お巡りさんが来た！

『ぴんぽ～ん』

今日は代休。一日ゆっくり寝ていられるご褒美DAYだ。
何なら起き抜けビールとかも可能なシチュエーション。
素敵かつ自堕落な一日を堪能しようと、モゾモゾと寝床を抜け出して冷凍庫のお魚を『如何にしてお酒の相棒にするか』思案し始めた恍惚の瞬間を、玄関の呼び鈴が台無しにした。
今どき珍しい、乾電池を電源とする呼び鈴。
電池の消耗とともに呼び出し音が『ピンポ～ン❤』みたいな可愛らしい音から『貧乏～』みたいな貧相な音に豹変するクラシックなヤツ。

平日の真っ昼間に誰だよ～。宅配も依頼していないし、郵便が届く予定もないぞ？？

「突然スミマセン！ワタクシ、駅前の交番より参りました冷泉（仮名）と申します」

お巡りのご厄介になるようなことをした覚えはない。
何かの加害者にも被害者にもなっていないし、モノを無くしたり拾ったり保護したりされたりしたこともない。

何しに来たんだ、この人？？？
「実は……『巡回連絡』というのを行っていまして」

若さ溢れるお巡り（なんとなく福山雅治様に似ていた。ムフッ❤）の説明によると
・本人の了承を得たうえで、世帯の情報を収集する
・事件or事故等があったとき、必要に応じてその情報を活用する
らしい。

『じゃあ…もし、この部屋が丸焼けになって…室内から「おこげ」が一つ出てきたら…本人かどうかを確認する最初の手段が「いま記入したスマフォの番号にかけてみる」とか、事件じゃなくても本人が室内でエラいことになっていたら親族に連絡して身元確認するとか？』
「個別具体のシチュエーションについてはお答えいたしかねますが…」

困惑とともに行われた懇切丁寧な説明によると、住民の安全を守る為に収集したデータを必要且つ最小限の範囲で利用するそうな。
言われてみれば確かにそうだ。
お巡りの仕事って『住民の、社会の安全を守ること』なんだ。
悪い奴を捕まえることが第一義ではない。
この微妙な季節に窓を開けっぱなしで寝れるのも、
敷地内の駐車場に置きっぱなしにした車がパクられないのも、
こういった地道な活動のもとに成り立っているんだ。


ありがとね。

「ご協力ありがとうございました！お預かりした情報は、交番にあるロッカーで厳重に保管します！」
厳重に保管します、というなら何故在処を簡単に喋るんだ。
まあ、ネットで公開されている実施要領に『ロッカーで保管する』って書いてあるからいいんだけど。