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10年後も、ハンコは無くならない。押す、消す、動かす...シヤチハタが考える『しるすこと』の可能性

小田切萌

ライター:小田切萌

長野県出身、大阪在住のライター。

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皆さんはじめまして。ライターの小田切萌と申します。

はじめまして、小田切です。長野県出身、大阪在住です。

突然ですが皆さん!ハンコ、使ってますか〜?

私はライター業と平行して経理・総務のアルバイトもしているんですが、ハンコやスタンプにめちゃくちゃお世話になっています。めんどくさい宛名書きも、会社のスタンプを使っちゃえば2秒で終わりますからね。ありがたや〜。

ところで、半年ほど前に吹き荒れた「ハンコ不要論」。覚えています?
新型コロナウイルスの拡大により、緊急事態宣言が発令され在宅勤務が主流に。にも関わらず、「押印のために命がけで出社する」という事態が巻き起こったことから「ハンコ出社」という言葉が生まれたり、「ハンコを押すために出社した」っていう広告がバズったり。

ペーパーレス化も着々と進んでいることですし、このままハンコって無くなってしまうのかな…。と思っているところに目に飛びこんできたのがこちら。

何これ〜〜〜!!!朱肉に色が混ざっている!?

こちらは、ポンポン押せるハンコで有名なシヤチハタ株式会社が販売した朱肉「わたしのいろ」。押す場所によって彩りの異なる印影が残せるという朱肉なんです。
思わず、何回もハンコを押したくなってしまう…!


「わたしのいろ」をリリースしたのは、ハンコ不要論が高まっている最中。シヤチハタ株式会社がここでリリースに踏み切った背景に、きっと今の状況へのメッセージがあるのでは……。

そこで、シヤチハタ株式会社の広報さんにオンラインでインタビューを行いました!

本当に「ハンコ」が出社を強要した!?

(本社外観)

◎シヤチハタ株式会社
1925年創業の文具事務用品メーカー。なつ印具、筆記具など、オフィスや家庭で役立つ商品を開発している印象関連の代表的な会社。本社は愛知県名古屋市。最近、朱肉をつける場所によって彩りの異なる印影が残せる朱肉「わたしのいろ」を発売して話題になった。実は、電子印鑑サービスのパイオニアでもあり、1995年からサービスを開始しているそう。
https://www.shachihata.co.jp/index.php

小田切
今日はありがとうございます!宜しくお願いします〜!大阪はめちゃくちゃ暑いですが、名古屋はどうですか?
向井さん
いやあ、名古屋も暑いですよ!今回はご連絡ありがとうございます。宜しくお願いします。

シヤチハタ株式会社の広報・向井さん、名古屋から宜しくおねがいします!

小田切
私ね、シヤチハタさんにお礼を言いたいことがありまして。
向井さん
何でしょうか?
小田切
実は私、ライター以外にも、経理や総務の仕事をやっているんですが、致命的なことがありまして。字が汚いんです。

これは本気で書いています。

向井さん
どれどれ……。おお、躍動感があっていいんじゃないですか?
小田切
うう……。向井さん優しい……。でも「字が汚くて読めない」なんて怒られてしまうこともありまして。手書きをせずにシヤチハタさんのスタンプを押すようにしたら、怒られなくなったんです!だから、とても感謝していて。

チェックした請求書はXスタンパーを使って、抜け漏れがないよう工夫しています。

向井さん
当社のスタンプを使っていただけているのは嬉しいです。
小田切
いつも、ありがとうございます!
向井さん
いえいえ、当社のスタンプがお仕事や生活に役立って、気分良く過していただけたらなによりです。
小田切
ところで、新型コロウイルスの影響で、売上に大きな影響はありましたか?
向井さん
正直ありました。でも、他企業の企業様と同じで一定の期間営業活動ができなくて打撃を受けたのと同程度だと思います。印章業界全体が一概に当社と同じかはわかりませんが。
小田切
ハンコ出社という言葉が出回ったことと売上は関係なかったんですね。ただ、「ハンコってそもそもこんなに要らないもの扱いされるものだっけ?」ってくらい、新型コロウイルスの影響で「ハンコ不要論」「ハンコ出社」など、マイナスの話題が続きましたよね……。どのように感じましたか?
向井さん
いやあ、4月〜5月はたくさんご取材をしていただきました。ハンコについて聞かれることが多かったです。

