eyecatch.jpg

  • おもしろネタ
  • インタビュー
  • コミュニケーション

言葉がないからこそ、無償の愛を注げる。ロビンソンズ北澤さんに「猫と仲良くなるコツ」を聞いた

園田 菜々

ライター:園田 菜々

1991年7月7日生まれ。ライター。

  • はてなブックマークに追加

自宅で飼っているペットの写真を、SNSに投稿する人たちは多い。我が家のかわいい家族を、ひとりでも多くの人に見てほしい。その写真に映るリラックスした表情には、毎日食事をさせたり、散歩をしたり、寝床を整えたりしてあげているからこその、人とペットとの親密な関係性がにじみ出ている。

そんなよくあるペット写真とは違った猫の写真を投稿している人がいる。お笑い芸人「ロビンソンズ」の北澤仁さんだ。

■ 北澤 仁さん(ロビンソンズ)

ワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビ「ロビンソンズ」の一員。趣味の一つとして、街中で出会った野良猫を撮影しており、その模様はTwitterで毎日公開されている。

北澤さん自身は猫を飼っていない。彼のInstagramTwitter (メインで使っているものとは別に、猫の写真用のアカウントを持っている)に映るのは、どの子も野良猫だ。しかし、日々SNSに投稿される写真には、野良の「野」の字も感じない、リラックスした様子で映り込んでいる。

そもそも道端で野良猫を見つけても、北澤さんが撮影しているような間合いに近づくまでに逃げられてしまうだろう。果たして北澤さんは、どうしてこんなに猫を撮るのがうまいのか。「どうすれば、そんなに猫を上手に撮れるのですか?」と、何気ない疑問を投げかけたところ、そこには北澤さん特有の想いがあった。

無類の猫好きである北澤さんは、普段猫とどうコミュニケーションを取っているのだろうか?

猫への固定観念を壊した「チビ」の存在

北澤さん、実は猫カフェに来るのは、今日が初めてなんですよね。

そうなんですよ。逆に緊張する……。

猫に関する取材も初めてですか。

そうそう。僕、飼ってはいないので。やっぱり猫を取り扱うメディアは、飼い猫がいる人に取材するんですよね。

私はむしろ、野良猫とあれだけ近づくためには、どんなコミュニケーションを取っているのかが気になって、今日のインタビューをお願いしました。そもそも、北澤さんが猫好きになる明確なきっかけは、あったのでしょうか。

やっぱり、最初に飼った「チビ」という猫でしょうね。僕が小学校に上がりたてくらいの頃かな。それまでは、まったく好きじゃなくて、道端で見つけても触ろうともしなかった。

そうだったんですか。

それがある日、なんの前触れもなく、母親がどこかから一匹だけ猫をもらってきたんですよ。冬の寒い日に、ジャンパーを着た母親の胸元から、顔だけのぞいていたのを鮮明に覚えています。

そのときに初めて「かわいいな」と思った、ということですか。

いや、かわいいとかも思わなくて。いきなり現れて、「家族が一人増えた、どうしよう」という気持ちでした。

「ペットができた」じゃなくて、「家族が増えた」なんですね。

そうそう。僕、今もそうなんですけど、あんまり猫を猫だと思って扱っていないところがあるんですよね。

……どういうことですか?

人って、誰かに対して「ヒトだからこうしたら喜ぶ」とか思わないじゃないですか。「○○さんだったら喜びそう」みたいに、その人それぞれの個性を見てますよね。それと一緒で、「猫だから、こうすると喜ぶ」みたいなイメージが僕には一切ないんです。それぞれ性格が違うから、「猫は気まぐれな動物」みたいな概念もない。

たとえば、チビちゃんはどういう性格だったんですか。

チビは変わった猫でしたよ。人懐っこくて、飼い主思いというか。昔、酒屋のお兄さんがよくうちに来て、当時小さかった僕を持ち上げたまま、ぐるぐると回して遊んでくれたんです。チビはそれを見て、僕を助けようとお兄さんに襲いかかる。

なんて健気な……。

いじめられているから助けよう、と思ったんでしょうね。いわゆる「忠犬」みたいなイメージです。特に気まぐれな様子もなかったし、猫ってこんな動物なんだ、とそこでわかった気はします。

