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コロナ禍で注目度アップ パネルに触れずに操作できる非接触型空中ディスプレイ「ASKA3D」

ゆきどっぐ

ライター:ゆきどっぐ

フリーランスの編集者・ライター。新しいもの好き。外出自粛中の楽しみはゲーム。

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コロナ禍でさまざまな変化が生じ、企業では新しい生活様式に合わせた商品開発が進んでいます。

アスカネットは、空中に実像を出現させるプレート「ASKA3D」を開発。まるでSFに登場しそうな製品で、デジタルサイネージ(電子広告)として企業に採用されるなど、注目を浴びてきました。現在は、機器に触れずに操作できる「非接触型空中ディスプレイ」としての利用に関心が高まっています。

世界中の企業から問い合わせがあるというアスカネット。同社エアリアルイメージング事業部次長の東條弘幸さんと、同事業部営業チームマネージャーの山本和宏さんにASKA3Dから見る市場の変化や今後の展望について話を伺いました。

衛生管理やデジタルサイネージへの利用で56カ国から問い合わせ

▲話を伺った山本さん(写真右)、東條さん

——新型コロナウイルス感染症の影響で、ASKA3Dが注目されています。企業からはどのような問い合わせがありますか?

山本さん:
ASKA3Dの特徴は、ゴーグルや霧を使わなくても空中実像が見られること。そして、モーションセンサーを使用することで、パネルにタッチせずに操作が可能な点です。機器に触れずに操作できるため、衛生管理の観点から飲食店やエレベーター、企業の受付などで問い合わせが増えています。

——具体的にはどのような活用事例がありますか?

山本さん:
2020年7月には、「無添くら寿司 新世界通天閣店」でASKA3Dを使った非接触型受付機の実証実験に採用されました。同社は鮮魚を扱う飲食店のため、コロナ禍前から衛生管理への関心が高く、いち早くお声がけいただいたんです。

▲無添くら寿司での事例。画面にタッチせずに操作できる受付機(画像提供:くら寿司)

また、10月から販売される日本電通株式会社の非接触型無人受付機「オレセライトタッチレス」という商品にもASKA3Dを採用いただいています。

東條さん:
他の事例としては、アクアシティお台場の館内案内板やハウステンボスの「変なホテル」のチェックイン用受付機などに使われています。

▲ハウステンボス「変なホテル」の受付機。空中ディスプレイを操作することでチェックインができる(画像提供:©ハウステンボス/J-19609)

また、中高一貫教育を行う田園調布学園の探究学習にも導入されました。生徒たちの知的好奇心を高めることを目的に、ASKA3Dを使った空中ディスプレイのコンテンツ制作を1年間行っているようです。

▲ASKA3Dの活用例。空中に浮かび上がった映像と非接触での操作が特徴的

——海外からも問い合わせが多いと聞きましたが、いかがでしょうか?

山本さん:
当社は2017年から海外出展をしており、中国やアメリカ、ドイツを中心に、現在56カ国から問い合わせがきています。業種としては重工業が多く、中国では自動車関係や非接触型空中ディスプレイとして、アメリカでは大型のデジタルサイネージとして、ドイツでは自動車関係から問い合わせがきており、用途はさまざまです。

▲海外での導入事例。エレベーターの操作パネルとして利用されている

具体的な事例としては、アラブ首長国連邦(UAE)の自動車メーカー「Wモーターズ・ライカンハイパースポーツ」の実車や、中華人民共和国の自動車メーカー「奇瑞汽車(きずいきしゃ)」の北京モーターショー2018の展示でコンセプトカーやモデルカーとして利用されています。

▲アラブ首長国連邦(UAE)の自動車メーカー「Wモーターズ・ライカンハイパースポーツ」の実車(画像提供:アスカネット)

コロナ禍で感染予防の必然性に駆られた企業も多いように感じました。市場のニーズは今年2月頃を境に、従来のデジタルサイネージや自動車関係から、非接触型空中ディスプレイへとシフトしている印象です。

——BtoBの展開がほとんどですが、一般ユーザー向けの製品はありますか?