向井さんは社歴27年のベテラン社員さん。

向井さん
実際ここで問題なのはハンコではなく、出社を強要しなければならなかったシステムではないかと思います。多くの企業様が今回のハンコ逆風の中でテレワークを強いられたお客様がハンコ出社しないで済むよう、さまざまなサービスを提供されていたかと思います。
小田切
ハンコ出社しないですむサービス……?ちなみに、シヤチハタさんはどんなことをされていたんですか?
向井さん
当社では、場所を選ばずに決裁ができる電子印鑑サービス「パソコン決裁Cloud」がございます。このサービスをを2020年3月4日から6月30日まで無料開放しました。パソコン決裁は25年前から発売しています。

なかなか目がでなかった電子決裁システム。複雑な社印も電子化が可能だそう。

小田切
電子印鑑システムって、そんな前からあったんですか!?
向井さん
はい。当時はパソコンにインストールして社内で使うもので、なかなか導入は進みませんでした。その後クラウドタイプのパソコン決裁になり、毎月2000件ほどの登録者数でしたが、新型コロナウイルスで注目をいただき、今年6月末には約27万件まで増えましたよ。
小田切
すごい!めちゃくちゃ増えている!!
向井さん
苦節25年、状況が状況ですので複雑ではありますが、ようやく認められました。

発展のキーワードは「危機感」

小田切
もしかして、「ハンコがいらなくなる未来」って当時から予測されていたのでしょうか?
向井さん
そうですね。私達の発展のキーワードは「危機感」なんですよ。
小田切
危機感……?
向井さん
1925年に私達は「万年スタンプ台」を開発して創業しました。当時は使うたびに瓶に入れたインキをスタンプ台にしみ込ませるのが当たり前で、 インキを補充せずに連続して使える万年スタンプ台は画期的な商品だったんです。

(万年スタンプ台初)大正時代に生まれた万年スタンプ台。大正モダンなデザインがカワイイ!

小田切
ふむふむ。
向井さん
その後、1960年代にスタンプ台すらいらなくなるのではないかという危機感を持ち、「Xスタンパー」というゴム印とスタンプ台がひとつになった浸透印を10年余りかけて開発しました。
小田切
10年以上も!!諦めずに開発してくださって感謝…。
向井さん
さらに、1995年にパソコンが普及して「ペーパーレス」がキーワードになったことから、また「危機感」を感じて電子印鑑システムをつくりました。また、事務用品としてだけではハンコが残る道はないのではないかと「危機感」から、生活に役立つ商品の開発に至っていますね。
小田切
「危機感」が積み重なり、どんどんバージョンアップされていっている……!
向井さん
ただし、電子印鑑システムは地道に地道に広げていき、年々バージョンアップし続けていたんですが……。こういう大きな時代の変化が起こらないと、無理やり導入しようとはなりませんよね。手放しでは喜べませんが、少しでもお役に立てたなら嬉しいですね。

さまざまな「しるす」価値の残し方

小田切
そして、「ハンコ逆風」が吹く中、美しい朱肉でハンコを押すという体験が楽しくなるような「わたしのいろ」の販売にはグっときました。
向井さん
この作品は、弊社のデザインコンペのグランプリ受賞作品なんです。もともとこの時期にリリースする予定でした。発売するタイミングもありましたが、「しるすこと」の価値を知ってもらいたくて、販売に踏み切ることにしました。

カラーは日本らしさをテーマに設定した、にしきごい、うみ、みかん、もり、つばきの5種類

小田切
いやあ、こんなに美しい朱肉ががあるのだなと感動しました。
向井さん
朱肉の盤面は明るいほど陰影が薄くなるし、暗くするほど濃くなるので、このように綺麗なムラを出すのは非常に難しいんです。一部は手作業で作っているので、大量生産もできなくて。
小田切
再販をしたときは開始15分で売り切れていましたよね。SNSでも話題になっていて、私も欲しいと思ったときにはすでに完売でした……。
向井さん
嬉しいですね。この朱肉を使ってアートを楽しんでいる方も多くいらっしゃり、ハンコの使い方が色々あることを知ってもらえるいい機会になりました。
小田切
ちなみに、スタンプムービーも面白かったです(笑)。動かすことでのハンコの可能性を感じました。

スタンプがだんだんと人に見えてくる不思議なムービー

向井さん
これは2015年から行っている取り組みでして、当社の「Xスタンパー」の印影を使って、ほっこりするものを作りたくて、印影を人物にたとえて日常を描いたWEBスタンプムービーにチャレンジしました。なんやかんやでもう第4弾ですね。
小田切
いやあ、会話に出てくる情景をスタンプだけでこんなに表現できるとは…。
向井さん
あれは、現場の人たちが何時間もかけて200個以上のスタンプをすべて押しているんです。ストーリーによっては、100時間以上かかったものもあります。ちなみに「ふぉれすと」は人気漫才師に演じていただいているんです。ぜひ見てみてくださいね。
小田切
そして印影を「動かす」に続けて、「消す」ことで価値を出した商品もありましたよね。
向井さん
「手洗い練習スタンプ おててポン」ですね。

手に押して、スタンプした印影がキレイに消えたら手洗い完了!

