リモート飲み会で騒ぎたかったので「防音室」を作ってみた
元営業マンのWebライター。将棋、サッカー、ランニングが好き。
こんにちは。ライターのらむ屋敷と申します。
最近、自分の周りでは自宅で仕事をする「リモートワーカー」が増えてきています。
Webカメラ越しに打ち合わせする「リモート会議」や、複数人で画面を見つめながらお酒を飲む「リモート飲み会」という言葉もよく聞くようになりました。私自身もリモートでのやりとりが増えています。
私はリモートワーカーではないですが、フリーライターなので家で仕事している点では同じです。ちなみに、知り合いのライター数人と木造のシェアハウスに同居しています。
私の作業するデスクの真横には、壁。その壁の向こうには、隣人が住んでいます。
リモート飲み会は夜に始まってそのまま深夜に及ぶこともあるので、昼夜問わず私の話し声や笑い声、そして時には奇声が、薄い壁を通り抜けて隣まで聞こえている可能性は非常に高い。
もし隣人が締め切りに追われているなか、私の部屋から楽しげな笑い声が聞こえたら……。一度ならまだしも、それが何度も何度も続くとなると……
ドンッッッッッッッ
「うるさいんじゃコラ!!!!!!!」
このように壁ドンされる未来は容易に想像できます。
そこで、お互いの生活に悪い影響を与えないためにも、声(音)を減らすための『防音室』を作ってみたいと思います。
防音室と聞くと、ウン10万円もする堅牢で巨大なものが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし今回は、そういった仰々しい防音室ではなく、
『安くて使い勝手がよくて片付けが簡単』な防音室
を作りたいと思います。
コンセプトは、まず「安い」こと。本格的な防音室と比べたら3万円は超安価ですが、私は日陰でコソコソと暮らしているライターなので痛すぎる出費です。担当編集を説得して、なんとか予算を勝ち取りました。
次に「換気と採光が可能」なこと。防音室は密閉されていて夏場はきついイメージがあるので、換気可能に。また、真っ暗だと怖いので外からの光も取り入れられるようにしたい。
最後に「簡単に片付けられる」こと。シェアハウスを退去するときや、模様替えがしたくなったときのことも考えて、気軽に解体できる仕組みがいい。
材料はこちら。近所のホームセンターやネット通販でそろえました。
材料一覧です。ギリギリ3万円以内に収めることができました。
全体を覆う材料は、プラスチックダンボール板(以下、プラダン)を選びました。1枚あたり約700円という安さと、半透明なので外光の調節がしやすい点が強みです。
プラダンは中が空洞になっていて非常に軽いですが、曲げようとしてもバキッと折れてしまうようなことはなく、最低限の耐久性はありそう。
まず最初に、プラダン6枚全ての下部を直角に折り曲げます。この折り曲げた部分の上に、のちほど床用マットを敷きます。
続いて、防音室をどのくらいのサイズで作るかイメージしながらプラダンを立てて並べ、デスク周りをぐるっと囲みます。
防音室が広すぎても持て余してしまうので、横幅はデスクと同じくらいに、奥行きはイスの背もたれを後ろに倒しても余裕があるくらいにします。
左右に2枚ずつ配置されるプラダンは、30cmほど重ね合わせて全体のサイズを小さくします。重ね合わせることでプラダンが折れにくくなり、耐久性が上がるはず。
養生テープでプラダン同士を貼り付けます。これで外枠はだいたい完成です。
今回は一般的に剥がしやすいとされる養生テープを利用していますが、長期間に渡って防音室の形状を維持させる場合は、布製などの耐久性に長けるガムテープを利用した方がいいかもしれません。
続いて、吸音材を用意します。縦30cm×横30cm×厚さ2.5cm、全部で96枚あります。1枚あたり約100円というコスパの良さで選びました。
吸音材の裏に両面テープを貼り、
プラダンの内側に貼り付けていきます。全体に貼ってしまうと吸音材の数が足りなくなってしまうので、音(声)が出る、口に近い箇所を中心に貼り付けます。
吸音材を貼り付けたプラダンを養生テープでつなげていき、デスクを囲うように設置します。これならイスを置いても後ろに余裕がありますね。奥行きは問題なさそうです。
プラダン4辺の折り込み部に載るように、床用マットを敷き詰めていきます。これで外枠が倒れにくくなり、下部の隙間が少なくなるので防音性の向上が期待できます。
デスクの周囲を完全に覆いました。黎明期の試着室か?
