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仮想仏壇アプリ、デジタル墓参り、お位牌Maker……葬儀・供養サービスのデジタル化について調査してきた

村中貴士

ライター:村中貴士

大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。

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葬儀や仏壇、お墓参りと聞くと、ITとはほど遠いイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、それらに関わる「エンディング産業」では、IT化が進んでいるのをご存じでしょうか。

8月22日~24日の3日間、東京ビッグサイトにて開催された「第4回 エンディング産業展」は、葬儀・埋葬・供養に関連する設備やサービスを展示するイベント。さまざまな展示の中から、スマホアプリやWebサービス、ITガジェットをピックアップしてご紹介します。

お墓までの案内や家系図の作成もスマホアプリで解決!?

バーチャル自由壇(ナナプラス)

滋賀県彦根市で作られる伝統的な「彦根仏壇」。その新スタイルである「自由壇(フリーだん)」を仮想的に体験できるアプリです。ろうそくや線香に火をつけたり、おりんを鳴らしたり、写真や戒名をカスタマイズしたりと、まさにバーチャルな仏壇体験ができます。

アプリ開発の理由を担当者に聞いたところ、「日本の住宅事情や現代のインテリアに合わせて、従来の形にとらわれない自由な拝み方を提案する意味が込められています。ただ、実物を見ていただく機会は少ないので、仮想的に触れられるツールとして、リアルな仏壇体験ができるよう工夫しました」とのこと。

アプリは、実際の仏壇を販売するための購入促進ツールですが、誰でも無料でダウンロードできます。

お墓マイル(冲セキ)

迷いがちなお墓の場所へ、タップ1回で目の前まで案内してくれるアプリ。お墓の位置を簡単に記録することができるほか、故人のプロフィール登録や、お墓の情報を共有したい利用者(親戚、知人)を招待してアカウントを作成し、お墓参りの日程を共有できる機能も。

アプリの開発元である冲セキは、国産・外国産などあらゆる墓石を取り扱う総合墓石メーカー。このアプリは霊園や寺院に向けた付加価値サービスの一環として、開発されたそう。

冲セキの大政奈々さんによると、「お墓参りって、たいてい年に1回ですよね。1年ぶりだと、場所を間違えたり迷ってしまったりする方が多いんです。また、納骨やクリーニングを依頼するときも、場所を伝えづらい。従来だと地図を印刷して手書きで示すことが多いのですが、その作業を簡略化するため、誰でも使いやすいアプリの形にしました」とのこと。

▲アプリ上ではお墓の場所を地図で示してくれる

家系図作成アプリ「My Root2」(ハッピーメモリーズ)

先祖をたどり、名前を入力することで家系図が作成できるアプリ。今までは再現できなかった、複雑な家系図の表記も実現可能になったそうです。

開発したのは、家系調査の代行企業「ハッピーメモリーズ」。開発の際は、家系図の専門家に相談しながら制作したとのこと。

アプリについて「自分のルーツがどこにあるのか、多くの方が興味を持ちますよね。でも実際には知らないことが多い。調べた家系図をアプリに入れておけば気軽に持ち運びができ、命日など先祖の情報もすぐに確認することができます」と担当者。

また、「最近ではお墓を片づけて更地にし、お寺や墓地の管理者に敷地を返す『墓じまい』をする人も増えています」とも。墓をなくす人が増えるなか、せめて家系図だけでも子孫に残しておきたい、という想いが強くなっているのかもしれません。

▲アプリで作成できる家系図。写真やプロフィールの追加もできる

位牌の注文や故人への追慕もWebサービスで可能に

お位牌Maker(RKDコーポレーション)

戒名・法名、没年月日、故人の年齢などを入力することで、位牌のイメージを作成。そのままネットで注文できるサービスです。

担当者いわく、「いままでは紙の注文書に手書きで記入し、FAXなどを使っていました。このシステムを使えば、文字や形のイメージを見ながら、ネットで注文できます。これまでより手軽に位牌が注文できるのではないでしょうか」とのこと。

位牌の値段は7,500~25,000円程度で、送料は無料です。

▲位牌の完成例

デジタル過去帳(アイシーザライト)

