コロナ禍で注目度アップ パネルに触れずに操作できる非接触型空中ディスプレイ「ASKA3D」
フリーランスの編集者・ライター。新しいもの好き。外出自粛中の楽しみはゲーム。
コロナ禍でさまざまな変化が生じ、企業では新しい生活様式に合わせた商品開発が進んでいます。
アスカネットは、空中に実像を出現させるプレート「ASKA3D」を開発。まるでSFに登場しそうな製品で、デジタルサイネージ(電子広告)として企業に採用されるなど、注目を浴びてきました。現在は、機器に触れずに操作できる「非接触型空中ディスプレイ」としての利用に関心が高まっています。
世界中の企業から問い合わせがあるというアスカネット。同社エアリアルイメージング事業部次長の東條弘幸さんと、同事業部営業チームマネージャーの山本和宏さんにASKA3Dから見る市場の変化や今後の展望について話を伺いました。
——新型コロナウイルス感染症の影響で、ASKA3Dが注目されています。企業からはどのような問い合わせがありますか?
山本さん:
ASKA3Dの特徴は、ゴーグルや霧を使わなくても空中実像が見られること。そして、モーションセンサーを使用することで、パネルにタッチせずに操作が可能な点です。機器に触れずに操作できるため、衛生管理の観点から飲食店やエレベーター、企業の受付などで問い合わせが増えています。
——具体的にはどのような活用事例がありますか?
山本さん:
2020年7月には、「無添くら寿司 新世界通天閣店」でASKA3Dを使った非接触型受付機の実証実験に採用されました。同社は鮮魚を扱う飲食店のため、コロナ禍前から衛生管理への関心が高く、いち早くお声がけいただいたんです。
また、10月から販売される日本電通株式会社の非接触型無人受付機「オレセライトタッチレス」という商品にもASKA3Dを採用いただいています。
東條さん:
他の事例としては、アクアシティお台場の館内案内板やハウステンボスの「変なホテル」のチェックイン用受付機などに使われています。
また、中高一貫教育を行う田園調布学園の探究学習にも導入されました。生徒たちの知的好奇心を高めることを目的に、ASKA3Dを使った空中ディスプレイのコンテンツ制作を1年間行っているようです。
▲ASKA3Dの活用例。空中に浮かび上がった映像と非接触での操作が特徴的
——海外からも問い合わせが多いと聞きましたが、いかがでしょうか?
山本さん:
当社は2017年から海外出展をしており、中国やアメリカ、ドイツを中心に、現在56カ国から問い合わせがきています。業種としては重工業が多く、中国では自動車関係や非接触型空中ディスプレイとして、アメリカでは大型のデジタルサイネージとして、ドイツでは自動車関係から問い合わせがきており、用途はさまざまです。
▲海外での導入事例。エレベーターの操作パネルとして利用されている
具体的な事例としては、アラブ首長国連邦(UAE)の自動車メーカー「Wモーターズ・ライカンハイパースポーツ」の実車や、中華人民共和国の自動車メーカー「奇瑞汽車(きずいきしゃ)」の北京モーターショー2018の展示でコンセプトカーやモデルカーとして利用されています。
コロナ禍で感染予防の必然性に駆られた企業も多いように感じました。市場のニーズは今年2月頃を境に、従来のデジタルサイネージや自動車関係から、非接触型空中ディスプレイへとシフトしている印象です。
——BtoBの展開がほとんどですが、一般ユーザー向けの製品はありますか?
東條さん:
「おうち供養Omokage(おもかげ)」を2019年2月からインターネットで販売しています。ASKA3Dを埋め込んでおり、おりんを鳴らすと遺影が浮かぶ商品です。
居住空間の欧米化が進み、自宅に仏壇が置けない状況を見て、開発しました。普段は遺影写真を映し出さず、来客があってもインテリアとしてなじむように工夫しています。
▲スタイリッシュなデザインの「Omokage」。おりんの音で、中央に遺影が浮かぶ
制作のきっかけは技術開発者との出会い アイデアマンの会長がキーに
——ASKA3Dの制作のきっかけを教えてください。
山本さん:
もともと、ASKA3Dの技術は当社と関わりのなかった大坪誠が発案し、1997年に特許を取得していました。大坪は新幹線の車窓から「なぜガラス板があるのに外の景色は立体的に見えるのか、手前にある自分の顔を写さないのか」と疑問を感じ、着想を得たそうです。
そんな大坪の技術に当社の会長・福田幸雄(当時社長)が惚れこんで、彼を会社に引っ張り、開発を進めました。
当社はもともと遺影写真の加工やオリジナル写真集作りを行ってきました。そろそろ新しい映像技術の開発が必要だと考えていた頃に大坪と出会ったのです。
東條さん:
ASKA3Dは、ガラス製の製品として誕生しました。手作り製法のため量産化が大きな課題でしたが、それを可能にした樹脂製のプレートが2019年6月に完成したんです。
2020年6月には神奈川県に技術開発センターを新設し、ガラス製の効率的な量産技術・体制の確立を目標に、専門人員を導入して研究開発しています。
——どうやって空中に実像を浮かび上がらせているんですか?
