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iPhoneのアプリ「計測」はどこまで正確? やってみよう、スマホでDIY

松本ジュンイチロー

ライター:松本ジュンイチロー

フリーランスのウェブデザイナー、ライター、工作家。縄文時代が好き。粘土で作品を作ったり小物を作って売ったりしている。近頃は3Dプリンターを勉強中。落語もしゃべれる。

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みなさん、スマートフォンの計測アプリをご存じでしょうか。

計測アプリは、カメラを通してもののサイズを測ることができるARアプリです。

例えば、iPhoneではiOS 12より「計測」が標準アプリとしてインストールされています。知らないうちに搭載されているので、その存在自体に気づいていない方も多いのではないでしょうか。Androidでも同様のアプリが提供されています。

iPhoneの計測アプリを使ってみる

▲左上にあるアイコンが「計測」アプリです

筆者が所持するiPhoneの「計測」アプリを起動してみると、こんなメッセージが表示されます。

▲起動時に表示される「iPhoneを動かし続けてください」のメッセージ

指示通りにiPhoneを動かすと、物との距離や奥行きなどが認識されるよう。この動作が大事らしく、最初に認識されていない場所を測ろうとするとうまくいかないことも。

とりあえず手近なもの、スティックのりの全長を測ってみます。

▲測りたいものの始点と終点を指定することで、長さが測れます

まずはスティックのりの端に画面中央の点を合わせて「+」をタップ。すると、画面上のタップした場所に点が固定されます。

そのままカメラを動かして点をスティックのりの一方の端に持っていき、もう一度「+」をタップ。すると、点と点の間の長さがわかります。


▲スティックのりは8cmとのこと。

アプリ上では長さ8cmと出ましたが、定規で測ってみたところ、正確な長さは8.7cmでした。1cm単位でしか表示されないことを考えれば、精度はなかなかと言えそうです。

もう少し大きいものも測ってみましょう。今度はテレビです。

同じように空間の距離感を認識させて、幅と高さを測ってみます。一度測った場所の端の点には点が吸着するので、幅の後に高さを測りたいなら、2つ目の点と同じ位置からカメラを上か下かに向ければOK。3点あれば幅も高さも測れるのは地味に便利です。

幅74cm、高さ50cmと出ました。実際にメジャーで測ると、幅約78cm、高さ約54cmでしたので、今回はおよそ4cmの誤差。どうやら「大体の大きさが分かる」という感じですね。しかし、iPhoneを動かすだけで測れるので、メジャーを使うよりずっと手軽です。

では、これを使ってDIYはできるのでしょうか。

工作をするときは、定規やメジャーを使い、材料のサイズをきっちりと測って作っていくのが普通です。しかし、その定規やメジャーが使えない状況が来るかもしれません。

例えば、局所的な記憶喪失で定規やメジャーの存在を忘れてしまうとか……。

定規? メジャー?一体何のことでしょうか。わかりません。

計測アプリで折りたたみ椅子は作れるのか

さて、何を作るのがいいでしょうか。

改めまして筆者の松本です。よろしくお願いします。

ところでさっきから立ちっぱなしで少し疲れてきました。

こんな時にちょっと腰を下ろせる場所があればいいんですが、あいにくちょうどいい椅子が近くにありません。

▲かといって空気椅子は疲れますよね

椅子がないなら、作りましょう。ということで、今回作るのは椅子です。

ただの椅子ではなく、持ち運び可能な折りたたみ椅子を作ることにします。折りたたみ椅子を持ち運んでいれば、足が疲れた際に、どこでも座ることができて楽ですよね。

折りたたみ椅子といえば、思い出がひとつ。

埼玉県に育ち、おしゃれとは無縁の生活を送ってきた少年時代の私ですが、高校に入学し、友人を通しておしゃれに興味を持つようになりました。その友人から「今度原宿に服を買いに行こう」と誘われ、一緒に行った私。

何を思ったのか、そのとき原宿の雑貨店で買ったのが折りたたみ椅子でした。

なぜわざわざ原宿まで行って折りたたみ椅子を買ったのか、一緒に行った友人はどうして止めなかったのか、さっぱり思い出せませんが、おそらくその黒い折りたたみ椅子が相当気に入ったのだと思います。なんせ、割とでかいのを原宿から山手線、埼京線、宇都宮線と乗り継いで、埼玉県の自室まで持ち帰って来たのですから。

6畳しかない実家の私の部屋では、折りたたみ椅子を使う余地など当然なく、時々出しては、なんとなく座り、たたんで片付けるを繰り返し……。そのうち存在すら忘れてしまい、社会人になって実家を出る時に処分してしまいました。