インターネット上にご先祖の歴史、故人のプロフィールなどを残しておけるサービス。動画や音声だけでなく、墓地までの地図やお参りの報告なども記録することができます。お墓や納骨堂の前にプレートを貼り、QRコードで読み取ることで、その場で閲覧することも可能。

運営元であるアイシーザライトの宮崎清隆さんは、「最近はご自宅で遺影を飾ることが少なくなっていますよね。おじいちゃんやおばあちゃんがどんな仕事をしていたか、お孫さんはほとんど知らないケースも増えています。このデジタル過去帳を使えば、簡単に故人をしのぶことができます」と説明してくれました。

このサービスは、すでに埼玉県や静岡県の霊園、墓苑などで活用されているそうです。

▲デジタル過去帳の説明動画

「デジタルお墓」「近未来型の納骨ボックス」 メモリアルを支えるアイテムも登場

デジタル参拝(エスアイマネジメント)

本物の墓石にデジタルサイネージを組み合わせた「デジタル@墓」。現在の納骨堂では、自動搬送でお骨を目の前に持ってきて、お参りする形式がよく使われますが、デジタル@墓をはじめとした「デジタル参拝」では、施設内にディスプレイを置き、お骨を動かすことなく、間接的にお参りするシステムを採用しています。

画面に表示するコンテンツは、墓標や戒名はもちろん、動画、音声などもあわせて自由に制作することが可能。

また、タブレットやスマートフォンに戒名や家紋、遺影写真、動画などを表示させる「ミニデジタル@墓」は、仏壇を置くスペースがなくても、家庭で気軽に使用できそうです。価格はタブレット端末込みで5万円前後を予定しているとのこと。

▲ミニデジタル@墓

「『パソコンの画面でもいいからお参りしたい』というニーズは意外と多いんですよ。海外勤務で物理的にお参りできない、もしくは足腰が自由に動かない高齢者やお子様連れで遠出が難しい方もいらっしゃるでしょう。『ミニデジタル@墓』であれば、離れた場所からでもお参りができます」と、エスアイマネジメントの代表取締役・藤村基寛さん。お参りについていろんな考え方はありますが、このようなニーズに答えたいと開発したそうです。

スマートメモリアルボックス(濱田商事+FUSION TECH)

故人の写真、動画などを再生できる未来型の納骨システム。納骨ボックスの前面がタブレット+タッチスクリーンになっており、透過式なので中身も見えます。

展示されていたのは、お寺向け仕様の「業務用」と、家庭に置く「個人宅用」の2種類。お骨だけでなく指輪や時計などの遺品、故人が好きだったものを入れ、仏壇の代わりとして使うことを想定しています。

濱田商事の代表・張源溶さんは、「お子さんのいない老夫婦の場合、おじいちゃんが先に亡くなってしまったら、残されたおばあちゃんは辛いですよね。こういったIT機器を使って、少しでもショックを和らげていただければ、と思い開発しました。将来的には、ボックスに近づいたら『おはよう』と話すなど、故人との簡単な会話ができるAIシステムも搭載する予定」と説明。

▲スマートメモリアルボックス(個人宅用)のイメージ

▲メモリアルボックスの説明動画

最近は、家族や一部の親族だけで済ませる「家族葬」や、通夜や告別式を行わない「直葬」など、葬儀の簡略化が進んでいます。また、墓じまいや散骨を選ぶなど、お墓を持たない人も増えているそう。

社会情勢の変化とデジタル機器の進化によって、弔いの形もどんどん変わっていくのかもしれない……。そんなことを感じさせる展示会でした。

(編集:ノオト

村中貴士

ライター:村中貴士

大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。

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コメント 20

バーチャル自由壇が「彦根仏壇」とありましたので、地元民(...といっても10年ちょっとですが)としては食いついてしまいました(^^ゞ

このサイト元であるナナプラスは「彦根仏壇」の伝統を守っている井上仏壇さんで商品を手にとって拝見できるみたいですね。
https://www.nanaplus.jp/shop/inouebutsudan/

データも、早晩消えていくんだがな😔

マイネ王の地下ダンジョンをヴァーチャル墓地に改装してユーザーを一族丸ごと囲い込むのじゃ!