なるほど……。最初のチビちゃんとの出会いが、猫に対する固定観念が崩れるきっかけにもなったんですね。

毎日、近所の猫パトロールをしています

実際に猫を飼っていた方から見て、飼い猫と野良猫は違いますか。

違いますね。野良猫はとにかく警戒心が強い。ただ実際、野良猫ってすごく少ないんですよ。

え、そうなんですか。北澤さんのSNSを見ていていつも、「野良猫ってこんなにたくさんいるんだな」と驚いたんですが。

正確には、だいたいが「地域猫」なんです。

地域猫。

その地域の人たちが、一体となって世話をしている猫です。僕は今、渋谷区に住んでいるのですが、渋谷区って地域猫に対して助成金が出るんです。代表者が申請すると、助成金が出て、去勢費用や月々の餌代などが支給される。

そんな制度があるんですね。

野良猫問題って、実はけっこう根深くて。「野良猫を保護してあげよう」派と、「嫌だから駆除しよう」派の対立があるんです。駆除派の中には、餌に毒を混ぜたりする人もいます。

それはもう犯罪じゃないですか。

ただ、誰があげたか特定できないから難しいんですよね。でも、そういう人たちはそもそも野良猫が嫌いだから、「かわいい猫を傷つけないでください」と言っても伝わらない。だから、地域猫として保護する側は、「みなさんに迷惑はかけないので、世話をさせてください」という姿勢が大切だといわれているんです。

たしかに、殺そうとするのは論外ですが、嫌いな人たちに「猫はかわいいのに」と言っても、共感してもらえないですもんね。

そうですね。そこで僕は、近所の地域猫のパトロールを任されているんです。

パトロールですか。

近所のおばさんに代表の方がいるんですけど、その人に「あなたは近所の猫のパトロールをやってください」って頼まれて。あそこの猫が見当たらないな、みたいなチェックをしています。

▲スマホにはパトロール時の猫の写真が大量におさめられている

芸人のかたわら、近所の猫のパトロールもしているんですね。毎日のようにSNSにたくさんの猫の写真がアップされて、どうやって時間を作っているんだろう、と疑問だったのですが、謎が解けました。

たとえばライブの日、「会場に17時入りしてください」と言われたら、遅くともその2時間前には家を出て巡回するんです。もう、パトロールが習慣というか、癖になっちゃって。会場の近くに猫いねえかな、ってあたりを見回しながらウロウロしています。

(不審だ……)

猫は、共通の言語をもたないからこそ愛せる

私は実家で犬を飼っているのですが、動物と人間って言葉が通じないし、どうしても「絶対にわかりあえない壁」がありますよね。人間同士だってわかり合うことは難しいのに、対動物となると、完全に「独り相撲」感があるというか。北澤さんは、猫と生活をしていて虚しくなる瞬間はありませんか。

うーん……、ないですね。僕はよく「猫語がわかると、よくないですか?」と言われることがあるんですけど、全くそこに共感しないんですよね。というか、猫が考えていることをわかりたくない。

ええ、そうなんですか。

わからないから、無償の愛を注げると思っていて。もし猫に「嫌いだ」と言われたら、ショックで立ち直れないかもしれない。たとえば、人間同士は会話ができるからこそ、離れてしまうことがあるわけじゃないですか。

価値観の不一致などが、言語によって明らかになりますね。

猫には、それがない。だから、むしろわからないほうがいいのかな、って思っています。言葉がわかったら、ぶつかるような気がする。ご飯をあげているときに「なんだこの餌」とか言われたら……。ただ、病気のときは、どこが辛いのか知りたいですけどね。わからないから、サインを逃さないようにじっと観察するしかない。

わからないからこそ愛し続けていられる、ですか。難しいですが、わかるような気もする……。

爆笑問題の田中さんも無類の猫好きで有名ですけど、「人間と猫が戦争するとしたら、猫側につく」と言っていて、僕それがめっちゃわかるんですよ。僕も猫側につく。

それは、どういう気持ちなんでしょう。

猫に対して憎しみのような感情が一切ないから。猫から理不尽なことをされたことがない。

たとえば、いきなり引っかいたり噛んだりしてきたらどうですか。

それは、なんかあったんだろうな、って思います。きっと自分が何かやっちゃったんだな、って。別に理不尽とは思わないです。人間にいきなり殴られたら、「まずなんか言ってくれよ」って思うじゃないですか。

