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「プレイヤー同士で、無言の意思疎通が生まれる」ゲームデザイナー・カナイセイジさんに聞く、ボードゲームでのコミュニケーション

井上マサキ

ライター:井上マサキ

ライター&路線図研究家。宮城県生まれの二児の父。好きな路線図はロンドンと横浜市営地下鉄。著書に『たのしい路線図』(グラフィック社)。

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人生ゲームやモノポリー、オセロ、将棋、UNO……誰もが一度は遊んだことがあるであろう「ボードゲーム」。そのボードゲームがいま、大きなブームになっています。

昨年開催された日本最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2018秋」は、2日間で2万2000人が集まるほどの盛況っぷり。また、店内にさまざまなボードゲームをそろえて、その場で遊べる「ボードゲームカフェ」も全国に300軒以上あり、その数を増やしています。

ボードゲームはプレイヤー同士のやりとりも醍醐味の一つ。助け合ったり、邪魔したり、ヒリヒリする駆け引きを楽しんだり……。直接顔を合わせる分、テレビゲームよりもコミュニケーションが濃密になり、相手の意外な一面を発見することもあるでしょう。

多様なコミュニケーションを生み出すボードゲームは、どのようにして作られているのでしょうか。今回は数多くのボードゲームを製作し、海外での受賞歴も持つゲームデザイナーのカナイセイジさんに話をうかがいました。

(プロフィール)
カナイセイジ
カナイ製作所代表。2012年に発表した『ラブレター』が日本ボードゲーム大賞で大賞を受賞。さらに2014年にドイツゲーム賞4位を果たし、日本人初の受賞者となる。『文絵のために』『The Last Brave』『成敗』など多くのボードゲームを世に送り出し、国内外で高い評価を受けるボードゲームデザイナー


「仕組み」か「世界観」からゲームにアプローチしていく

今日はたくさんのゲームをお持ちいただき、ありがとうございます。こちらは全てカナイさんの作品ですよね。

▲カナイさんが開発したボードゲームの一部

そうですね。家からざっくりと持ってきました。この中で一番新しいのは、スマホゲーム『Fate/Grand Order』の開発でおなじみのディライトワークス様と2018年に開発した『The Last Brave』ですね。

※『The Last Brave』:相手が隠し持つ「職種」や「武器」などを探りながら戦う“勇士創像バトルロイヤルカードゲーム”。4種類のカードから構成されるキャラクターは約2,400通りにもなる

『ラブレター』は、うちの娘と息子もハマっています。息子はまだ小学2年生なので、いいカードを引くと顔に出てしまいますが(笑)。

※『ラブレター』:わずか16枚のカードからなるカードゲーム。姫にラブレターを届けるため、騎士や魔術師などさまざまな効果を持つカードを駆使する。2014年にドイツゲーム大賞で4位入賞。和バージョンの『恋文』や、クトゥルフ神話をモチーフにした『ラブクラフト・レター』など、派生版も生まれた。

かわいいですね! お子さんに喜んでもらえるのは本当にうれしいです。

こうしたゲームを製作するときは、まずどこから着手されるのでしょうか?

ゲームデザイナーによってさまざまなアプローチがありますね。ゲームの仕組みの部分である「メカニクス」から決めるか、物語や世界観などの「テーマ」から決めるか。私はテーマから入ることが多いですね。わかりやすい例でいくと「勇者がドラゴンを倒すゲーム」みたいな感じで。

ボードゲームでも、物語から着手する場合もあるんですね。

ええ、物語を決めて、その枠組みを整えていきます。たとえば「勇者がドラゴンを倒すゲーム」というテーマが決まったら、プレイヤーはどんな存在で、どうやってドラゴンを倒すのか考えるわけです。

「最初にドラゴンを倒した勇者が勝ち」みたいなことでしょうか?

そうですね。他にもいろんなパターンが考えられますよ。勇者や魔法使いなどでパーティを作って立ち向かう、超強い勇者たちがドラゴンを倒した数を競う、ポンコツな勇者を全員でコントロールしてドラゴンを倒させる……。

勇者とドラゴンだけでも、こんなに広がるんですね!

テーマと概要が明確になると、メカニクスも見えてきます。弱い勇者たちが力を合わせてドラゴンを倒すなら、装備や呪文などのパワーアップが必要でしょう。勇者同士が足を引っぱり合うなら、他の勇者に必殺技を打ち込んで吹き飛ばすという選択肢を作ってもいい。そこでサイコロを振るのか、カードを引くのか、マップを歩かせるか……と考えながら、メカニクスを組んでいきます。

ある程度できあがったらテストプレイですね。Excelでカードリストを作って、印刷したもので実際に遊んでみる。面白ければいいんですが、ゲームによってはそこで「うわぁ、クソゲーだ……」と(笑)。