今回は、少年時代のあの気持ちに決着をつけるいい機会かもしれません。

作りましょう、折りたたみ椅子。


アプリで木材を測り、正しい長さにカットしていく

折りたたみ椅子を作ることに決めましたが、今までに椅子を作ったことがないので、どうやって作るのかわかりません。

「折りたたみ椅子」というキーワードで検索したところ、画像がいくつか出てきたので、それらを参考にしつつ構造を考え、設計図を書きました。

▲作っていく中で変更した部分もあります。

材料は木にします。趣味で工作をやっている私ですが、普段は粘土を使うことが多く、木工はずいぶん久しぶり。10年ほど前に木の棚に板を取り付けて、机を作って以来でしょうか。

設計図を元に必要な木材を購入してきました。

▲木材(杉)を購入。部屋が木のいい匂いに。

購入してきた木材を必要なサイズに切らなければならないのですが、サイズを測る方法がわかりません。なぜだか、そのような道具に全く心当たりがないのです。

そうだ、計測アプリがありました。これで木材のサイズも測れるでしょう。

さっそくアプリを使って木材のサイズを測っていきます。

木材の端に点を合わせて、設計図通りの長さのところに印をつけます。幅のある木材は上辺と下辺それぞれ測って印をつけ、そこに線を引いて切る位置を決めます。

▲長さ30cmのところに印をつけます

印をつける際に、カメラを通して見ながらペンで書くのは不思議な感じがしました。内視鏡で体内を覗きながら手術する外科医さんの気持ちを100倍くらいに薄くした感じでしょうか。

測って印をつけた上辺と下辺の点をつなぐため、直線を引くのに便利な薄い板を使いました。板には目盛りがついていましたが、何に使うのか見当もつきませんね。

こんな調子で折りたたみ椅子のパーツに必要なサイズを測っていきました。

ひと通り測れたら、今度は各パーツを切っていきます。のこぎりを使うのも久しぶりですが、どんどん切っていきましょう。

▲普段使ってない筋肉を使ったので、この後3日間筋肉痛に悩ませることに

カットしたパーツは切り口をやすりで整え、パーツごとに釘を打って組み立てていきます。ねじでつないで折りたためるように、脚のパーツには電動ドリルで穴を空けました。

▲釘を使うのも当然久しぶり。何度か曲がったけど修正できました

パーツが組み立て終わったので、ニスを塗って仕上げていきましょう。

最終的に目指しているのは、原宿のおしゃれな雑貨店で売っていそうな椅子。なので今回は、マホガニー色のニスを使うことにしました。


折りたたみ椅子、完成!

ニスが乾いたら、パーツを組み合わせて完成です。

▲こちらが完成した折りたたみ椅子

計測アプリを使って作った折りたたみ椅子、果たして実用できるのか?

それでは、早速座ってみましょう!

そーっと……。

どひゃあ。がしゃーん!

と、なるかと思っていたのですが(上の写真はわざとです)。

▲ちょっと強度は不安ですが。

普通に座れますね、これ。

▲展開時。

▲折りたたみ時。

てっきり誤差でガタガタになり、まともに座れないかと思っていたのですが、うっかりちゃんとしたものができてしまった気がします。

▲計測の誤差による板のサイズのずれはありますが

よく見ると、サイズがずれていたり斜めだったりしますが、そういうデザインだと思えなくもないような……。

▲我ながら、意外にもいいものができてしまいました

では、なぜうまくできたのかというと、DIYの性質による部分が大きいのではないか、と考えました。

DIYでは、サイズを測るのは最初だけで、あとは実際に作りながら調整していくケースが多々あります。計測アプリによる誤差は、「作りながら行うサイズ調整」の範囲で収まってしまう、ということではないかと。

もちろん既成品のようにきっちりとしたものにはなりませんが、DIYならサイズに多少の誤差があっても成立できてしまうのです。

だからといって、計測アプリだけでDIYができる! と言い切れるかというと、実際やってみて不都合が多かったので、おすすめはできません。

まずiPhoneの計測アプリでは1cm単位でしか測れません。しかも、3cm以下だと、アプリ上の点と点の距離が近すぎるため、長さを測ることができないのです。なので、「ここから2cmのところに穴を空けたい」というのが不可能。「正確に、1mm単位で長さを測れる道具があればいいのに!」と、DIY中に何度も思いました。

