこ、うまく染められたのでしょうか。

うわぁ……。

グロッ。

きれいな真緑に染まるのを期待していたんですが、なんか中途半端な緑色に……。どうしてこうなった。あれ〜〜〜〜〜????

たらこというよりもウミウシとかアメフラシとか、そういうぶよんとした生き物が頭のなかにチラつきます。

落ち着けこれはたらこ、たらこなのよ……。

それぞれを3つ並べてみました。肉眼の方がわかりやすかったのですが、画像よりも緑色に染まってました。でもところどころピンクのままの部分もあって……。結局グロいけどさ!!!??

興味深かったのが、同量の着色料を入れたにも関わらず染まり方にかなりムラがあったことです。チューブわさびが最もよく染まっていました。緑色の着色料は植物由来のものを使っていたのですが、人工的な着色料に比べて色素の粒子が大きいだとか、なにかそういった理由でムラになる原因があるのかもしれません。

ひょっとしたら漬け液にもっと着色料を入れたほうがよかったのかなあ。それとも浸透圧の問題? うーむ。きれいに染まっていた部分も、包丁をいれて切ったらピンク色でした……。

見た目は完全に失敗……しかし、味の方はどうなのでしょう!?

いざ実食! 一番おいしい「緑色のわさび明太子」とは!?

さて、重要なのは味です、味! はたしてどれが最もおいしい「緑色の(そうでもないけど)わさび明太子」なのでしょうか。

ご飯スタンバイ! 白米に明太子をオン!!
いざ実食、いただきま〜す!

んんん、圧倒的な香りのよさとソリッドな辛味が特徴的だった本わさびですが、1週間ちかく漬け込んでいることでなんだか香りが弱くなっているような……。

わさびの辛味成分であるアリルイソチオシアネートは水溶性の成分のため、ひょっとすると漬け液に辛味成分が溶けて、うまく明太子に染み込まなかったのでしょうか。正直、本わさびの材料費が高いので「圧勝でしょ!!」とタカをくくっていたのですが意外でした。

ただ、ふわっとした香りはやはり本わさび。弱いとはいえ3つのなかで最も香りはありました。

続いては粉わさび。一缶150円以下でとってもリーズナブルなのですが、これが意外とよかった。もちろん本わさびに比べて香りは弱いんですが、わさびのツンとした辛味がたらこに染みていて、費用対効果を考えるとけっこういいんじゃないでしょうか。

ただ、たらこ本来の味が強すぎてわさびの量がもっとあってもよかった気もします。わさびには染まらんぞ!!というたらこの強い自我を感じます。

わさびのツンツンをさらに全面的に出すには、思った量の8倍〜10倍くらい必要かなあと思いました。調味液というよりは、いっそペースト状になるくらい粉わさびを入れてしまってもいいかもしれません。

そしてチューブわさびはやっぱり風味が薄いですね……! 本わさびに比べると断然ベツモノです。

不思議なのが、なぜか変に甘くなってしまいました。わさびの辛味も香りも微塵も感じられず、正直これだったらわさび入れなくてもいいかもしれないなあ……。

と、いうわけで結果は……!

粉わさびの明太子が一番おいしい! (ただし改良の余地あり)でした。

けんぢ@さんは無事に再現できたのか?

今回、つくった緑色の明太子。私が食べるだけでは、依頼の解決にはなりません!
というわけで、依頼者であるげんぢ@さんにもつくり方のレシピと材料をお送りして、実際に食べてもらいました!

おかん
今回は、つくってもらう工程まで試していただいて……あの日食べた、明太子は再現できておりましたか?
けんぢ@さん
一つ一つ、感想を述べていきますね! チューブわさびを使った、明太子。これは、僕的にはあまりおいしくないなという印象で。ただ、一緒に食べた妻の評判はよかったです。
おかん
わたしも同じ感想でした! 本わさびはどうでしたか?
けんぢ@さん
これは摺り下ろしてそのまま食べたり、ご飯に乗せて食べたりすると本当においしい! ただ、肝心の明太子と一緒に漬け込むと、明太子の味が強くて、わさびを殺してしまっているなあと感じました。
おかん
ふむふむ。粉わさびはどうでしたか? 個人的にはこれが一番おいしかったのですが……!
けんぢ@さん
私も、これが一番おいしいと感じました! 後味にしっかりわさびの香りが鼻に抜ける感じ。明太子の味とわさびの絶妙なコンビネーションを発揮していて。……小倉駅で帰りに買った弁当に入っていた、わさび明太子の味そのものでした!
おかん
よかった……!
けんぢ@さん
今回このような機会をくださり、本当に感謝いたします! やっぱり個人では、ここまでやろうとは思えないので…! マイネ王調査団に感謝です!

味の再現度はよかった!そして「わさび味の明太子」はおいしい!

「緑色の明太子って……!?」と最初は半信半疑でしたし、結果的にけんじ@さんの記憶に残るような「めっちゃ緑じゃん!」と言えるような染色はできませんでした……。しかし、見た目の残念さを十分カバーできるくらい「わさび味の明太子」はおいしかった!!

手軽さを重視してレシピを作成したので、たとえば粉わさびを大量に使ったペースト状の漬け地に漬け込み、食べる前日あたりに香り要因として本わさびを追加するとか、もっと本格的な味を目指したいなら手間と材料費をかけてみてもいいかもしれませんね。

気になった方は、ぜひレシピを参考にしてつくってみてください。わさびの風味をつけたいだけなら着色料は不要です。

また食に関するアレコレでたしかめてほしい! 調べてほしい! ということがあれば、お気軽にご相談くださいませ〜。

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企画・編集:人間編集部
写真:納谷ロマン



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402 件のコメント
1 - 2 / 402
今朝、明太子ご飯食べました。
美味しいですよね~
色は微妙だけどわさび味の明太子興味ありです。
ヒラヤマさん、かっぽう着姿良く似合ってるなっし~!わさび味の明太子、色が微妙だなっし~。
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