東條さん:
「おうち供養Omokage(おもかげ)」を2019年2月からインターネットで販売しています。ASKA3Dを埋め込んでおり、おりんを鳴らすと遺影が浮かぶ商品です。

居住空間の欧米化が進み、自宅に仏壇が置けない状況を見て、開発しました。普段は遺影写真を映し出さず、来客があってもインテリアとしてなじむように工夫しています。

▲スタイリッシュなデザインの「Omokage」。おりんの音で、中央に遺影が浮かぶ

制作のきっかけは技術開発者との出会い アイデアマンの会長がキーに

——ASKA3Dの制作のきっかけを教えてください。

山本さん:
もともと、ASKA3Dの技術は当社と関わりのなかった大坪誠が発案し、1997年に特許を取得していました。大坪は新幹線の車窓から「なぜガラス板があるのに外の景色は立体的に見えるのか、手前にある自分の顔を写さないのか」と疑問を感じ、着想を得たそうです。

そんな大坪の技術に当社の会長・福田幸雄(当時社長)が惚れこんで、彼を会社に引っ張り、開発を進めました。

当社はもともと遺影写真の加工やオリジナル写真集作りを行ってきました。そろそろ新しい映像技術の開発が必要だと考えていた頃に大坪と出会ったのです。

東條さん:
ASKA3Dは、ガラス製の製品として誕生しました。手作り製法のため量産化が大きな課題でしたが、それを可能にした樹脂製のプレートが2019年6月に完成したんです。

2020年6月には神奈川県に技術開発センターを新設し、ガラス製の効率的な量産技術・体制の確立を目標に、専門人員を導入して研究開発しています。

空中に映像を映し出す ASKA3Dの仕組み

▲ASKA3Dプレートで映像が空中に見える仕組み(画像提供:アスカネット)

——どうやって空中に実像を浮かび上がらせているんですか?

山本さん:
ASKA3Dに原版(液晶ディスプレイの画像や物体など)が放つ光線を通すことで、原版と同じ像を空中に形成させています。原版とASKA3Dの距離、ASKA3Dと空中結像の距離は原則1対1。現在では、、一度鏡に反射させることで、1対2まで距離を伸ばすことに成功しました。

——ASUKA3Dの構造はどうなっているんですか?

山本さん:
2つの鏡を垂直に貼り合わせた2層構造の板を用いて、数百ミクロン単位の規則的なパターン成型を行うことで、像を成しています。

メンテナンスは拭き掃除をするだけ。内面の構造に特徴があるので、外側に傷がついてもさほど影響はありません。

——ASKA3Dにはガラス製と樹脂製があるとのことですが、違いは何ですか?

山本さん:
ガラス製は最大で1m角のサイズまで製造が可能です。ただし、手作り製法なので量産が難しい。一方、樹脂製は最大20cm角とサイズは限定されますが、量産が可能です。

また、空中結像の明るさは基本的には原版の明るさに依存しますが、ガラス製か樹脂製かで多少差があります。

▲構造が理解できない筆者に、身振り手振りで必死に教えてくれる山本さん

一般消費者の生活に寄り添う製品へ 海外展開も重視

——改善していきたい課題は?

山本さん:
サイズの拡大化です。樹脂型は成型の技術的な上限があって、できるサイズが限られており、現在は20cm角が最大です。それ以上の大きさを希望する声が多いので、品質を保ったままサイズを大きくする必要があります。

一方、ガラス製は大型化を目指して開発してきたので、最大1m角で販売できます。こちらはコスト減が課題ですね。

基本的にASKA3Dの構造や原理は決まっているので、今後はどんな商品展開ができるかを模索する必要があります。

——新型コロナウイルス感染症の影響でASKA3Dが注目されています。今後の展望をお聞かせください。

山本さん:
非接触型空中ディスプレイは、衛生管理の観点から病院や医療メーカーでも導入できればと願っています。世の中の役に立つと言うと大げさかもしれませんが、ASKA3Dの導入で新型コロナウイルスなどへの接触感染リスクが下がったという結果が出せれば、うれしいですね。