小田切
そうです!手洗いができているかどうか、見てすぐに分かる上に子どもたちも楽しく手洗いができて、いい商品だなあと思いました。
向井さん
「手洗い練習スタンプ おててポン」は2016年11月に販売した商品なのですが、このような状況の中で再注目していただきました。
小田切
やはり!これはお母さんと子どもの良いコミュニケーションになりますね。
向井さん
これは名古屋芸術大学との産学連携の活動の一環で、学生さんのアイデアをもとにしました。しるしを残す会社なのに、しるしを消すことで価値を出すことが面白いと採用させていただき、4年間の開発期間を経て販売しました。
小田切
アイデア商品ですね〜!しるすだけでなく、動かしたり消したりすることで新しい価値を発揮するんですね。捉え方次第で色んな商品が生まれますね。

さて、ハンコの未来はどうなるの?

小田切
ここまで、向井さんにお話を聞いていて、常にお客さんの行く先を考えて商品開発をしていく姿勢に感動しています……。正直なところ10年後、ハンコってどうなっていると思いますか?
向井さん
私は、ハンコは残っていると思います。
小田切
おお……!

果たして、ハンコは不要なのか。

向井さん
ハンコにはハンコのメリットがあります。使い方は簡単ですし、安価で手に入れることができます。アナログはアナログの良さがあるんじゃないでしょうか。ハンコが無い仕組みが良い会社もあれば、ハンコが必要な会社も両方あっていいんじゃないかと思います。
小田切
ただ、ペーパーレスが進めばどんどんハンコがいらない仕組みが増えていくのでは…?
向井さん
当社はこれからも「しるす」ことの価値を追求し続けると思います。そもそも、ハンコレスのほうが効率的という方や、ハンコを押したほうが早くて便利という方もいらっしゃいます。ハンコの有無を選ぶのはお客様です。お客様が必要なときに、必要な形で商品を提供していけたらと思います。システムが進化すれば、取り残されるお客様もいますからね。選択肢は広く残していきたいです。
小田切
確かに!そうですね。
向井さん
ですので、形式にとらわれずお客様が私たちのハンコやスタンプで、少しでも生活が便利で豊かになる商品を作っていきたいですね。また、「しるす」ことの新しい価値に、残すだけではなく、消したり動かしたり、いろんな形で挑戦していけたらと思います。
小田切
いやあ、しるしって面白いですね。

向井さん
私はこの会社に入って27年経つんですが、まだまだ可能性があると思います。毎年デザインコンペで新しい作品が生まれます。色んな方と一緒になって、これからも挑戦し続けられたらと思います。
小田切
シヤチハタさん、そして向井さんの商品や社会に対する姿勢を見習おうと思います。この度は貴重なお話をありがとうございました!!

なんでも「不要」と言っちゃいけない

今回、シヤチハタ株式会社にお話を伺って感じたのは、なんでもかんでも「不要論」「レス」を加熱しすぎてはいけないなということ。コロナ禍によって巻き起こった争論については、自社商品を否定しながら成長し続けるシヤチハタ株式会社からしたら、「今さら何言ってるの?」と言えるようなことばかりだったのではないでしょうか。だって、25年前の時点でハンコが無くなる未来を予測して電子印鑑システムをリリースしているんですから。

そもそも、メソポタミア文明が起源で中国から海を渡って日本に入ってきて、郵便や御朱印によって広まったハンコ。今でも、印鑑が身分証がわりになったり、「スタンプラリー」が人気だったりと、ハンコって私達の生活の身近な場所にずっとありますよね。

ちなみに、シヤチハタさんからは、色とりどりのスタンプ台や目盛り付きのハンコなど、まだまだ珍しいハンコがたくさんあります。


円グラフや時間割をすぐに作れる「円型メモリ印」

ハンコは、ケースバイケースで、私達の生活をより豊かにしてくれるアイテムとして、これからも寄り添ってくれるのではないかと思います。安易に槍玉にあげるのではなく、その前に努力している企業やこれまでの文化に目を向けられるといいですね。

それにしても、「しるす」文化って面白いですね。印鑑として自分として認識されるものだったり、合意の意思の現れだったり。

そんな文化を、もっと生活に寄り添える形でのこしたり、消したり、動かしたりしながら発展させていくシヤチハタさん。これから、どんな商品が生まれてくるか、楽しみです。皆さんの周りには、どんなハンコがありますか?それでは!