テレビでは少し見たことがありましたが、記事で見たのは初めてです。
どうもありがとうございます。(^^

今までの形が時代に合わなくなってきているのでしょうねぇ。

「エンディング産業」のことがよく分かる記事でした。
私自身が故人として想うなら、葬儀の簡略化をして欲しいと家族にはお願いしたいですが(今日にでも伝えておこう)、クラウドサービスで“どこぞの会社”にデータ保管されてしまうのは 正直ちょっと嫌だなと感じてしまいました(^^;

でも気持ちさえあれば「定期的なお墓参りは必要なし」と思っていますので、エンディング産業が発展して ご遺族が精神的、また金銭的にも負担にならない形になっていくと良いですね。

面白い商品です。
参考になります。
紹介ありがとう。

終末についての記事を気にするべき
年齢になってきました。
両親はともかく、私のときはこれも
選択肢のひとつかも。
子供や親類に揉め事や手間とか、
そういうのはかけたくないので。
こういうものもあると覚えておきま
す。ありがとうございます。

墓参りも面倒じゃ・・・
墓のほうから玄関先に自動で来るようにならんか?

それと、AIで故人に永遠の命を吹き込むのはどうじゃ?
もう遺言状で一族が揉めることもないじゃろ・・・

あると知ってましたが、かなり出来が良いんですね。😮
実在のお墓とうまく組み合わせたら、忙しい方も参拝出来て良いと思いました。😊

バーチャル当人が帰ってくる時代なら、墓も仏壇も不要だろうしw、もちろん仏事など全省略だろうなあ😰

ナイス記事。ウケタし、これからいろんな物事がデジタル化されることになるのでめちゃ参考になる!
家系図作成アプリと、お墓マイルはいいなぁ。

消えるデータ化が良いですね。

墓を守るとか、現代では難しいので、ある一定で消えるデータでよいのかもしれませんね。

墓を守る人も田舎では、いなくなり。耕作放棄地みたいな墓もありますから・・・。

Baas(Butsudan as a service)!
仏壇がランサムウェアに感染するとか、
ウィルススキャンでお清めとか、
興味ある話題です。
仏壇のバックアップも忘れずに!

コメント失礼します。

「お墓参り代行」は聞いたことがありましたが、もうここまできているんですね。
こういうの「エンディング産業」って言うんだ...知らなかった。

Kanon好きさんもおっしゃっていますが...
今まで当たり前におこなわれてきたことが時代にあわなくなってきた、
ということだのでしょうか?

もう亡くなってしまった我が祖父母は遠いお空できっと...ビックリしているんだろうなぁ?..?

「エンディング」なんてホザキ出している時点で、もうすでに胡散臭いのだよ😒

記事内容、「エンディング残業」に見えてしまった^^;

自分が死んだときを考えるとアナログな世界がいいな。

いつもお墓参りに行く度に、そのうちスマホ画面でバーチャルお墓参りが出来るのでは…と思っていました。
家のお墓も将来継ぐものが居なくなるので、墓仕舞いをする事になるなら、バーチャルも有りかもしれません。
味気ないとか、供養はそう言うものでは無いと言うご意見もあるでしょうが、少子高齢化が一層加速するのは明らかなので、身近な問題ですね。

そんな事より僕と契約して魔法少女になってよ

これ見に行ってたんですよね。

「半分冗談」「受け狙い」「話題作り」という感じで出展している会社がある一方で、かなり切実な話を受けて開発したという会社もあったりで興味深かったです。


(余談)
幕張メッセ、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜などのサイトを見るとイベントの予定が掲載されていまして、事前登録さえすれば入場無料というイベントも多いです。(例えば今開催中のCEATECとか)
お近くにお住まいの方は、一度足を運んでみると面白いことがあるかもしれません。

マイネ王 運営事務局

皆さん

たくさんコメントいただきありがとうございます。

色んなものがデジタル化されてきていますね。
実際に利用した事がある方いらっしゃいますか?

ネットでの位牌の注文や、アプリで作成できる家系図はかなり需要がありそうです。
コメントでもいただいていましたが、実際のお墓と上手く組み合わせる事ができれば、すごく便利だと思いました!

これからどんどん色んなものがデジタル化されて行くのでしょうね。

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