他人の写真に写り込みたくないから、セルフモザイクマシーンを作った
2013年から、YouTubeチャンネル『無駄づくり』を開始し、無駄なものを作り続ける。
私は死んだ目をしながら一人でカフェにいることが多いのだが、たまに目の前の席にいるグループが楽しげにスマホで写真を撮りあっているときがある。
撮影者のスマホが人と人の肩の間から見えたとき、「私、写り込んじゃってるんじゃないかな」と、不安になることも多い。
もし写り込んでいたとしても、SNSにアップする過程で「うわ、なんか後ろに死んだ目をしている人が映り込んでる!」と気づいて、アプリなどでモザイクをかけたり、天使の絵文字を上から貼って隠したりしてくれていると思う。でも、なんか……知らない人のスマホのなかに自分のふとした瞬間の顔が記録されるのはちょっと怖いし、心霊写真かと思われたら申し訳ない。
この前は、カフェで一人何をやるでもなく虚空を見つめながらコーヒーを飲んでいたら、目の前のグループに誕生日ケーキが運ばれてきた。「幸せそうだな」と無表情で思っていると、集合写真を撮り始めた。楽しそうな人たちの肩と肩の間に、私の虚ろな顔がインしちゃってる構図だった。
私の虚ろな顔がインした集合写真なんて、かわいそうすぎる。そう思って体をズラしたり、顔を伏せたり、手で顔を隠したりと必死で努力した。
もっとスマートに自分の顔を隠せる方法はないのだろうかと、いつも考える。いっそのこと、人間の進化の過程で、自分の顔に勝手にモザイクがかかる能力が付加されればいいのに……。
そうか、セルフでモザイクをかけられるマシーンを作ればいいのだ。世界中の人たちを救えるマシーンになるかもしれない……。よし、作ろう。
まずは、設計図を書いた。自分で自分にモザイクをかけることができる「セルフモザイクマシーン」だ。
このマシーンには、「瞬間調光フィルム」という素材を使う。通電している間はクリアに見えて、通電していないときは曇りガラスになる仕組みのものだ。会議室のガラスなどに使われているのを何かで見たことがないだろうか。あれです。
なんと「瞬間調光フィルム」の小さいものがAmazonで販売されていた。Amazon、マジでなんでも売っているな……。購入します。
届いた。まずは動作確認してみよう。スイッチをオンにしていると、このように透明だけれど……
オフにすると、この通り。曇るのだ。
便利すぎる。しかし前途した通り、瞬間調光フィルムは、プライバシー保護のためにデカい会議室のガラスとかに使われるやつである。この小ささ、ドラマに出てくるような独房の窓くらいしかないぞ。何用に販売されているのだろう。セルフモザイクマシーンを作るためだけに販売されているのだと勝手に解釈することにした。
疑問を勝手に解消したところで、あとはこのフィルムを頭に装着するためにちょっとだけ細工をする。
細工、といっても、頭に巻くための紐にマジックテープを接着したら完成だ。いつもは工作をすると2日ほどかかってしまうのだが、今回はすべてをこの瞬間調光フィルムに託しているので、めちゃくちゃ簡単に作れてしまった。2時間くらいで作れてしまった。なぜだが、早く作れた分だけ不安になってしまう。
こちらが完成したセルフモザイクマシーンだ。
マダムが庭の手入れをするときにかぶっているサンバイザーのように見えるけど、誰がなんと言おうとセルフモザイクマシーンですよ。
横から見ると、マダムから一転してSF感がある。ちょっとかっこよくないですか? そんなことない? そんなことあるよね? ない……?
いや、やっぱりかっこいいよね。メン・イン・ブラックやバックトゥーザーフューチャーに出てきそうなアイテムに見えませんか? そんなことない? ない……?
装着してみた。これだけでは、まだモザイクがかかっておらず、顔が分かる状態だ。しかし、横にあるスイッチを押すと……。
完全なモザイクになるのだ! 鼻のところだけ脂でくっきりと皮膚の色が見えてしまっているが、完全に顔を隠すことができる。
これを使えば、もし他人の写真に写り込んでしまったとしても、自分でモザイク処理をすることができる……。これは、SNS時代に必須のアイテムになるのではないだろうか。
目の前の席でめちゃくちゃ自撮りをしている男性グループがいる。こういう人たち、絶対に友だちになれないなと思うが、向こうも私とは友だちになりたくないだろう。
人って、こんなに笑顔になれるんだ。
ほらー。写っちゃってるよ私。完全に写っちゃってる。でも大丈夫。私にはマシーンがありますから。
マシーンを装着して、もう一度写り込んでみよう。スイッチを押すと……。
シャッ。
きれいなモザイクがかかった!
拡大してみると、うっすら目が見える気もするが、それは気のせいだろう。とにかくきれいにモザイクがかかったのだ。
窓からの光などがフィルムに写り込むと、モザイクをかけなくても普通に顔が隠れることにも気づいたが、それも気のせいに違いない。
ちなみに、装着すると全く前が見えない。まあ、この世は見たくないものばかりだから、いいのです……。
無事にセルフモザイクマシーンを作ることができた。これで、パリピな方々の写真撮影にいつ遭遇しても大丈夫だ。私は無敵になった。これで、安心してカフェで虚空を見つめることができる。
でも、みんな、写真を撮るときは後ろに死んだ目をしている人がいるかどうか確認してから撮りましょう。私との約束だよ。
(編集:ノオト )
発明王ですねぇ😊
ちゃんと顔が隠れて良かったねっ🙂
意識しすぎでは?
観光客も多く
このようなこと日常茶飯事なので
逆に世界中の行くこともないであろう国の方等の写真に映って、
どこかの国にいると思うと
不思議な感じがします...
ついでに、ボイスチェンジャーも付けて❤
その腕をもっと違う方にも向けてみては…