そういうこともあるんですね。

若い頃は勢いにまかせて作って失敗もしましたね……。単調になったり、ややこしすぎてテンポが悪かったり、想定した面白さにたどり着かないことがあるんです。逆に、想定外の動作をしても「これ面白いね!」と高評価になることもある。とにかく、アウトプットしてみないとわかりません。どんなに頭の中で練り続けても、触れないと意味がないですから。

ゲームデザイナーを悩ませる「奉行問題」

ボードゲームをプレイしていると、よく知っている人でも意外な一面が見えてびっくりすることがありますよね。「この人、こんな厳しいことするんだ!」みたいな。

普段のコミュニケーションではわからない、その人の本性が出るんですよね(笑)。駆け引きに強かったり、はったりが上手だったり、切り替えが早かったり……。テレビゲームと違ってボードゲームは対面で遊ぶものなので、反応が相手へダイレクトに伝わりますから。

僕、学生時代に将棋でコテンパンに負けて、あまりの悔しさに機嫌を悪くして人間関係にヒビが入りかけたことがあります。あれば良くなかったと、いまだに思い出しますね……。

いやでも、分かりますよ。勝ち目が無くなるとやっぱりつらいですし、僕も「どうやっても勝てないじゃん……」って不機嫌になったりもします(笑)。「もう勝てないなら、不利益をあたえてきたあいつの邪魔だけしてやる!」 とやりたくなったりとか!

そこでプレイヤーの本性が暴かれて、またゲームが盛り上がっていくんですね……。しかし、一緒に遊ぶプレイヤーのなかには、初心者もいれば熟練者もいます。全員が一緒に楽しめるように、ゲームを作るうえで工夫していることはありますか?

「運の要素をどれくらい入れるか」ですね。例えば、将棋は運の要素がほとんどありません。プロを相手にして素人が勝てる見込みはほとんどないでしょう。

ハンデがあっても難しいでしょうね……。

では、ここで「1」から「9」までの数字が書かれたカードを用意します。将棋の盤面は9×9のマス目でできていますよね。自分の番がきたときにカードを1枚めくって、出た数字の筋(縦のライン)にある駒しか動かせない、としたら……?

全く変わってきますね。プロが「1」ばっかり引いたら勝てるかもしれない。

運の要素が入ると、初心者にもチャンスが出てくるわけです。でも、運の要素があまりに大きくなると、今度は熟練者がつまらなくなってしまう。せっかく非の打ち所のない戦略で進めていたのに、カード1枚で全てひっくり返ったら嫌になっちゃいますから。

バラエティ番組でよくある「最後の問題は2兆点です」みたいなものですね。

いままでの苦労はなんだったんだと(笑)。 初心者にも勝てるチャンスがあって、熟練者も楽しめる。やっぱりそういうゲームが理想的で、テストプレイしながらバランス調整していくんです。

なるほど。いまお話いただいたのは対戦型のルールでしたが、協力するタイプのゲームもありますよね。対戦型と協力型では、コミュニケーションの形も変わるのではないでしょうか。

おっしゃる通りです。協力型ゲームは、プレイヤー全員が協力して何か一つの目標を果たします。有名なものだと『パンデミック 』がそうですね。

※『パンデミック』:プレイヤーは医者や科学者となり、世界中で発生した感染症の拡大を防ぐ。協力してゲームを進め、4種類の病原体すべてのワクチンを発見できれば勝利だが、うっかりすると世界が滅びてしまう。

協力型ゲームには対戦型とは違う魅力がありますし、個人を攻撃するようなこともないので比較的マイルドに遊べる、近年とても人気があるジャンルです。ただ、実は協力型ゲームには、「奉行問題」というものがありまして……。

「鍋奉行」の「奉行」ですか。

そうです。主導的なプレイヤーが全て仕切ってしまうことがあるんですよ。「○○さんはこうして! △△さんはこうやって! これがこうなってこうすれば……よし勝てる」と。もちろん、場合によっては、リーダーが必要になることもあります。ただ、あまりに場をコントロールしすぎると、他の人の考える楽しみを奪ってしまう。

「一人でやればいいのでは……」と思ってしまいますね。

この問題をゲームデザインでクリアするのがなかなか難しく、デザイナーの皆さんが色々工夫されていますね。「強いプレイヤーでも一人ではうまくいかない状況」を作るために、あえてコミュニケーションを制限するなどの方法があります。


プレイヤー同士の「無言」のコミュニケーション

全員で協力させるために、コミュニケーションを制限する……ということですよね。一見、相反するようにも聞こえます。

例えば、全員がなんらかの手札を持つ協力型ゲームに、「自分の手札について、なにもしゃべってはいけない」というルールを足してみましょう。こうなると、どんなに効果的なカードを持っていても周りに教えられません。奉行の人も「誰か、なんとかしてよ」くらいしか言えなくなりますよね。

そうなればゲームを仕切るのは難しいですね。

すると、それぞれのプレイヤーが他のプレイヤーの気持ちを想像するようになるんです。「あの人が、ここであのカードを使ったということは……」と他のプレイヤーの考えを推測したり、「誰かピンチだと気付いて、助けてくれ……」と行動によって自分の意志を伝えたりしようとする。これが無言のコミュニケーションにつながるんですね。

