😺猫島太郎①😺

クロハナさん

マスター

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昔々あるところに、猫島太郎という青年が浜辺を歩いていると、亀をイジメている幼子を見つけた。
「えい！」「やあ！ 」「とう！」
棒で亀を突付く少年たち三人。
猫島太郎が近づき声を掛ける。
「こらこらおまえたち、亀をイジメちゃいけないぞ」
猫島太郎が怒った剣幕で言うと、少年たちはその場からそそくさと逃げていった。
すると亀が頭をにょいんと出して猫島太郎にお礼を言った。
「助けてくれてありがとうございます。このご恩は一生忘れません。あなた様のお名前を教えていただけませんでしょうか」
猫島太郎は思わず口を押さえて笑った。
「おまえ……なんだいその鼻は？」
その亀は、明らかに白黒猫の頭をしており、しかも鼻の周りが真っ黒な世にも珍しいへんてこ亀だったのだ。
「笑わないでよ。あなたの飼い猫じゃないの。アタシ、今回は亀の役なの。そういう訳だから、そのうち竜宮城にお連れするわ。今度は違う猫が来るから。そうそう、くれぐれもワープには気を付けてね。じゃあ」
それだけ告げると、クロハナ亀はのそのそとした動きで海に帰って行った。

（つづく）

これ以上ありません。