写真:納谷ロマン
イラスト:百瀬ガンジィ
企画・編集:人間編集部


小田切萌

ライター:小田切萌

長野県出身、大阪在住のライター。

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コメント 349

使う場面が減っても、はんこはなくならなさそうですね。はんこの会社の様々なアイディアを初めて知ったのでとても勉強になりました。

宝石で作られたハンコ可愛いよね

便利であるためのハンコを目標にしているシャチハタさんは次世代にとっても便利でなものを開発してくださってるのだと思いました!

大事な書類にハンコ押す時の緊張感がいいよね!!

大事だと思います。

承認自体は必ずしもハンコでなくてもよいですが、ハンコ自体はかなりの便利ツール💮

おててポンは使ったことがあります。石鹸の会社が作っているのかと思ったらシャチハタで、色々模索されてるんだなと感じました。

ハンコ待ちで仕事が進まない、、
などは困りますが
ハンコ自体のアナログな良さもあると思うので
本当に必要な場面と削れる場面とで
両立できるといいなと思います🤔

街のハンコ屋さんは大変だろうな。

確かにハンコは面倒やけど、ケジメとして面と向かって押すのがいいと思う

重要な書類ははんこはなくならなくてもいいかなあ。。

ハンコ以外にもいろいろ進化してきてますね。

今後ハンコ文化は減ってくと思うので企業様には厳しい状態になる思いますが書類のためだけではない、新しい付加価値を作ってもらいたいです。

ハンコ文化は無くなって欲しくないです。

ハンコの文化を消す必要はないよ。

「わたしのいろ」綺麗ですね♪使ってみたい。
見方を変えるとアナログの良さ、あるなぁ。

ハンコを押すってのは色々面倒くさいからな会社の書類とか

なんでもかんでも無くせば良いというものではないような気がします
自分はハンコのシステム結構好きです。

こんなでいろんな様式がかわりましたね。。。

はんこ文化は残して、業務のはんこは改善できればと思います。

判子好きだから個人的にはさみしいかな。

父がハンコ屋で、どうしてもなくなってほしくないです!

赤色の発色とか、公的なものだという刷り込みから大切に思えるけど、正直同じデザインがどこでも買えるものだしきけんだよなぁ

アイテムとしては好きですが、不便に感じることは多いかもしれません

電子ならサインでいいですね

使いたい人が使うぐらいにしたい

手続きや証明にハンコが使われることは少なくなってくると思いますが、別の用途で活躍する道もあると感じました。

ハンコいらないですよね〜

ハンコの良さもまだまだあります。
TPOで使い分けるのが良いと思います。

ハンコ…
割と好き。

ナンダカンダ、言ったって無くならない気がするー。
何となくどけど。

大抵の社会人ならハンコの煩わしさ、無意味さを感じていると思う。
100均で売られているハンコに何を期待するのか?
このライターさんには、ぜひ10年後にこの記事を読み返してもらいたい。

まぁ業種にもよる気がするなぁー
自分はそこまで必要性は感じてはいないけどなくなることはないし、なくなってほしくもないかなー

興味深い記事でした

外国の友人がハンコ好きです。ハンコでインバウンド、アリですよね。

紙がなくならないかぎりハンコも存続はするだろうけど尻すぼみになるのは必然ではないかな。

仕事ではんこが無くなればいいと思うことはあります。プライベートではあまりないです。

ハンコレスもしくは電子印の方向は必須ですね。
また、他の認証システムかも。
実印だけは残るのでしょう。

訂正印はなくならないだろうなあ。
今年の年内調整は訂正だらけでした。

生体認証のような、オンリーワンかつ常に持ち歩けるハンコができるといいですね。

業務上ハンコがなくなって欲しい場面は多々あります。

ありがとうございました

コロナかで在宅勤務ですが、精算書類があるとハンコをもらいに出社してます😅

仕事上は必要ないハンコもあるとは感じていますが、ハンコ文化は大切にしたいです。

生活が便利で豊かになる商品を期待しています。

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