山本さん:
ASKA3Dに原版(液晶ディスプレイの画像や物体など)が放つ光線を通すことで、原版と同じ像を空中に形成させています。原版とASKA3Dの距離、ASKA3Dと空中結像の距離は原則1対1。現在では、、一度鏡に反射させることで、1対2まで距離を伸ばすことに成功しました。
——ASUKA3Dの構造はどうなっているんですか?
山本さん:
2つの鏡を垂直に貼り合わせた2層構造の板を用いて、数百ミクロン単位の規則的なパターン成型を行うことで、像を成しています。
メンテナンスは拭き掃除をするだけ。内面の構造に特徴があるので、外側に傷がついてもさほど影響はありません。
——ASKA3Dにはガラス製と樹脂製があるとのことですが、違いは何ですか?
山本さん:
ガラス製は最大で1m角のサイズまで製造が可能です。ただし、手作り製法なので量産が難しい。一方、樹脂製は最大20cm角とサイズは限定されますが、量産が可能です。
また、空中結像の明るさは基本的には原版の明るさに依存しますが、ガラス製か樹脂製かで多少差があります。
——改善していきたい課題は?
山本さん:
サイズの拡大化です。樹脂型は成型の技術的な上限があって、できるサイズが限られており、現在は20cm角が最大です。それ以上の大きさを希望する声が多いので、品質を保ったままサイズを大きくする必要があります。
一方、ガラス製は大型化を目指して開発してきたので、最大1m角で販売できます。こちらはコスト減が課題ですね。
基本的にASKA3Dの構造や原理は決まっているので、今後はどんな商品展開ができるかを模索する必要があります。
——新型コロナウイルス感染症の影響でASKA3Dが注目されています。今後の展望をお聞かせください。
山本さん:
非接触型空中ディスプレイは、衛生管理の観点から病院や医療メーカーでも導入できればと願っています。世の中の役に立つと言うと大げさかもしれませんが、ASKA3Dの導入で新型コロナウイルスなどへの接触感染リスクが下がったという結果が出せれば、うれしいですね。
おかげさまでさまざまな企業と開発が進み、今後は海外の代理店を増やす予定です。エレベーターやスーパーのレジなど、皆さんの日常生活でASKA3Dを目にする場面が増えるよう、努力していきたいです。
新しい技術が日常生活へやってくる
写真や動画では伝えきれないほど、ASKA3Dを使った空中ディスプレイは近未来的でワクワク・ドキドキする製品でした。
現在、開発に携わる人々のおかげで、新しい生活様式に合わせた新しい製品が急速に誕生しています。アフターコロナの世界では、漫画や映画で憧れた世界を実現するような製品が増えているのかもしれません。
(編集:ノオト )
makuakeに最近似た様な製品があって心動かされました。身近な製品になりそうな予感です😄
エレベーターのボタン?がこんな感じだった気が
心配です。
反応感度はどうなのでしょうね?ストレスなく操作出来る物が一般的になるのが待ち遠しいです(^^)
それまでは、新型コロナウイルスが何とかならない限りは、手袋とタッチペン必須の生活を続けるしかないのかなぁ……
凄いと思いました。(^^
完全自動運転の車は早く実用化して欲しいです。過疎地域や公的交通機関が少ない地域は、高齢者が運転に不安を抱えながら車を運転している現状があります。
完全自動運転車が導入されれば、高齢者が安心して出かけることができると思いますし、高齢者による事故が減るのではないでしょうか。
もうこんな進んだんか…
日本で生まれた技術ってのが嬉しいですね♪
VRやARみたいに、近い将来もっと身近に普及するんだろうなぁ。
ありがとうございました。
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