吸音材の裏に貼り付けた両面テープが完全に透けて見えます。ケチって短く貼ったのがバレバレです。だってこの両面テープ、高かったから……。
ちなみに、左に若干飛び出ている黒い部分は出入口です。
現時点では上から丸見えなので、解放感にあふれています。
左右が外側に若干たゆんでいるのが気になりますが、接続部分の養生テープが剥がれることもなく安定しています。
まだ完成ではありませんが、ここで一旦、スマホの騒音計測アプリを使って防音性を調べてみましょう。
防音室を作っている部屋のすぐ横の廊下にスマホをセットし、部屋の扉を閉めます。
防音室にドライヤーを入れ、最も風量の強いターボモードで稼働。
ドライヤーの風の音が、廊下にどのくらい漏れているかを計測します。
参考:騒音値の基準と目安 | 騒音調査・測定・解析のソーチョー(https://www.skklab.com/standard_value)
音の大きさを表すdB(デシベル)という単位は、数字が大きいほどうるさく、逆に少ないほど静かに感じます。
ちなみにデシベルは絶対値ではなく「比率(相対値)」を示したもの。20dBから40dBに倍増したら音の大きさも倍になる、というわけではなく、実際は10倍になっているようです。反対に、40dBから20dBに減少した場合、音の大きさは10分の1になります。調べて書いたのですが、間違ってたらすみません。
ドライヤー稼働前の静寂な廊下は30.2dB。台所の冷蔵庫の稼働音が微かに聞こえる、という環境です。
防音室の外でドライヤーを稼働した場合は44.2dBでしたが、はたして、現段階での防音性は……
40.2dB!
この時点で4dBの防音ができていることになります。吸音材を貼ったプラダンで四方を囲っただけでも、ある程度の防音性能が発揮されていることが分かりました。
いまのところ「昼の静かな住宅地」です。
今後の作業でどれだけ減らすことができるのか楽しみです。
天井を作ろう
次に、防音室の天井を作っていきましょう。
折りたたみ式のプラダンを用意します。大きさと材質は折りたたまれていないプラダンと同じですが、価格は半分以下。この綺麗な折れ曲がりも活用したいと思います。
続いて、マジックテープを用意します。大きなサイズのものを買ったので、ハサミで切り分けていきます。
折りたたみ式プラダンの端を内側に折り込み、白のマジックテープをおおよそ等間隔に貼っていきます。
さらに、マジックテープを貼ったのと同じ面に吸音材も貼ります。ビッシリ隙間なく貼ると折りたためなくなってしまうので、あえて隙間を空けます。
最初に組み立てた外枠のプラダンの上部に黒のマジックテープを貼り、
折りたたみ式プラダンに貼った白のマジックテープとくっつけると……
ピタッ。
未来の公衆便所みたいになりました。
見た目は悪いですが、上部をがっちりと覆ったことで全体のたゆみが減り、防音室の形状に近づいた気がします。
防音室の中に入り天井を見上げたところ、間隔を空けて吸音材を貼り付けたことで、プラダンの半透明部分から部屋の明かりが注ぎ込まれていました。これで真っ暗にはなりません。
先ほどと同様に、廊下に漏れる音の大きさを測定してみましょう。
36.8dB!
天井なしと比べて3.4dB減少です。ついに40dBを下回った!
ここまで、軽い素材のプラダンと吸音材しか登場していませんが、現時点で「ささやき声」と同じレベルまで音量を抑えることができているのは、感慨深いものがあります。
最後の仕上げ
防音室の完成まで、もう少しです。
フックを用意します。
防音室の外側上部に、中心側を向くようにフックを貼り付けます。
続いて、防音シートを用意します。工事現場などで使う業務用のものです。このシート、なんと1枚あたりの重さが約5.4㎏もあります。
プラダンや吸音材などの重さがない材料を使ってきましたが、ここにきて音を跳ね返す効果が期待できる、重い材料の登場です。
防音室上部に貼り付けたフックに、1枚目の防音シートを引っかけました。
続けて、2枚目の防音シートで覆います。
かなり具合の悪いゾウにも見えますが、当初のイメージ通り。全体が完全に覆われた状態になりました。
そして最後の仕上げに、取っ手を出入り口に取り付ければ……
完成!!
中に入ってみると……
大人の秘密基地みたい。
高級感すら出ている気がする……。
防音室の内部から天井を見上げると、部屋の明かりは完全に遮断されています。
さっそく防音性を測定してみます。先ほど同様に、ドライヤーをターボモードで稼働させます。結果は……
34.7dB!!!
音が全く気にならないレベル。防音シートで全体を覆う前後で2.1dBの減少です。これまでの減少幅に比べると最も少ないですが、防音シートで「防音のダメ押し」ができたのではないでしょうか。
ちなみに、自室で耳をすましている隣人に聞き比べてもらったところ、「普段は壁全体からドライヤーの音が聞こえてくるけど、防音室の中だと、どこから音が出ているのか分からなくなる。音が包まれている感じ」とのこと。よっしゃー!