また、幅が広い板の上辺と下辺を測った際に、当然誤差があるので斜めになっているのが目に見えてわかります。誤差をわかっていながらそのまま進めるのは、なかなか不安な作業でした。

おそらく、計測アプリはあくまで既成品を測るようにできているのでしょう。DIYのように、「測りながら作る」ことには不向きなのです。


計測アプリのメリットとデメリット

<メリット>
・とにかく手軽。スマートフォンさえあれば測れる。
・測った数値をそのままスクリーンショットとして保存できる。
・手の届かないところも計測可能。(高いところにある照明器具や、ガラスの向こうにあるものなど)

<デメリット>
・正確性に欠ける。
・1cm単位でしか測れず、数値も安定しない。
・3cm以下の細かい計測が不可能。

やはり、アプリでの計測は「あくまでも目安」程度で使ったほうが良いということでしょう。

逆に便利なのは、モノのサイズを比較したり、ざっくりした長さを測りたいとき。

例えばネット通販でテレビを買おうとしている時、サイズが表記されていてもピンとこないことがあるかと思います。そんな時、今持っているテレビのサイズをアプリで測ってみれば、買おうとしているテレビが今のものと比べて大きいのか小さいのか、または同じくらいなのかがざっくりわかります。

他には、引っ越しの際の部屋の内見でも役立つのではないでしょうか。このスペースにあの家電は入るのか……と思った時にさっと計測してあとで確認したり、お店で見かけたものが部屋のスペースに収まるかどうかさっと計測したり(写真撮影不可の場合には要注意ですが)と、知っておくと便利だし、楽しいですね。

もちろん今後技術が発達してくれば、1mm単位で正確に測れるようになるかもしれません。

また、個人的には久々のDIYがとても楽しかったので、今度は測る道具をきちんと使ってなにか作ってみるつもりです。

▲最後に計測アプリで測った折りたたみ椅子のサイズを

(編集:ノオト

松本ジュンイチロー

ライター:松本ジュンイチロー

フリーランスのウェブデザイナー、ライター、工作家。縄文時代が好き。粘土で作品を作ったり小物を作って売ったりしている。近頃は3Dプリンターを勉強中。落語もしゃべれる。

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コメント 18

「板には目盛りがついていましたが、何に使うのか見当もつきません」←ここで吹き出してしまいました笑

>「作りながら行うサイズ調整」の範囲で収まってしまう
微調整しなかったらグラグラして座れないでしょうね(;'∀')お疲れ様でした

面白い記事ですね。
結構ちゃんとした椅子をDIYされていて凄いなと思いました。(^^

面白いです
スカイツリーや富士山の高さも測れるのかな?

アプリの使い方、精度が分からなかったので助かりました!

実際の細かな数字まで測定するなら、やはりメジャーがいいでしょう。

背もたれが不安すぎるw

細かいところまで求めなければある程度には利用しても大丈夫そうですね〜。こんな機能があるなんて知りませんでした!結構すごいですね!

あまり長い文章になると、最近は途中で読むのをやめたりするのですが、面白くて最後まで読みました。またこういうの読みたいです。

こんなアプリがあったんですね!
早速測ってみました。
面白かったです♪
楽しい記事、ありがとうございました(^O^)

今すぐライターやめて家具職人になったほうがいいよ٩( 'ω' )و

後ろに寄りかかったら…  コケッ! ミ(ノ;_ _)ノ =3

メモリのついた板()で直線を引けたのが成功の秘訣ですかねw

それにしても意外としっかりとした椅子になりましたね〜

で?

Android端末の記事はいつですか?

>Androidでも同様のアプリが提供されています
じゃあ、それでもやってみてどっちが正確で良いものが作れるかが記事で面白いし公平では?

面白い企画でしたね。
誤差はやはりありましたか。

 「こんなアプリがあったんですね!」とのコメントさんの言うとおり面白いアプリですね。測定精度はさておき、使用状況によって十分役に立つと思います。
 椅子の制作はお遊びとして、一人では届かない場所や直接触れたくない物のなど、日常生活でも出番がありそうです。
 全文拝読させていただきましたが、このアプリ「iPhoneではiOS 12より「計測」が標準アプリとしてインストール」とありますが、旧型の端末ではインストールすらできないということを冒頭で説明していただきたかった。
スタッフブログとして公にするなら、そこを確認しゴマンといる型落ち端末使用者への気配りがあれば・・・・ネ。

手に持てるものより、車、部屋くらいの大きな物を測るのによろしいがな!

見た目が後ろのめりな感じでちょっと怖いですね。
でも、DIYした椅子は格別でしょうね。

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