たしかに、共通の言語があるからこそ、それを使わずに暴力を行使してくるのは理不尽だ、と感じてしまいますね。でも、人間にいきなり殴られる状況は怖い……。

野良猫と仲良くなるためには、しゃがんで、動かない

普段、野良猫とはどのように距離を縮めているんですか。SNSにあげている写真って、どれもかなり寄っていますよね。私が道端で猫を見つけても、あそこまで近づく前に逃げられてしまいます。

僕は、猫を見つけたら、だいたいその場で止まって、じっと見ます。動かずに、目線はなるべく下げるためにしゃがんで、手を出す。そこで近寄って来る子もいるし、逃げる子もいます。

あ、自分から近づくんじゃないんですね。

よく猫見つけると、話しかけながら触ろうとする人いるじゃないですか。あれ、猫は逃げちゃうんですよ。たぶん、しゃべると「人間だ」って感じがしちゃうから。

しゃべることで、一気に人間と猫との差が開いちゃうんですね。だいたいすぐ触らせてもらえるものですか。

いや、警戒心が強い子は本当に難しくて。たとえば、この子に触るのは、1年かかりました。

1年も……?

近所の猫なんですけど、ほぼ毎日、見つけたら、そこでじっと動かずに手を出しては逃げられて、の繰り返し。顔と匂いを覚えてもらうしかないんですよ。この人は敵じゃないって。

根気強すぎる。

でも、それを1年間続けていたら、あるとき僕に近寄ってきて、そのまま通り過ぎて、お尻を向けて止まったんですよ。猫って、警戒していない人にしかお尻を向けないんです。逆に、警戒している人には正面でしか向き合わない。そこで心を許してもらえたんだなって。

1年越しの想いが実ったんですね。

▲ちなみに、インタビュー中に突然お尻を向けられた。これは心を許してくれている証……?

大事なお尻を差し出してくれるまで、焦らず待つしかないんですね。

そうそう、ばーって近づいちゃダメ。見つけたら、その場でしゃがんで、じっと見る。

猫社会では安心なヒトかもしれないですけど、人間社会でいったらだいぶ危ない人ですね。

僕、相当不審者だと思いますよ。街なかを歩いているときって、基本は前を向いて歩いているじゃないですか。でも僕は、常に猫がいるかどうか探しながら歩いているから、空き巣が物色してるみたいにキョロキョロしてる。

通報されないことだけ祈っています。

触るときは優しく、顔の横か尻尾の付け根部分を

猫カフェの猫はどうですか。

もう、全然違いますよね、毛がふわふわで。普段撮っている猫たちはもっと毛がバサバサしてるので(笑)。

北澤さんに触られている猫、みんないい表情している……。さっき、私は猫に声をあげて逃げられたばかりです。

猫も触ると気持ちいい場所があって、尻尾の付け根とか、あとはこの顔の横のところ。

エラみたいなところですかね。なるほど、たしかに気持ちよさそう!

▲北澤さんの教えを守ったら、気持ちの良さそうな顔で撮れました

逆にお腹はあんまり触らないほうがいいです。慣れていない人が触ると、引っかかれてしまうこともあるので。触るときは、そっとなでるように優しく。

普段、地べたで寝ている猫の写真って、どういう姿勢で撮っているんですか。

こう。

(不審だ……!)

北澤さんって、いわゆる猫好きな人たちとは、ちょっと印象が違いますね。もっと積極的に愛情表現をする方が多いイメージなのですが、北澤さんはすごくフラットで、猫を前にすると一言も話さないし、完全に空気に同化しているというか……。北澤さんって、猫と一緒にいるとき、自分のこと人間だと思っていますか。

どうだろう……。考えたことなかったけど、正直あんまり意識してないかもしれないですね。

猫は匂いに敏感なので、整髪料や香水がダメなんですよ。僕はたまたま整髪料をつけないからいいんだけど、たまに猫を飼ってても、平気でお香をたいちゃう人もいるので、気をつけたほうがいいですね。