また、ラジオ番組の音声を大音量で流しても声が漏れ出てこなくなりました。ドライヤーのような機械的な音だけでなく、人間の声にも効果的だぞ!
目標金額3万円以内で、防音性能を確認できました。1つ目の目標クリアです。
続いて、換気性と採光性をチェックしていきましょう。
出入り口を開けっ放しにすることで、真夏の暑い日でも空気を循環できます。また、コンセントを中に引き込めば、ライトで室内を照らすことも可能。
ただ、しばらく作業していると蛍光灯の明かりが欲しくなります。
そこで防音シートと天井を外し、上から丸見えのオープンカー状態で座ってみるとストレスが全くなくなりました。
天井がなくても4dBほどの防音効果があることがわかりましたし、適度に閉鎖された空間なので目の前の作業に集中できる気がします。
その日の気分や気温に応じて天井の開け閉めが簡単にできるので、非常に使い勝手がいいです。
最後に、簡単に片付けられるか。大掃除や模様替えなど、防音室を動かしたくなる機会は年に何回かありそうなので、片付けの手間がかかるかどうかは気になるところ。
それでは、実際にタイムを計ってみます。スタート!
まずは外側を覆う防音シートを外します(11秒経過)。
フックに引っかけているだけなので、取り外しが非常に楽です(20秒経過)。
続いては天井(25秒経過)。
マジックテープを剥がせば、簡単に天井を取り外せます(33秒経過)。
そして最後に外枠。養生テープで留めているだけなので、段ボールに貼られたガムテープを剥がすのと同じくらい簡単(38秒経過)。
プラダンは非常に軽いので、持ち運びも1人で全く問題ありません(54秒経過)。
解体完了。気になるそのタイムは……?
1分25秒!!
解体後、防音シートを折りたためばこのようにコンパクトに!
養生テープさえあれば、またすぐに組み立てることができます。
材料や作り方を工夫して、自分の理想とする防音室を作ることができました。
これで隣人を気にせずに、思う存分リモートで会話できるぞ〜!!!
防音室を作ってから数週間後…
コンコン……
「らむ屋敷さん、いないんですか? 開けますよ?」
ガチャ
野田「……これは一体?」
野田「そういえば、原稿の締め切りがヤバイとか言ってたな。閉じこもって作業してるのかも……」
野田「らむ屋敷さん、仕事してるんですか?」
野田「えっ? まさかこの人……」
野田「めちゃめちゃゲームしてるやんけ……」
(編集:ノオト )
作るの大変そう😆
自分には必要ありませんが^_^
時間があったらやってようと思います。
夏は大変そう…。
シェアハウスだと気を遣いますね。
やっぱり一軒家が気楽でいいな。
これはスゴイ。
もっとこの記事読まれたらいいのにー。
自室だから「不要な時は取り去りたい」ってだれもが思いますからね。
それから転職を考えたとき、リモートワークが増えてること実感した人は分かると思うけど、じゃあ、自宅で職場みたいな音量で声出してもいいのって考えたら抵抗ある人は多いはず。これ見て自分の努力で何とかなるなら、リモートワークもできるかもって思う人は多いんじゃないでしょうか。そういう意味で社会的意味のある試みだったと思います。ありがとう。
秘密基地って楽しいですよね。
Upありがとうございます❗ 最後のオチ(笑)、確かにそうなりそうである🤭
「音楽活動するから、防音室作って。5〜20万円かかるらしい。」
と言われました❗️
めちゃくちゃタイムリーです😊
作業時間に、実際の防音効果の数値まであって、わかりやすい❣️
その上、おもしろい🤣
upありがとうございます💕
真似したくなりました。
しかも、分解・片付けが可能とは😳
片付けたくなったらコンパクトにできる、そこまで考えられてるのはよきですね
早く知りたかったです(笑)
隣の部屋の見知らぬ男性のいびき、家族のいびき、はたまた いちゃつき。
なんで家族でも恋人でもないのにこんなの毎晩聞かなきゃいけないの?と
壁ドンどころか、目覚まし鳴らしてあげた日もあるほどでしたが…
効果なしでした。
家族のいびきで悩んでいた頃、小さな棺のようなものを発見しましたが、
さすがに、本人に入れとも、自分が入る気にもなれませんでしたので…
換気と採光が最高です! 空調と閉塞感がなければ棺みたいなのに入ってましたよ(笑)
思ったより機能性が高そうなので私もやってみようかな笑