クロハナ防衛隊 vs デス・スター

クロハナさん

マスター

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世界中に未曾有の大惨事を予感させるアラートが鳴り響いた。
なんと宇宙から史上最強のデス・スターが地球に超接近しているというのだ。
デス・スターとは、ボーリングの球が巨大化したような宇宙要塞のことである。
そしてあろうことか、そのデス・スターは東京のど真ん中に降り立つだろう、とNYASA（アメリカ猫航空宇宙局）が正式発表したのだ。
クロハナ防衛隊は、このデス・スターを迎え撃つため東京都心の某地に集結した。
メンバーは、クロハナ、茶トラ猫の茶々丸、ぽっちゃり白猫のコマだった。それだけかよ。
ともあれ地球の運命はこの三匹の肉球に委ねられることとなった。
「どう？ デス・スターは見える？ 茶々丸さん」
コマが望遠鏡を覗く茶々丸に訊いた。
「見える見える。地球まであと85万kmってところかしら」
「よくそんな精密に分かるわねあんた。まあいいわ。それじゃクロハナさん、準備してちょうだい」
「オッケー。分かったわ」
クロハナは二匹からけっこうな距離をとると、前足を折り畳んだ香箱座りの格好に構えた。
「思ったより物凄いスピードで接近してるわ！ もたもたしてると本当に地球が木端微塵になるかも！」
茶々丸があたふたと叫ぶと、コマが「クロハナさん！ 教授が作った饅頭を食べて！」と促した。
「せんせー、いただきます」
クロハナは「巨」と刻印された薄黄色の饅頭を美味しそうに食べた。
むくっ――むくむくむくむくむくむくむくっ！
なんとクロハナの体がみるみるうちに巨大化したではないか。
そのでかさは東京ドーム七個分ほどの大きさだった。
「クロハナさーん！ 聞こえるー！？」
コマがクロハナのあごに話しかけた。
「聞こえるわよ〜。凄い見晴らしだわ。もうサイコー」
クロハナが黒い鼻を膨らまして笑った。
「今からあんたの操縦室に行くからドアを開けてちょうだい！」
「お腹に入り口があるでしょ。そこからご乗車願いま〜す」
クロハナの横腹に辿り着いたコマと茶々丸。
「ここまで来るだけで息が限界だわ……」
コマが胸を抑えながらえずいた。
「行きましょう。襲来まであと5分よ」
と茶々丸。
「だから、よくそんなことが分かるわねあんた」
二匹はクロハナの頭部にある操縦室めざし中へと入って行った。

（つづく）

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