なるほど、しゃべるばかりがコミュニケーションではないと。

僕の作品に『シークレットムーン』 というゲームがあります。これは言わば「しゃべってはいけない人狼」。姫と旅人が、大臣たちの監視をかいくぐって会おうとする……というストーリーなんですが、暗い森にみんなが潜んでいるため、最初は誰が敵で、誰が味方なのかわかりません。

「相手の正体を見る」というアクションもありますが、結果は他の人に伝えられない。でも、自分の敵だとわかっている相手に別の誰かが攻撃をしかけたら、「この人とあの人が敵同士ということは、この人は味方なのかな……」と推測できる。行動によって相手の気持ちを察したり、自分の意図を察してもらったりするゲームなんです。

たしかに、ボードゲームの最中は相手のことをすごく考えますね。

ボードゲームでのコミュニケーションって、突き詰めると「読み合い」なのかもしれません。「こう言うと相手はこう考えるだろう」から始まって、「こう言うと相手はこう考えるだろう、と思われているだろうから……」と、裏の裏を読んで深みにハマっていくわけです(笑)。

お互いの戦法を読み合うところに、いかに面白さを盛り込めるか。簡単にはいきませんが、ここがゲームデザイナーの腕の見せどころのひとつだと思います。自分の読みが当たった瞬間って、最高に楽しいですからね。

最後に、現在のボードゲームの盛り上がりを踏まえて、今後の展望などありますでしょうか。

ブームになるのはうれしいことですが、一過性にさせないためには地道な下支えも大事だと考えております。こうしてボードゲームについてお話させていただいたり、定期的に新しいゲームを作ったり、自分にできることを続けていくつもりです。ゲームデザイナーやボードゲームカフェ、プレイヤーたちがうまく支えあって、ボードゲームを浸透させていけたらいいですね。


まとめ

カナイさんによれば、海外発のボードゲームには「お国柄」があるそう。緻密な頭脳戦に興じたり、コミュニケーションを楽しんだり、とにかく盛り上がり重視だったりと、その国の文化によってボードゲームが生み出すコミュニケーションの形は異なるのだとか。場の空気を読みがちな日本人にとっては、「お互いを察し合う」のは得意なのかもしれません。

場の雰囲気をつかむ、相手の気持ちをくむ、自分の振る舞いが相手にどう映るか意識する……。ボードゲームのコミュニケーションは、そのまま普段のコミュニケーションにもつながります。その人が持つコミュニケーションの形も現れるはず。より深く知りたい相手がいたら、ボードゲームに誘ってみてはいかがでしょうか。

(写真:栃久保誠 編集:ノオト


井上マサキ

ライター:井上マサキ

ライター&路線図研究家。宮城県生まれの二児の父。好きな路線図はロンドンと横浜市営地下鉄。著書に『たのしい路線図』(グラフィック社)。

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コメント 13

無言のコミュニケーションって凄い。

退会済みメンバー
退会済みメンバー

ボードゲーム、流行ってますよね

私もいくつかプレイしてみましたが、協力型はやったことないですね
奉行になってしまうかもしれない...

ボードゲーム、懐かしいです。
ずいぶんやっていませんが、昔は結構好きでした♡
確かに性格が出ますよね~~(笑)

井上マサキさんの「路線図研究家」に興味シンシンです!

アナログゲームいいですよねー
友達とやりたいけど大人になると中々そんな機会も…笑
協力型のやつがやりたい(´▽`)

ボードゲーム懐かしいです。
子供の頃 お正月に親戚が集まった時良くしました。。

よく遊びました。
懐かしいですね😀

この記事と、他のサイトのリプレイの記事を見てAmazonで「Love Letter」注文しましたw
面白そうだけど、一緒にやってくれる人はいないかな・・・
ゴキブリポーカーもあやつり人形も買ったけど一度もやってない・・・

20年以上前、独身時代にボードゲームを集めていましたが、今はほとんど買っておらず、おふろcafeとかにあるゲームを見ても知らないものばかりです
今はボードゲームやカードゲームを総称してアナログゲームって言うんですね

ラベンズバーガーの主要ゲームや当時有名な輸入ボードゲームは今でも持っています

最近は、昔と違ったアナログゲームの楽しみがあるんですかね。

確かに無言でも意思疎通出来てたかもしれないです。

ボードゲーム大好き❤。スマホ依存症から脱却するのに良さそうですねー。

ボードゲームって想像以上に深いのですね(^^ゞ

ボードゲームが好きですが9歳の息子しか相手がいないので2人対戦のものがほとんどです。多人数対戦のゲームをやりたくなってきました。

子供の頃、お正月にこたつに入りながら、兄弟姉妹でよくモノポリーをしていたのを思い出しました。
今はボードゲームの種類もだいぶ増えたのですね!協力型のボードゲーム、やっえみたいです!

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