なるほど。知らないと、無意識的に嫌な思いをさせてしまっているかもしれないですね。今日は楽しいお話をありがとうございました。ところで、初の猫カフェはどうでしたか。

いや、これは……もう。良いですね、すごく良いです。でも、たぶん普段触ってる野良猫たちに、違う猫の匂いさせてるな、って気づかれちゃうな。

そんなに敏感なんですね。今日のパトロールも、無事に終わることを祈っています。


「どうして北澤さんは、こんなに野良猫と親密な様子の写真を撮れるのだろう?」という問いから始まった今回のインタビュー。そこには決して小手先のテクニックではない、北澤さんの猫に対する深い愛情と忍耐強さがありました。

猫好きだけどなかなか距離がつめられない方は、まずはいきなり近づかずに止まって待つ、触るときはそっとなでるようにする、香水や整髪料は控えてみる……そんな猫ファーストなコミュニケーションを心がけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

(写真:写真家・松田大輔  編集:ノオト
撮影協力:Nyafe Melange(ニャフェ・メランジェ)
東京都渋谷区恵比寿1-7-13 麻仁ビル恵比寿3F
Tel:03-5449-4024
URL:http://www.nyafe-melange.com/

園田 菜々

ライター:園田 菜々

1991年7月7日生まれ。ライター。

Banner mineo site 320x50

Banner support site 320x50


コメント 24

猫はとっても可愛いニャン!

猫好きの方は必読?の内容かもしれませんが、イマイチ ピンときません。
申し訳ないですが...σ(^_^;)

猫を可愛がるコツが分かりました。😊

本当の猫好きの人には、読む必要がない(既にわかっている事)記事ですね。個人的にはとても良い記事だと思います。


猫が好きだけど、猫から嫌われている友人がいて、そんな事してりゃ嫌がられるよ、という事を乱発しているのですよね。多分、それは犬に対してなら、喜ばれると思うって感じ。w

犬もやってください! 犬のがかわいいもーん🐸

北澤さんは典型的な猫に好かれるタイプの人ですね
さすが分かってらっしゃる

おっと!こんな所でロビンソンズの人を見るとは思わなかったですよ (・∀・)
(ゴツい見た目ですが、ネタでは女装してることが多いです♪)

私も、ネコ好きなので参考にさせてもらいます!

で、次は犬好きな人が出るのかなー?

IMG_20171124_195557.jpg

保護猫のミルクです。

自分にも似たような経験があって、結婚相手が飼っていた猫と共に暮らし始めたのですが、「この人は敵じゃない」と分かってくれるまで半年近くかかりました。向こうから近寄るまで、じっと我慢して待っていましたから。初めて掌に乗せたおやつを食べてくれた時は、本当に感無量でした。今でも不思議に思う時がありますが、言葉がないからこそもっと相手をよく知りたいと思う気持ち、すごい共感を覚えました。ただ、具合が悪い時だけは全力でこっちに訴えて来てほしいと、いつも猫にお願いしています。

いい子だね〜 ☺️

「地域猫」のことを知ることができて、それだけでも有益だったと思います。

←このアイコンの我が家のペット
この犬も野良でした。

もう少しでお花畑に行くところを、貰ってきました(^_^;)

猫以外にも野良がいることもお忘れなく・・・。

猫と仲良しになるには、チューレかな。

地域猫みかけないですね。探せばみつかるかもだけど不審者で通報されそうだし癒やされたければ猫カフェが良いですね。

ฅ^•ω•^ฅニャー

これじゃ!
こういう明日試してみたくなるような勉強になる記事が読みたかったのじゃ・・・

地域猫を可愛がる?
それって無責任な餌やり行為だよ。

話を聞いてるだけで、癒やされました😄。
ほんわか気持ちがあったかくなりました。

確かに、猫にあげたご飯にケチつけられたら、凹みますね。
ましてや、家族に言われると、怒りさえこみあげてくる。

言葉は大切ですね

呆れたねえ!
「無償の愛」とやらを注いでくれるのはペットの方からと決まったものだ。

人さまの方からの態度に、気持ち悪い言い方をするんじゃない!

北澤さんの優しさが感じられる、とても心温まる特集でした。地域猫の活動などまだまだ理解されない事も多いので、それも含めて好感が持てました。

私自身は動物全般苦手な方なのですが、
この記事は面白いなと思いました。(^^

犬 派です… <(_ _)>

北澤さんのことは知らなかったのですがTwitterフォローしましたにゃ♪

かわいいですがな!

コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。