おかげさまでさまざまな企業と開発が進み、今後は海外の代理店を増やす予定です。エレベーターやスーパーのレジなど、皆さんの日常生活でASKA3Dを目にする場面が増えるよう、努力していきたいです。

新しい技術が日常生活へやってくる

写真や動画では伝えきれないほど、ASKA3Dを使った空中ディスプレイは近未来的でワクワク・ドキドキする製品でした。

現在、開発に携わる人々のおかげで、新しい生活様式に合わせた新しい製品が急速に誕生しています。アフターコロナの世界では、漫画や映画で憧れた世界を実現するような製品が増えているのかもしれません。

(編集:ノオト


ゆきどっぐ

ライター:ゆきどっぐ

フリーランスの編集者・ライター。新しいもの好き。外出自粛中の楽しみはゲーム。

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コメント 240

凄いのはわかりますが、私の脳みそでは理解力が追いつきません(汗)

すごい技術ですね。すばらしい。

電子広告には興味が有ります。

とうとうこんな時代がきたのですね。

コロナ関係なくこれからの時代で広がっていく技術だし、日本企業がもっともっと盛り上げてくれると嬉しい

すごい技術ですね。人間は苦難を乗り越えるために知恵を絞り出し、素晴らしい技術を開発していく生き物ですね。

映画の世界みたいでスゴイ。
日本で生まれた技術ってのが嬉しいですね♪
VRやARみたいに、近い将来もっと身近に普及するんだろうなぁ。

触覚まであったら更にすごいと思いました。

ほほう! 参考になりました。
ありがとうございました。
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最近よく聞きますね〜
先日はじめて操作してみましたが、ちゃんと画面がスクロールして感動しました!!

めっちゃ気になる!

すごい!使ってみたいです!!

使ってみたい!くら寿司なら行けそうです。

画期的な技術ですが、もう少し早く出ていれば、3Dが流行った時に融合して、裸眼3D立体ディスプレイに発展したかも。
まぁいずれその方向に進むとは思いますので、研究開発、応援しています。

早く実用化されるといいですね。

こういうの流行ってくれるといいなあ

スゴい!早くコロナ無くなれ

退会済みメンバー
退会済みメンバー

すごい!

実用化するといいなー!!

面白そうですね!試してみたいです

純粋に使ってみたいです。

ディスプレーの多様性は大いに潜在性がある市場。

コロナ禍での生活って、明らかに不便だったりストレス貯まること多いけど、新たな技術が生まれたりしてるから、そういった側面は生活にプラスになるよね。
いや、コロナなかった方が明らかにいいんだけどさ

進化がすごい!

今、コロナウイルスの影響で上海からまだ日本に以前のように安全に帰国できない状況です。
非接触型ディスプレイやIT技術の進歩は言うに及ばず、上海では至るところでこれらのテクノロジーが活躍しています。
日本ではスゴイなあ。あと数年後に一部で導入が始まれば良いなあ。なんて言うような革新的技術が、病院や交通機関やレストランなどあちらこちらで、既に活躍しています。
先日も、外灘(バンド)で行われた夜間イベントでは、花火の替わりにレーザー光線といろんな色に変化するLEDライトの数千機のドローンを使ったパフォーマンスがあって、本当に圧倒されました。
特に環境に悪影響がある花火ではなくドローンと言う発想は素晴らしいと思いました。
多分日本のイベントでも導入される日も近いのではないでしょうか。
最近の技術進歩は日進月歩なので、ついて行けないスピードですが、もっと快適に暮らせる技術が増えて行くのが今からとても楽しみですね。

色々そうなって(非接触)欲しいけど

そうするためには
予算や労力等...かなり日もかかりそう⁉

非接触型空中ディスプレイ、公共期間や、工場導入等、色々と使うといいと思います。

全部では無くても、テクノロジーで感染を防げるって良いですね。

潔癖症だからコロナ関係なく 助かる

ほほう! 参考になりました。
ありがとうございました。
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掲載おめでとうございます!
これからも応援しています!

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